保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

2020-01-01から1年間の記事一覧

来年度予算案を巡って(2) ~妄想に憑りつかれた新聞各紙~

11月28日放送のテレビ討論番組「朝まで生テレビ」において主流派の頭目・竹中平蔵氏が衝撃発言を行った。 「財政均衡論は間違いだったことが判った」 「戦争でも起こらない限り供給能力は維持されているのでインフレにはならない」 「現状なら100兆円…

来年度予算案を巡って (1) ~<財政規律>という世迷い言~

各紙12月22日付社説は、菅政権が初めて編成した来年度予算案が過去最高の106兆円超となったことを取り上げている。 《財政規律のたがが外れてしまったと言うほかない…感染防止対策や失業防止のための休業支援などは理解できる。問題は、コロナ禍と関…

うんざりする針小棒大の安倍批判(3) ~人民裁判に掛けようとする野蛮~

《安倍氏側は、前夜祭にかかった費用の記載方法について、総務省に問い合わせていた。記載の必要があることを認識しながら、なぜ書かなかったのか。 秘書は、記載しないことが「慣例だった」と供述しているという。政治資金の公開原則をないがしろにする処理…

うんざりする針小棒大の安倍批判(2) ~許せない親安倍マスコミの批判~

私が許せないのは、反安倍マスコミのみならず、親安倍マスコミも同調し批判していることである。 《政治資金の透明化を目指した法律が、日本のリーダーの足元で踏みにじられていた。安倍前首相は猛省し、説明責任を尽くさねばならない》(12月25日付読売…

うんざりする針小棒大の安倍批判(1) ~言葉のインフレ~

《「桜を見る会」の前夜祭の費用を安倍前首相側が補填(ほてん)していた問題で、東京地検は安倍氏を不起訴とし、公設第1秘書を政治資金規正法違反(不記載)の罪で略式起訴した》(12月25日付朝日新聞社説) 各紙社説はここぞとばかりに食って掛かる。…

選択的夫婦別姓について(6) ~伝統とは長い目で見るべきもの~

《結婚制度や夫婦のあり方というのは、非常に長い時間で見ないと、いいか悪いか本当のことは分らないものだ、ということなんです。「人間一人の一生では見切れないものが沢山ある。それが伝統というものだ」とハイエク先生から直接聞いたことがありますが、…

選択的夫婦別姓について(5) ~家族解体はアノミーを招来する~

《デュルケイムは19世紀後半のフランス人で、社会学の祖というべき人である。 彼は人間にとって、また社会にとって、連帯感がいかに重要であるかという学説を展開した。 人間の連帯感のもっとも基礎となるのは家族である。家族の連帯感が親族に及び、地域…

選択的夫婦別姓について(4) ~恣意的な多様化と単一化~

《最高裁は平成27年、夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定について合憲とした。夫婦が同一姓にすることは社会に定着し、「家族の呼称として意義がある」と認めた。 判決の中では、姓を変えることの不利益は、旧姓の通称使用が広まることで「緩和され得る」とし…

選択的夫婦別姓について(3) ~憲法第13条 個人の尊重~

《民法の規定は差別的だとして、政府は国連女性差別撤廃委員会から再三廃止を求められてきた》(11月30日付中國新聞社説) 国連という言い方をするから誤解する。国連とは日本を敵国とみなす憲章を持ち続ける対日「連合国」(United Nations)なのである…

選択的夫婦別姓について(2) ~別姓夫婦は家族なのか~

《困っている人がいれば、寄り添い、解決策を探る。当たり前のことだろう。なのに長年にわたり放置されてきた問題がある。 夫婦が希望すれば結婚前の姓を名乗れる「選択的夫婦別姓」制度の導入だ》(12月2日付日本経済新聞社説) おかしな道徳論をぶつも…

選択的夫婦別姓について(1) ~「時代の要請」の「時代」とは何か~

《希望すれば結婚後も別々の姓を名乗れる選択的夫婦別姓の導入への機運が急に熱を帯びてきた。 伝統的な家族観を重んじる保守層の反対が根強かった自民党内で推進派が勢いを増しつつある。菅義偉首相も自身が推進の立場で議員活動をしてきたことに「責任があ…

参院選1票格差の最高裁「合憲」判断について(5) ~格差解消の妙案~

《1972(昭和47)年12月に行われた衆議院総選挙について,最高裁は,当時最大で1対4.99に達していた投票価値の較差につき,議員定数配分規定全体が不可分一体として違憲の瑕疵(かし)を帯びるにいたっていると判断したが,その前提として,「…

参院選1票格差の最高裁「合憲」判断について(4) ~「平等病」~

《「違憲」とした裁判官は、格差是正に向けた国会の努力不足を批判している。 国会は、15年公選法改正の付則で「19年選挙に向け、必ず結論を得る」と明記し、抜本的な選挙制度の見直しを約束していた。これについて、以降の取り組みは「内容が乏しい」と…

参院選1票格差の最高裁「合憲」判断について(3) ~合憲としなかったのは15名中4名~

《これで司法のお墨付きが得られた訳ではない。是正努力が不十分で、著しい不平等が続いているとして、15人の裁判官のうち3人が「違憲」とする反対意見を述べ、1人が「違憲状態」とした。重く受け止める必要がある》(11月19日付京都新聞社説) 他紙…

参院選1票格差の最高裁「合憲」判断について(2) ~「人間の権利」と「国民の権利」~

《前々回16年選挙で導入された鳥取・島根、徳島・高知の合区を、反対論もあるなかで維持したことを評価し、「格差是正を指向する姿勢が失われたと断ずることはできない」と述べ、合憲の結論を導いたのだ。 その視線はどこを向いているのか。立法府の振る舞…

