保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

思想・哲学

オークショットと大阪都構想(1) ~愛着心~

《地域政党・大阪維新の会が推進する「大阪都構想」。その賛否を問う2度目の住民投票が11月にも実施される見通しだ》(2月25日付京都新聞社説) 大阪維新の会(以下、「維新」)ある限り、その大看板たる「大阪都構想」(以下、「都構想」)を取り下げる…

後藤新平の「政治倫理化運動」について(5) ~スターリンの掌の上で踊らされた後藤新平~

後藤新平は、まさに「聖人君子」の見本のような人である。が、こういう人に限ってコロッと騙(だま)される。 1928(昭和3)年1月7日、共産党中央執行委員会にて後藤新平はスターリンと会談を行った。 後藤 支那の政情は益(ますます)混乱を重ねこの儘(ま…

後藤新平の「政治倫理化運動」について(4) ~「今人大眼目なし」~

《我輩が現代の國情、ことに政界の狀况を眺めまして、憂慮痛憤に堪へざることは、今日の日本に於いて、實に奇怪なる政治用語が流行し、これが爲めに國民精神の根本を茶毒(とどく)したと申すことであります。 それは、何であるかと申しますと、『政治は力な…

後藤新平の「政治倫理化運動」について(3) ~小廉曲謹(しょうれんきょくきん)~

《日本現代の思想的傾向は如何相なつて居るのであるか。只目前の小利害にのみ齷齪(あくせく)して、こんな空氣の全國に瀰漫(びまん)する結果として、國民の腦裡は知らず識らず小乘主義の人生觀を以て滿たされておらないでありませうか。 而(しか)して之…

外国籍の子供の「学ぶ権利」について(3) ~<人権>と<基本権>~

《外国人もまた基本的人権の享有が認められるか否かについて、学説は大きく2つに分かれている。 否定説は、憲法第3章「国民の権利及び義務」はあくまで日本国民の権利を保障するものであって、外国人の権利までをも保障するものではない。ただ外国人といえど…

外国籍の子供の「学ぶ権利」について(2) ~人権の前国家的権利性~

日本国憲法第98条2項に次のような条文がある。 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。 だからたとえ日本国憲法と矛盾しようとも「こどもの権利条約」を遵守しなければならない。「こどもの権利条約」が言う…

桐生悠々について(4) ~自分事としての批判~

桐生悠々は、<昭和>に語り掛けるという手法で、時代状況を批判する。 《「昭和」! お前は今日の時局に何というふさわしからぬ名であるか。尤もお前も最初は明朗であり、その名通りに「昭」であり、「和」であったが、年を重ぬるに従って、次第にその名に…

桐生悠々について(1) ~言いたい事と言わねばならない事~

《人動(やや)もすれば、私を以て、言いたいことを言うから、結局、幸福だとする。だが、私は、この場合、言いたい事と、言わねばならない事とを区別しなければならないと思う。 私は言いたいことを言っているのではない。徒(いたずら)に言いたいことを言…

表現の自由と公共の福祉(1)

《暴力的な威嚇や政治権力の圧力が、自由な表現を脅かす。あってはならない出来事が、昨年は社会に波紋を広げた。 あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」が代表例であり、一時中止に追い込まれたうえ、文化庁が補助金の交付をやめた。その後、各地…

元日社説読み比べ(2) ~大事なのは「中庸」~

プーチンは言った。 “I am not trying to insult anyone because we have been condemned for our alleged homophobia. But we have no problem with LGBT persons. God forbid, let them live as they wish,” he said. “But some things do appear excessiv…

元日社説読み比べ(1) ~プーチン「リベラルの理念は時代遅れになった」~

《ロシアのプーチン大統領は昨年6月、移民に厳しく対処するべきだとの立場から、こう述べた。「リベラルの理念は時代遅れになった。それは圧倒的な多数派の利益と対立している」》(朝日新聞) この発言は、G20大阪サミット開幕直前の27日夜、プーチン大統…

「人権」と憲法97条(3) ~棚ぼたの基本的人権~

一方、芦部信喜はこの97条を擁護する。 《たしかに、制憲者が明確な憲法論に基づいて、97条を「最高法規」の章に置いたわけではなく、むしろ偶然の経緯で定められた沿革を考えると、11条が存在する以上、97条は無用だという議論も理由がないではない。 しか…

「人権」と憲法97条(1) ~「人権」への懐疑~

《人権、人間の尊厳、法の支配、民主主義――。 めざすべき世界像としてSDGsも掲げるこれらの言葉は、西洋近代が打ち立てた普遍的な理念として、今日に生きる》(1月1日付朝日新聞社説) ※SDGs=Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標) …

歴代最長安倍政権について(3) ~取って代わる人が育っていないのが最大の問題だ~

《「米中新冷戦」の開始は、米ソ冷戦終結以来約30年ぶりの国際構造の激変だ。安倍首相はトランプ米大統領と習近平中国国家主席の双方に笑顔をみせているが、危うい対応である。中国の脅威を見据え、自由と民主主義、「法の支配」、繁栄を守るべく、日本の…

中島岳志氏の保守論への疑問

朝日新聞のインタビューに応え、中島岳志氏は韓国への否定的言論の広がりの要因の1つを次のように述べる。 「韓国が経済成長で国力をつける一方、世界における日本の相対的地位が下がったこと。根底にはこうした変化があると思います。韓国の姿勢も『日本に…

