保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

思想・哲学

自民党総裁選:選択的夫婦別姓はリトマス試験紙(2) ~何が問題か~

ここで「選択的夫婦別姓」の何が問題なのかを少し考えてみよう。 家族とは、慣習継承の最小単位である。「継承」には世代の異なった者が必要である。伝統文化から礼儀作法に至るまで、「家族」あればこそ過去は現在を経て未来へと引き継がれていく。 が、今…

日本共産党の無理(1) ~全体主義と無縁の共産主義って何~

《共産党の田村智子政策委員長は16日の記者会見で、国民民主党と連合の政策協定で排除すべき対象とされた「全体主義」という文言を巡り、同党の玉木雄一郎代表が「共産党のことだ」と名指ししたことについて、「事実と違う発言だ」と強く否定した。(中略)…

敗戦記念日社説:孤軍奮闘する朝日新聞(4) ~「平和なくして平等はなく、平等なくして平和はない」?~

《平和なくして平等はなく、平等なくして平和はない――。市川(房枝)は晩年、そう強調した。 違いを認め合い、対等な立場で個人の尊厳が守られている国の間で戦争は起きないし、逆に戦争が起きれば平等も尊厳も、そして生存自体も脅かされる》(8月15日付…

敗戦記念日社説:孤軍奮闘する朝日新聞(3) ~全体主義者の科白~

《「男女に等しく政治的な権利を」という今では当たり前の主張は、男尊女卑の家父長的家族制に基礎をおく戦前の体制と真っ向から対立するものだった。このため当時の運動は、男女平等の本質を説くより、「台所と政治をつなぐ」ことの利点を訴えるという、妥…

敗戦記念日社説:孤軍奮闘する朝日新聞(2) ~平等はシジフォスの岩~

《ポップスからルソーに至る、さらにはロールズにまで達する「自然状態」という虚構のなかで、能力差のない人間の集まりというものを空想し、そこで「人は生まれながらにして平等である」というふうに自然権を謳(うた)うのはもう止めようではないか。人間…

敗戦記念日社説:孤軍奮闘する朝日新聞(1) ~戦後思潮の過ち~

今年の「敗戦記念日」の各紙社説はいよいよネタが尽きた感が強い。読むに値する情報がない。 そんな中、朝日新聞だけは、褒めるのも変な話ではあるが、しっかり独自路線を貫いている。 《戦後の日本が憲法を手にめざしたのは、国民が主権を行使し、個人が等…

ナショナル・ルサンチマンが生んだ核廃絶の責務意識(1) ~台湾有事は自分事~

《世界はいま、核の恐怖の果てにある破局か、それとも、より安全な共生の未来か、どちらの道へ進むかの分岐にある。 米国と中国の覇権争いを筆頭に、欧州・アジア・中東で国家間の対立が熱を帯び、核戦争の不安を高めている。 一方で、だからこそ協調の価値…

戦後日本の「ナショナル・ルサンチマン」(2) ~平和という奴隷道徳~

《(平和憲法と経済力)どちらもがルサンチマンのはけ口であったがゆえに、自己制御が不可能なまでに強力でありつづけ、今も強力である。これあるがゆえに日本人は自分で自分を不自由にしている。しかし、このどちらもがアメリカの言うがままにならないため…

戦後日本の「ナショナル・ルサンチマン」(1) ~ルサンチマンが生んだ戦後日本の平和主義~

ルサンチマンとは外のもの、他のもの、自己でないものに対して否と言うとき、外へと向かうべき真の反応、つまり行為による反応が自己自身の無力さから拒まれているために、価値を定める眼ざしを逆転させ、想像上の復讐によってだけその埋め合わせをつけよう…

大阪「表現の不自由展」について(3) ~自由を破壊する自由は認められない~

《大阪府の吉村洋文知事は9日…「表現の不自由展」が開催されていた名古屋市の施設で8日、郵便物に入っていた爆竹のようなものが破裂し、市が利用を停止したことを引き合いに「もう何が起きるか分からない。明らかに差し迫った危険がある」と指摘した。 労…

