保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

思想・哲学

松井大阪市長の買い物発言について(2) ~日本は遅れていると思いたがる人たち~

松井発言について内田樹(たつる)神戸女学院大名誉教授は言う。 「CNNに続いてフランスのメディアでも取り上げられました。世界標準に照らせば、ただちに政治生命を失うレベルの大都市の市長としてはありえない『愚行』だからです。大阪の有権者にはその…

「国際女性デー」について(4) ~マルクスの妄念~

《日本は国連の女性差別撤廃条約を1985年に批准し、そのための国内法の整備として男女雇用機会均等法も制定した。 それらによって取り組みは一定進んだが、国際的にみれば実態は大きく立ち遅れている。 世界経済フォーラムが発表した2019年の「男女…

「国際女性デー」について(3) ~日本文化における役割分担~

《まずは政治分野からである。国民の半数を占める女性の民意を反映させるために、政治家の半数は女性であることが自然だ。それが、社会の変化を促すことにつながる》(3月8日付毎日新聞社説) 何を根拠に政治家の半数が女性であることが<自然>というのであ…

「国際女性デー」について(2) ~平等思想 vs. 自生的秩序~

《日本の現状は、世界から取り残されている。世界経済フォーラムの男女平等度ランキングでは、153カ国中121位と過去最低だった》(3月8日付毎日新聞社説) その男女平等最底辺国が経済的には最上位国であるのはなぜか。 私は、生物的に雌雄が分離する…

「国際女性デー」について(1) ~近視眼的平等~

《きょうは国際女性デー。女性の政治的解放を目指す国際的な統一行動日だ。1904年3月8日、米国で行われた女性参政権を求めるデモにちなむ》(3月8日付西日本新聞「春秋」) が、私は、参政権の問題は本来、徴兵制と併(あわ)せて考える必要があると思うので…

オークショットと大阪都構想(3) ~人が活躍できる「場」の必要~

大阪には物質的にはたくさんのものが「有(あ)る」。大阪が衰退していったのはそれらを有効に活用しなかったからである。「都構想」とは、この今有るものを有効活用しようとするのではなく、今有る「無駄」を省(はぶ)こうとするものである。 が、古来「無…

オークショットと大阪都構想(2) ~得られる可能性と失う確実性~

第41回サントリー学芸賞に選ばれた、善教将大・関西学院大准教授の「維新支持の分析」によると、 《維新の台頭と躍進は、橋下氏の政治手法などからポピュリズム(大衆迎合主義)と結び付けて語られがちだが、決してそうではないという。 個別利益の代表者…

オークショットと大阪都構想(1) ~愛着心~

《地域政党・大阪維新の会が推進する「大阪都構想」。その賛否を問う2度目の住民投票が11月にも実施される見通しだ》(2月25日付京都新聞社説) 大阪維新の会(以下、「維新」)ある限り、その大看板たる「大阪都構想」(以下、「都構想」)を取り下げる…

後藤新平の「政治倫理化運動」について(5) ~スターリンの掌の上で踊らされた後藤新平~

後藤新平は、まさに「聖人君子」の見本のような人である。が、こういう人に限ってコロッと騙(だま)される。 1928(昭和3)年1月7日、共産党中央執行委員会にて後藤新平はスターリンと会談を行った。 後藤 支那の政情は益(ますます)混乱を重ねこの儘(ま…

後藤新平の「政治倫理化運動」について(4) ~「今人大眼目なし」~

《我輩が現代の國情、ことに政界の狀况を眺めまして、憂慮痛憤に堪へざることは、今日の日本に於いて、實に奇怪なる政治用語が流行し、これが爲めに國民精神の根本を茶毒(とどく)したと申すことであります。 それは、何であるかと申しますと、『政治は力な…

後藤新平の「政治倫理化運動」について(3) ~小廉曲謹(しょうれんきょくきん)~

《日本現代の思想的傾向は如何相なつて居るのであるか。只目前の小利害にのみ齷齪(あくせく)して、こんな空氣の全國に瀰漫(びまん)する結果として、國民の腦裡は知らず識らず小乘主義の人生觀を以て滿たされておらないでありませうか。 而(しか)して之…

外国籍の子供の「学ぶ権利」について(3) ~<人権>と<基本権>~

《外国人もまた基本的人権の享有が認められるか否かについて、学説は大きく2つに分かれている。 否定説は、憲法第3章「国民の権利及び義務」はあくまで日本国民の権利を保障するものであって、外国人の権利までをも保障するものではない。ただ外国人といえど…

外国籍の子供の「学ぶ権利」について(2) ~人権の前国家的権利性~

日本国憲法第98条2項に次のような条文がある。 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。 だからたとえ日本国憲法と矛盾しようとも「こどもの権利条約」を遵守しなければならない。「こどもの権利条約」が言う…

桐生悠々について(4) ~自分事としての批判~

桐生悠々は、<昭和>に語り掛けるという手法で、時代状況を批判する。 《「昭和」! お前は今日の時局に何というふさわしからぬ名であるか。尤もお前も最初は明朗であり、その名通りに「昭」であり、「和」であったが、年を重ぬるに従って、次第にその名に…

桐生悠々について(1) ~言いたい事と言わねばならない事~

《人動(やや)もすれば、私を以て、言いたいことを言うから、結局、幸福だとする。だが、私は、この場合、言いたい事と、言わねばならない事とを区別しなければならないと思う。 私は言いたいことを言っているのではない。徒(いたずら)に言いたいことを言…