閣僚の靖国神社参拝について(4) ~宗教否定とマルクス思想~

マルクスは言う。 《宗教は、人間的本質が真の現実性をもたないがために、人間的本質を空想的に実現したものである。それゆえ、宗教に対する闘争は、間接的には、宗教という精神的芳香をただよわせているこの世界に対する闘争なのである。 宗教上の悲惨は、…

「自由」には制限が必要だ

《自由という言葉からは、しなやかさを連想します。ですが最近「表現の自由」は縮こまっているように感じます》(9月22日付東京新聞社説) と社説子は言う。が、どうして「自由」は<しなやか>なのであろうか。「自由」とは「抑圧」のない状態ということで…

戦前の汚名を雪(すす)げ(2) ~戦勝国の犬~

安倍戦後70年談話を出すに先立ち意見を求めた有識者懇談会の報告書は次のように記す。 「日本は満州事変以後、大陸への侵略を拡大し、第1次世界大戦後の民族自決、戦争違法化、民主化、経済的発展主義という流れから逸脱して世界の大勢を見失い、無謀な戦争…

戦前の汚名を雪(すす)げ(1) ~春秋に義戦なし~

《「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」 日本国憲法の前文にあるこのくだりを文字通りに受け止めた非武装中立論は、戦後日本で長く一定の賛意を得てきた。日米同盟を「わが国を戦争に巻き込むもの」と批…

民主主義を立て直す方法:「くじ引き」について(2) ~民主主義は絶対ではない~

《とりわけフェイスブックやツイッターといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が普及してから、政治家は自分の言動に有権者がどう反応しているか、即座に把握できるようになった。消費者に衝動買いしてもらうように、マーケティングで有…

民主主義を立て直す方法:「くじ引き」について(1) ~民主主義の足掻(あが)き~

民主主義を立て直す方法として、選挙をやめ、くじ引きを導入するように提唱したダーヴィッド・ヴァン・レイブルック著『選挙制を疑う』が今、話題のようだ。 《減り続ける投票率、金や人脈がものを言う選挙戦。有力者の声しか反映されない政治に人々は背を向…

年金問題について(3) ~家族の復興こそ重要~

《日本の将来設計を描くとき、最も基礎的な条件は人口減少である。しかも平均寿命は延び続ける。この人口構成の大変動に耐えうる社会保障が求められている》(7月3日付毎日新聞社説) <将来設計を描く>とは、まさに左翼「設計主義」の謂(い)いであり、ソ…

年金問題について(2) ~家族解体による孤立感や疎外感~

《内閣府の国民生活に関する世論調査(18年度)で、人々が感じる悩みや不安のうち最も多いのは「老後の生活設計」である。 一方、人々が充実感を感じるのは「家族だんらんの時」が最多だ。「友人や知人と会合、雑談している時」も多い。家族や隣近所のつな…

戦後日本を強化する憲法改正論について(3) ~「東京裁判史観」を見直せ~

《憲法は国家の基本原則を定めたものだ。国家としての連続性を保証するものでもある。時代を超えて、変えてはならないものがある》(7月7日付毎日新聞社説) だったらどうして敗戦後、大日本帝国憲法は継承されなかったのか。実際、日本側は継承しようとした…

「民主主義の退潮を食い止めよ」という読売社説(4) ~民主主義は絶対ではない~

《民主主義の脆弱(ぜいじゃく)さを認識した上で、民意をより良く反映し、安定した政治を実現できる制度を築き直さねばならない》(5月4日付読売新聞社説) どうして<民意をより良く反映>する制度を築き直さねばならないのだろうか。むしろ熱し易く冷め易い…

「民主主義の退潮を食い止めよ」という読売社説(3) ~見えているのは日本の「影」~

プラトン『国家』に「洞窟の比喩」というものがある。 「地下にある洞窟状の住いのなかにいる人間たちを思い描いてもらおう。光明のあるほうへ向かって、長い奥行きをもった入口が、洞窟の幅いっぱいに開いている。 人間たちはこの住いのなかで、子供のとき…

「民主主義の退潮を食い止めよ」という読売社説(2) ~「哲人政治」が必要だ~

《中露両国は強権政治で国内の異論を抑え込み、欧米の混乱を横目に国際的な影響力を拡大した。 中国の習近平国家主席も、ロシアのプーチン大統領も、自らに都合の良い方向に憲法を改正し、長期政権を可能にしている。権威主義的な統治は、ハンガリーやトルコ…

「民主主義の退潮を食い止めよ」という読売社説(1) ~民主主義こそが混乱の原因~

《平成が始まった1989年の米ソ冷戦終結と、その後のソ連崩壊は、自由民主主義体制の勝利と受け止められた》(5月4日付読売新聞社説) このような言い方が誤解を招くのである。米ソ冷戦とは「自由主義」対「全体主義」の戦いだったのであり、ソ連邦崩壊を…

女系天皇について(4) ~静謐な議論こそ必要だ~

《立憲民主党は11日、安定的な皇位継承を確保するための論点整理を発表した。女性天皇、父方に天皇がいない女系天皇、女性宮家創設のいずれも容認する。皇位継承順は男女の別にかかわらず、天皇直系の長子を優先する》(6月12日付東京新聞朝刊) 私には、立…

女系天皇について(3) ~女系天皇論の危険~

《現在の制度では女性皇族は結婚すれば皇族でなくなり、皇族の数は減っていく。私としては女性皇族には結婚後も皇室に残ってもらって女性宮家を創設し、層を厚くして皇室を守る形を作る必要があると考えている》(長浜博行「女性・女系天皇 代替わりをきっか…