大阪「表現の不自由展」について(2) ~本質は昭和天皇や特攻隊員に対する侮辱~

「慰安婦」とは当時合法だった「公娼」に過ぎない。貧しいがゆえに、金になる「売春」の道に進まざるを得なかった。その象徴が「少女像」なのである。 「少女像」は、借金の形に親が娘を売ったことや朝鮮人の女衒(ぜげん)が甘言を弄して朝鮮人の婦女子を売春…

大阪「表現の不自由展」について(1) ~「表現の自由」はどこまで認められるのか~

《「表現の不自由」をテーマにした展示会の会場となる大阪の施設が、先月、いったん受け付けた利用の予約を取り消したことについて、大阪高等裁判所も地裁と同様に、15日、施設の利用を認める決定を出し、展示会は16日から予定どおり、開催されることに…

最高裁大法廷が再び夫婦別姓を認めなかったことについて(4) ~「時代」とは何か~

《国際的にも夫婦同姓制は、先進国では日本以外にはない。むしろ明治の「家制度」の発想から早く脱すべきときである。 いつまで足踏みを続けるのか。まさか伝統的家族観を重んじる議員らへの遠慮はあるまいが、時代に逆行するかのような判断を続けていると、…

最高裁大法廷が再び夫婦別姓を認めなかったことについて(3) ~日本独自を否定する勿れ~

《日本以外に夫婦同姓を義務づける国はないという。国連の女性差別撤廃委員会は繰り返し、是正を勧告している》(6月24日付毎日新聞社説) 《夫婦同姓を法律で義務付けた国は日本以外になく、国連の女性差別撤廃委員会から改正を繰り返し勧告されている》…

皇位継承等の有識者会議について(8) ~5月31日政府有識者会議~

5月31日の政府有識者会議では以下のような意見が出された。 君塚直隆氏「男系男子にのみ皇位継承資格を与えるという現行制度を改定し、女性皇族にも皇位継承資格を与えるとともに、現行の男性皇族と同様に、婚姻時もしくは適切な時期に宮家を創設し、ご自…

皇位継承等の有識者会議について(7) ~5月21日政府有識者会議~

5月21日の政府有識者会議では以下のような意見が出された。 国際日本文化研究センターの今谷明(いまたに・あきら)名誉教授「女性宮家は早く何とかしなければいけない。とりあえず男系で続いていくしかないが、準備はしておく必要がある。女系天皇の場合…

皇位継承等の有識者会議について(6) ~一夫一婦制は俗世の倫理~

《新典範に於ては、皇統に属する者であっても、庶子(しょし=本妻以外の女性から生まれた子)に対しては皇族の身分を認めず、従って皇位継承権は認められないことになった。この点は、古来の皇位継承法、明治の典範が、嫡出(ちゃくしゅつ)優先主義の上に立ち…

皇位継承等の有識者会議について(5) ~権威を規定するのは歴史伝統~

《日本の皇位継承法に於て、女帝の制度の認められた歴史はあるが、女帝は常に配偶者の現存せざる場合に限られていたのであって、女系子孫の継承を認める思想は全然存在しなかった。日本皇室の万世一系とは、男系子孫一系の意味であることは論をまたぬ。然(し…

ジョン・ロック「法が終わるところ、暴政が始まる」(3) ~自省なきマスコミ~

《本年2月13日衆議院本会議で、安倍総理大臣は「検察官にも国家公務員法の適用があると従来の解釈を変更することにした」旨述べた。これは、本来国会の権限である法律改正の手続きを経ずに内閣による解釈だけで法律の解釈運用を変更したという宣言であっ…

ジョン・ロック「法が終わるところ、暴政が始まる」(2) ~自主防衛か対米追従か~

《「集団的自衛権の行使は憲法違反」。戦後一貫した政府見解でした。それをひっくり返した、2014年の安倍晋三内閣による閣議決定は、さしずめ「法が終わるところ」にあたるでしょうか。違憲なのに「合憲」と勝手に内閣が解釈したのですから…。「解釈改憲…