参院選1票格差の最高裁「合憲」判断について(1) ~朝日社説の「八つ当たり」~

《「1票の格差」が最大3・00倍だった昨年7月の参院選は投票価値の平等を定める憲法に違反するとして2つの弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟で、最高裁大法廷は「合憲」とする統一判断を示した。 全国14の高裁・高裁支部の判断は16件中14件が…

国債増発とインフレについて(3) ~「緩やかなインフレ」論~

《人びとの慣習と繁栄度が不変、つまり、社会が富のほぼ不変量の実質高に対する支配を現金の形でもつ、換言すれば、流通貨幣総量がほぼ一定の購買力をもつとすれば、あらゆる流通紙幣は、その流通高とは無関係にほぼ同じ総実質価値をもつ、ということである…

国債増発とインフレについて(2) ~課税方法としてのインフレ~

Lenin is said to have declared that the best way to destroy the Capitalist System was to debauch the currency. By a continuing process of inflation, Governments can confiscate, secretly and unobserved, an important part of the wealth of th…

国債増発とインフレについて(1) ~国債がただの紙切れになると煽る人達~

近年の国債増発が戦時下と似通っているとして問題視する向きがある。 大東亜・太平洋戦争直前の1941(昭和16)年、隣組読本『戦費と国債』なる大政翼賛会制作の冊子が国民に配られた。 このように<心配は全然無い>と言っていた国債が戦後紙切れ同然…

川辺川ダム建設容認に難色を示す無責任(3) ~共同責任は無責任~

《方針転換の理由について、知事は「命と環境の両方を守ってほしいという民意だ」と説明した。苦渋の決断だったのだろうが、災害が起きるまで具体的な治水対策を講じることができなかった責任は重い》(11月22日付中國新聞社説) 蒲島知事が責任をとらな…

川辺川ダム建設容認に難色を示す無責任(2) ~政治は結果責任~

《国は今回、ダムがあれば浸水は6割減ると試算した。推進したい国の試算は過大になりがちだ。 一方、ダム中止を受けて検討した複数の代替策は、事業費が最大1兆円を超え、工期も50年以上とされたことから具体化できずにいる。これらの試算も妥当なのか、…

川辺川ダム建設容認に難色を示す無責任(1) ~脱ダム病~

《7月の豪雨で氾濫した熊本県・球磨川を巡り、蒲島郁夫知事は支流での川辺川ダム建設の容認を近く表明する見通しという。 流域の住民の間で賛否は分かれている。ダムについて一定の効果が示される一方で、専門家から異論も出ている。 結論を急がず、もっと…

「GO TO・桜・学術会議」(4) ~まとめ~

《日本の科学研究が軍事と距離を置くのは、平和国家として当然であり、歴史の教訓でもある。 軍部とそれに迎合する政治家が学問や表現の自由を弾圧して破滅的な戦争に突き進み、国民に大きな犠牲を強いて、塗炭の苦しみを与えた。政治家はその重い事実を決し…

「GO TO・桜・学術会議」(3) ~「学術会議」編~

《軍事研究を強いるという真の狙いが明らかになってきた。日本学術会議が推薦した会員候補のうち6人の任命を菅義偉首相が拒否した問題。総合的、俯瞰(ふかん)的判断と言い、真の狙いを隠すのは国民を欺(あざむ)く。(中略)。国会が決めた法律の趣旨を…

「GO TO・桜・学術会議」(2) ~「桜を見る会」編~

《首相の国会答弁が虚偽だったら、審議の前提は崩れ、立法府の行政に対するチェックも働かなくなる。政治への信頼を揺るがす深刻な事態だというのに、菅首相には、その危機感も反省もみられない。 きのうの衆参両院の予算委員会の集中審議で焦点となったのが…

「GO TO・桜・学術会議」(1) ~「GO TOキャンペーン」編~

「GO TOキャンペーン」、「桜を見る会」、「学術会議人事介入」。これらのどれにもまったく触れないのも異様であろうが、これを三幅対(さんぶくつい)で論難するのもまた異様である。 そして「GO TO・桜・学術会議」を一組にし、嬉々(きき)として難じるの…

日本学術会議完全民営化に否定的な井上担当相について

《井上信治科学技術政策担当相は5日までに産経新聞の単独インタビューに応じ、日本学術会議に関し、在り方を見直して新たな組織となった後も「(人員や財源の確保に)一定の国の支援は当然だ」と述べ、完全民営化には否定的な認識を示した》(産経ニュース2…

2050年カーボンニュートラル宣言について(4) ~<天から降ってきた御託宣>を真に受ける人達~

《日本は電力の8割近くを、化石燃料を燃やす火力発電に依存している。太陽光や水力、風力といった再エネは2割に満たない。 エネルギー基本計画では、30年度の再エネ比率を22~24%と定める。これでは不十分だ。現在、計画の改定が進んでいるが、電源…

2050年カーボンニュートラル宣言について(3) ~科学とはオカルトの大衆化~

《サイエンスとテクノロジーが、論理と価値の両面において、壁にぶつかっているのは確かである。皮肉なことに両者は繁栄ゆえの枯渇に悩まされているのだ。つまり、まず互いに矛盾する異なった仮説がともに事実に適合するというような事態が科学において頻繁…

2050年カーボンニュートラル宣言について(2) ~シナ、アメリカに排出削減を迫るのが本筋~

本当に地球環境を考え、温室効果ガスを削減しなければならないと思っているのなら、その最大排出であるシナ、アメリカに排出削減を迫るべきである。 (経済産業省資源エネルギー庁HP「日本のエネルギー2018「エネルギーの今を知る10の質問」」より)…