保守論客の独り言

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英国のTPP加盟申請について

《英国が環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を正式に申請した。自由化の水準が高い貿易圏を、アジア太平洋地域の枠を超えて拡大できるのは喜ばしい》(2月3日付日本経済新聞社説)

 英国のTPP参加は、第2の日英同盟とも言えるのであって、日本にとってこれ以上慶賀なことはない。

《英国がTPPを選んだのは、自由主義の価値観を共有する地域との連携を強め、中国をけん制しながらアジアの成長を取り込もうと考えたためだ。

 欧州連合(EU)離脱後、主体的に経済外交を展開している姿をアピールする思惑もうかがえる》(2月3日付毎日新聞社説)

 毎日社説子はEUを離脱した英国に良い印象を持っていないからこのようなどこか棘(とげ)のある言い方になっているのだろう。が、TPPが自由主義協定である限り、英国がこれに参加するのはもっともなことである。<アジアの成長を取り込もうだ>の<主体的に経済外交を展開している姿をアピールする思惑>だのといったことよりも先に、権威主義勢力の拡大をいかに抑えていくのかという観点から考えていくべきことであろうと思われる。

《自由化の水準低下につながる変更を英国が求めてきた場合は、応じるべきではない。

 安易に妥協すれば、中国にいたずらに期待感を抱かせることにもなりかねない。中国は近年、貿易協定を通じて経済のルール構築を主導しようとする動きを強め、TPPにも秋波を送っている》(同)

 後から協定に参加する国が協定内容の変更を迫るのは本来おかしいのだろうが、変更要求は一切受け付けないなどという頑(かたく)なな態度をとる必要はない。英国の参加は歓迎すべきだという意味もあるが、それよりも重要なことは、TPPという自由貿易協定は今後いかにあるべきかということも視野に入れて交渉を進めるべきだということである。

 が、TPP参加にあたって、英国の要求を受け入れることはあっても、シナの要求を受け入れることは絶対にあってはならない。TPPはシナ包囲網という意味合いがあるのだから、TPPにシナが入ってくることなど有り得るはずがない。

《もともとTPPは、中国の牽制(けんせい)を目的に米国が主導していたが、「米国第一」を掲げるトランプ前大統領が離脱を決めた。バイデン新政権も自国の雇用や産業を優先する考えで、早期復帰には消極的な姿勢を示している。

 一方で、中国の不公正な貿易慣行の是正には、米国を含めた多国間の協調で対処することが望ましい。英国が加わったTPPは、そのための強力な枠組みとなろう。政府は、粘り強く米国に復帰を働きかけねばならない》(2月2日付読売新聞社説)

 米国のTPP参加は必須であろう。日英米が連携し、新たな自由貿易の秩序を構築することが最終目的と言ってもよいくらいである。