ジョン・ロック「法が終わるところ、暴政が始まる」(1) ~「法」とは何か~

《17世紀イギリスの哲学者が説いた思想は後のアメリカ独立宣言やフランス人権宣言に強い影響を与えたといいます。現在の基本的人権の尊重にもつながるジョン・ロックの『統治二論』です▼王権は神から授かったという説を批判し、国民主権や三権分立を唱えま…

日本国憲法生誕とルソーの教え(5) ~無国籍憲法~

《急進的な民主主義者にとっては、民主主義自体が固有の価値をもっているのであって、民主主義のお蔭でどういう政治が出来るかという政治内容への顧慮は存在しないのだ。しかし、民主主義を排除するために民主主義が利用される危険が存する場合には、急進的…

日本国憲法生誕とルソーの教え(4) ~統治者と被治者の同一性~

ドイツ法哲学者カール・シュミットは、民主主義における<同一性>に注目する。 《民主主義を定義するためのものとしては、一連の同一性が存在している。下されるすべての決定が、ただ決定する者自身にのみ対してだけ効力を持つべきだ、ということが民主主義…

日本国憲法生誕とルソーの教え(3) ~一般意志~

ルソーは、<一般意志>は、 《つねに正しく、つねに公けの利益を目ざす》(ルソー『社会契約論』(岩波文庫)桑原武夫・前川貞次郎訳、p.46) と言う。が、この世に<つねに正しい>ものなど存在するのだろうか。<つねに正しい>ものがあるとすれば、それ…

日本国憲法生誕とルソーの教え(2) ~民本主義と民主主義~

戦前、吉野作造は、天皇を戴(いただ)く民主主義「民本主義」を唱えた。 《民本主義といふ文字は、日本語としては極めて新しい用例である。從來は民主主義といふ語を以て普通に唱へられて居つたようだ。時としては又民衆主義とか平民主義とか呼ばれたことも…

日本国憲法生誕とルソーの教え(1) ~『社会契約論』~

《18世紀の哲学者ルソーの教えでは、戦争とは相手国の社会契約に対する攻撃です。つまり敗戦国は従前の社会契約を破棄し、新しい原理の社会契約を国民との間で結び直さねばなりません。 それが新憲法をつくる意義です。なのに日本側は「伝統的な原理および…

歴史教科書:「従軍慰安婦」という言葉の再登場について(2)  ~懐疑的態度が必要~

有村治子参院議員「そもそも、吉田清治なるうそにうそを重ねた詐欺師が、朝鮮半島で暴力の限りを働いて、幼子(おさなご)から母親を引っ剥がし、千人近い慰安婦の人狩りをしたなどという完全な作り話の数々を創作し、これらの情報が朝日新聞によって長年に…

平等信仰を改めよ(3) ~<平等>は猫を被った共産主義~

《前の安倍晋三政権は「女性活躍社会」を掲げたが、看板倒れの感は否めない。後を継いだ菅政権も第5次男女共同参画基本計画の策定で「選択的夫婦別姓」を原案から削除しており、女性参画は後退しているように見える。 男女平等は人権にとどまらず、多様性を…

平等信仰を改めよ(2) ~女権拡張論者の嫉妬が生み出した「幻想」~

《政府は昨年末、第5次男女共同参画基本計画で目標値を掲げた。国政選挙では、候補者に占める女性の割合を25年までに35%にするという。 ところが、共同通信が行った全女性国会議員へのアンケートで、この目標達成は「困難」と回答者の66%が答えた。…

平等信仰を改めよ(1) ~平等は良い事なのか~

戦後日本において、「平等は良い事なのか」などと「平等」に懐疑の目を向ける人など余程の変わり者としか見られないだろう。進駐軍から授かった「自由・平等・博愛」は絶対的なものなのである。 が、例えば、頑張って働いた者と遊び惚(ほう)けて働かなかっ…