保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

古文・漢文オワコン論について(1) ~<使わない>から必要ないは短絡~

《元2ちゃんねる管理人で実業家のひろゆき氏がブチ上げた古文・漢文「オワコン論」がネット上で大きな話題となっている》(東スポWeb 2/22(月) 11:57 配信) が、高校の情報という科目で既にPC学習は行っているし、2022年から家庭科で「投資信託」を…

米国弾劾裁判:トランプ氏無罪から考える(2) ~米国の民主主義とは超富裕層が既得権益を守ることなのか~

《原則や規範を無視したトランプ氏のふるまいは、4年前の就任時から繰り返されていた。司法を軽んじ、事実に基づく報道を敵視し、分断をあおる政権を議会与党は黙認してきた》(2月17日付朝日新聞社説) 司法判断が必ずしも正しいとは限らない。報道が常…

米国弾劾裁判:トランプ氏無罪から考える(1) ~民主主義は本当に脆弱なのか~

《トランプ氏の支持者らが連邦議会議事堂を占拠した事件を巡る弾劾(だんがい)裁判で、議会上院はトランプ氏を無罪とする評決を下した。 陪審員役の上院議員100人のうち、有罪としたのは与党・民主党系の50人に野党・共和党の7人を加えた57人だった…

「嫁」と言っちゃ駄目なのか(2) ~「時・処・位」を考えない言葉狩り~

関西弁における<アホ>という言葉は、やしきたかじんがテレビ番組で力説してもいたように、本来愛情のある言葉である。が、この言葉のニュアンスが理解できない関西人が増えてきたこともまた事実なのであろう。だから<アホ>と言う言葉を発せられただけで…

「嫁」と言っちゃ駄目なのか(1) ~言葉の「沸点」が異様に低い人達~

2月16日放送の『火曜サプライズ』(日本テレビ系)において、俳優の松山ケンイチが発した一言が波紋を広げている。 松山:すごい節約してる。10代の頃は毎週服屋行ってたけど、服を買わない。髪を切るとかも… (ここでウエンツが、散髪代を浮かすために…

都合の良い民主主義を語る民主主義信者(3) ~目指すべきは英国流の民主主義~

《第一次世界大戦後のドイツも同様です。当時、最も民主的な憲法とされたワイマール憲法を持ちながらも、ヒトラー率いるナチスの独裁を許し、戦争や虐殺で多くの命が失われました》(2月7日付東京新聞社説) が、丸山眞男は次のように言う。 《日本のファ…

都合の良い民主主義を語る民主主義信者(2) ~戦前の日本も民主主義~

《近代民主政治は、基本的人権の尊重、国民主権、権力分立という基本原理に基づいています》(2月7日付東京新聞社説) <人権>だの<国民主権>だのと言うこと辺り、<近代民主政治>なるものがいかに左翼色が強いのかが分かるだろう。歴史的、伝統的なも…

都合の良い民主主義を語る民主主義信者(1) ~「国民主権」は民衆の暴走を止められない~

《米国のバイデン大統領は1月20日の就任演説で、冒頭から民主主義に言及しました。 「今日はアメリカの日です。民主主義の日です」「私たちは候補者の勝利でなく、民主主義の大義の勝利を祝います」「私たちは再認識しました。民主主義は貴重で壊れやすい…

米下院が「ジェンダー用語」の書き換えを求めたことについて(3) ~自由を抑圧する平等~

当時、次世代の党に所属していた杉田水脈(すぎた・みお)議員は衆院本会議において、次のように指摘した。 「本来日本は、男女の役割分担をきちんとした上で、女性が大切にされ、世界で一番女性が輝いていた国です。女性が輝けなくなったのは、冷戦後、男女…

米下院が「ジェンダー用語」の書き換えを求めたことについて(2) ~公衆と新聞~

人類及びその社会は専門分化することで高度化を遂げてきた。男女の役割分担もその一つだと言えよう。が、<ジェンダーフリー>は逆に、社会の<低度化>を目指そうというものである。 《古代は卓越という方向において弁証法的である〔ひとりひとりの偉人―そ…

米下院が「ジェンダー用語」の書き換えを求めたことについて(1) ~忍び寄るジェンダーフリー~

Leaders in the House of Representatives announced on Friday a rules package for the 117th Congress that includes a proposal to use “gender-inclusive language” and eliminate gendered terms such as “father, mother, son, daughter,” and more. …

森会長の辞任について(4) ~アンファン・テリブル~

《辞任に追い込んだのは、市民の声である》(2月13日付毎日新聞社説) <市民>が大きな声を挙げれば、自分たちが気に入らぬ権力者を放逐(ほうちく)出来るかのように考えるのは、フランス革命前夜にも似た危険極まりない発想である。社会は声の大きな者…

森会長の辞任について(3) ~共産主義が<世界標準>ではない~

朝日社説子は、森氏の発言が 《女性の存在をおとしめ、五輪のイメージを失墜させた》(2月13日付朝日新聞社説) と言う。が、そうしたのは、森発言よりもむしろ大衆を煽り騒ぎ立てたマスコミの方ではなかったか。 「女性がたくさん入っている理事会が時間…

森会長の辞任について(2) ~多様性という画一~

《遅きに失している。ジェンダー平等や個人の自由への意識が低い国として、国際社会における日本の地位を低下させた責任も重大だ》(2月12日付北海道新聞社説) 果たして日本は<ジェンダー平等への意識が低い国>なのか。 この結果を見れば、むしろ日本…