表現の自由と公共の福祉(1)

《暴力的な威嚇や政治権力の圧力が、自由な表現を脅かす。あってはならない出来事が、昨年は社会に波紋を広げた。 あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」が代表例であり、一時中止に追い込まれたうえ、文化庁が補助金の交付をやめた。その後、各地…

元日社説読み比べ(2) ~大事なのは「中庸」~

プーチンは言った。 “I am not trying to insult anyone because we have been condemned for our alleged homophobia. But we have no problem with LGBT persons. God forbid, let them live as they wish,” he said. “But some things do appear excessiv…

元日社説読み比べ(1) ~プーチン「リベラルの理念は時代遅れになった」~

《ロシアのプーチン大統領は昨年6月、移民に厳しく対処するべきだとの立場から、こう述べた。「リベラルの理念は時代遅れになった。それは圧倒的な多数派の利益と対立している」》(朝日新聞) この発言は、G20大阪サミット開幕直前の27日夜、プーチン大統…

「人権」と憲法97条(3) ~棚ぼたの基本的人権~

一方、芦部信喜はこの97条を擁護する。 《たしかに、制憲者が明確な憲法論に基づいて、97条を「最高法規」の章に置いたわけではなく、むしろ偶然の経緯で定められた沿革を考えると、11条が存在する以上、97条は無用だという議論も理由がないではない。 しか…

「人権」と憲法97条(1) ~「人権」への懐疑~

《人権、人間の尊厳、法の支配、民主主義――。 めざすべき世界像としてSDGsも掲げるこれらの言葉は、西洋近代が打ち立てた普遍的な理念として、今日に生きる》(1月1日付朝日新聞社説) ※SDGs=Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標) …

歴代最長安倍政権について(3) ~取って代わる人が育っていないのが最大の問題だ~

《「米中新冷戦」の開始は、米ソ冷戦終結以来約30年ぶりの国際構造の激変だ。安倍首相はトランプ米大統領と習近平中国国家主席の双方に笑顔をみせているが、危うい対応である。中国の脅威を見据え、自由と民主主義、「法の支配」、繁栄を守るべく、日本の…

中島岳志氏の保守論への疑問

朝日新聞のインタビューに応え、中島岳志氏は韓国への否定的言論の広がりの要因の1つを次のように述べる。 「韓国が経済成長で国力をつける一方、世界における日本の相対的地位が下がったこと。根底にはこうした変化があると思います。韓国の姿勢も『日本に…

閣僚の靖国神社参拝について(4) ~宗教否定とマルクス思想~

マルクスは言う。 《宗教は、人間的本質が真の現実性をもたないがために、人間的本質を空想的に実現したものである。それゆえ、宗教に対する闘争は、間接的には、宗教という精神的芳香をただよわせているこの世界に対する闘争なのである。 宗教上の悲惨は、…

「自由」には制限が必要だ

《自由という言葉からは、しなやかさを連想します。ですが最近「表現の自由」は縮こまっているように感じます》(9月22日付東京新聞社説) と社説子は言う。が、どうして「自由」は<しなやか>なのであろうか。「自由」とは「抑圧」のない状態ということで…

戦前の汚名を雪(すす)げ(2) ~戦勝国の犬~

安倍戦後70年談話を出すに先立ち意見を求めた有識者懇談会の報告書は次のように記す。 「日本は満州事変以後、大陸への侵略を拡大し、第1次世界大戦後の民族自決、戦争違法化、民主化、経済的発展主義という流れから逸脱して世界の大勢を見失い、無謀な戦争…

戦前の汚名を雪(すす)げ(1) ~春秋に義戦なし~

《「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」 日本国憲法の前文にあるこのくだりを文字通りに受け止めた非武装中立論は、戦後日本で長く一定の賛意を得てきた。日米同盟を「わが国を戦争に巻き込むもの」と批…

民主主義を立て直す方法:「くじ引き」について(2) ~民主主義は絶対ではない~

《とりわけフェイスブックやツイッターといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が普及してから、政治家は自分の言動に有権者がどう反応しているか、即座に把握できるようになった。消費者に衝動買いしてもらうように、マーケティングで有…

民主主義を立て直す方法:「くじ引き」について(1) ~民主主義の足掻(あが)き~

民主主義を立て直す方法として、選挙をやめ、くじ引きを導入するように提唱したダーヴィッド・ヴァン・レイブルック著『選挙制を疑う』が今、話題のようだ。 《減り続ける投票率、金や人脈がものを言う選挙戦。有力者の声しか反映されない政治に人々は背を向…

年金問題について(3) ~家族の復興こそ重要~

《日本の将来設計を描くとき、最も基礎的な条件は人口減少である。しかも平均寿命は延び続ける。この人口構成の大変動に耐えうる社会保障が求められている》(7月3日付毎日新聞社説) <将来設計を描く>とは、まさに左翼「設計主義」の謂(い)いであり、ソ…

年金問題について(2) ~家族解体による孤立感や疎外感~

《内閣府の国民生活に関する世論調査(18年度)で、人々が感じる悩みや不安のうち最も多いのは「老後の生活設計」である。 一方、人々が充実感を感じるのは「家族だんらんの時」が最多だ。「友人や知人と会合、雑談している時」も多い。家族や隣近所のつな…