森会長の辞任について(1) ~大衆を煽るマスコミ~

《東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が辞意を固めた。女性蔑視ととられる発言が国内外の反発を買ったことでの引責である…その労は多とするが、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと述べた一連の発言は、内容もタイミングも…

行政改革会議最終報告を読む(3) ~「司馬史観」という脆弱な土台~

これら一連の文章を物した人物は憲法学の権威、佐藤幸治・京都大学名誉教授ではないかと推測される。実際、佐藤氏は自著に次のように書いている。 《8月の集中審議に向けて、これら3つの柱を内容とする「行政改革の理念と目標」を私が執筆するよう求められ…

行政改革会議最終報告を読む(2) ~「統治客体意識」なる妄想~

《保守派は「改革」を、というより改革と聞いただけで良き事態の発生を予期してしまう独断を、忌避する。このようなドグマは、「持続せるものへの愛着」を持たぬものたちに特有の、進歩主義という「偽装のイデオロギー」(固定観念)であり、それがかならず…

行政改革会議最終報告を読む(1) ~神をも恐れぬ改革~

旧聞に属する話で恐縮だが、「行政改革会議」最終報告(1997(平成9)年12月3日付)に次のような文言が出て来る。 《われわれの取り組むべき行政改革は、もはや局部的改革にとどまり得ず、日本の国民になお色濃く残る統治客体意識に伴う行政への過度…

英国のTPP加盟申請について

《英国が環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を正式に申請した。自由化の水準が高い貿易圏を、アジア太平洋地域の枠を超えて拡大できるのは喜ばしい》(2月3日付日本経済新聞社説) 英国のTPP参加は、第2の日英同盟とも言えるのであって、日本にと…

森元首相「女性がたくさん入っている会議は時間かかる」発言について(3) ~マスコミの八つ当たり~

《組織委の会長がその取り組みを揶揄(やゆ)し、女性理事ひいては女性全般を侮辱したのだ。責任は極めて重い。 問われるのは森氏だけではない。発言があった際、出席していたJOCの評議員らからは笑いがおき、たしなめる動きは一切なかった。山下泰裕会長…

森元首相「女性がたくさん入っている会議は時間かかる」発言について(2) ~逆差別~

が、やはり聞き手に女性を批判したかのように受け取られるような話し方をした森氏にも問題はある。はっきり言えば、話し方が下手なのである。言っていることは間違っていなくても、話の組み立て方や表現法が下手くそなので反感を買ってしまうのだ。「神の国…

森元首相「女性がたくさん入っている会議は時間かかる」発言について(1) ~切り取り批判~

東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が3日、日本オリンピック委員会の臨時評議員会で、「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」と発言したことが波紋を広げている。 4日放送のワイドショー「羽鳥慎一モーニン…

半藤一利『昭和史』を批判的に読む(7) ~許せない先人侮辱~

《ルーズベルトから「サミットなどとんでもない、お断り申し上げる」と言ってきました。すると途端に「やーめた」と10月16日、近衛内閣はひっくり返ってしまいます、というより、自ら御前会議で決めた期限である10月上旬を過ぎ、事態が進まないことを…

半藤一利『昭和史』を批判的に読む(6) ~大東亜共栄圏の虚妄~

《7月2日の第1回御前会議において、日本は何を決めたのか。それが重大事です。 「帝国は大東亜共栄圏を建設し……支那事変処理に邁進し、自存自衛の基礎を確立するため、南方進出の歩をすすめ、また情勢の推移に応じ、北方問題を解決す」 簡単にいいますと…

半藤一利『昭和史』を批判的に読む(5) ~コミンテルンのスパイ・尾崎秀実~

《ドイツがソ連に進攻するバルバロッサ作戦を開始した後に開かれた大本営政府連絡会議では…日ソ不可侵条約を自ら決めてきたばかりの松岡外務大臣が、その舌の根も乾かないうちに「直ちにソ連を攻撃せよ」と言って周囲を驚かせ、反発も受けましたが、構わず松…

半藤一利『昭和史』を批判的に読む(4) ~ノモンハン事件~

《ご存じのように、太平洋戦争では日本は見る影もなく撃ち破られるのです。昭和19年(1944)7月にサイパン島が陥落し、もはや太平洋戦争に勝利はないと確定した時、作戦課長であった服部卓四郎大佐はこう言ったといいます。 「サイパンの戦闘でわが陸…

半藤一利『昭和史』を批判的に読む(3) ~千人針~

《笑い話を一つ。わたくしもよく覚えていますが、子供のころ、都市の街角には「愛国婦人会」「国防婦人会」としるしたたすきをかけたおばさんたちが立ち、道行く人に「お願いします」と千人針―赤いぼつぼつで絵をかたどった手拭(てぬぐ)いを赤い糸で千人の…

半藤一利『昭和史』を批判的に読む(2) ~戦陣訓~

《昭和14年2月に日本陸軍省がひそかにつくった「秘密文書第404号」というのが残っています。そこに「事変地より帰還の軍隊、軍人の状況」という、中国から帰国した軍人から聞き書きをした記録があります。 「戦闘間一番嬉しいものは掠奪で、上官も第一…