保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

2018-01-01から1年間の記事一覧

野党に巣食う「ナショナリズム的なるもの」(2) ~ご都合主義的「反対論」~

《私が使っている広い意味でのナショナリズムには、共産主義、政治的カトリシズム、シオニズム、反ユダヤ主義、トロツキズム、平和主義、といったような運動や傾向も含まれる。それは必ずしも政府や国家に対する忠誠を意味せず、ましてや自分の国に対する忠…

野党に巣食う「ナショナリズム的なるもの」(1) ~反対のための反対~

先の臨時国会において桜田義孝五輪相が野党に弄(もてあそ)ばれる映像がたびたびテレビ画面に映し出されるのを観て「いやはや」と思った人は多いだろう。 《連日の桜田バッシングを見ながら、筆者の心を占めたのは、逆にマスコミに対する大きな怒りと、野党…

憲法に規定された天皇の存在の危うさ(2) ~お言葉が政治利用される懸念~

「第二次世界大戦後の国際社会は、東西の冷戦構造の下にありましたが、平成元年の秋にベルリンの壁が崩れ、冷戦は終焉を迎え、これからの国際社会は平和な時を迎えるのではないかと希望を持ちました。しかしその後の世界の動きは、必ずしも望んだ方向には進…

憲法に規定された天皇の存在の危うさ(1) ~憲法に書き込まれたコミンテルンの陰謀~

《天皇陛下は12月23日、85歳を迎えられた。2019年5月の退位を前に、天皇としての誕生日を過ごすのはこの日が最後になる》(時事通信社2018年12月23日 11時04分 JST) 私は、天皇誕生日に先だった記者会見で、宮内庁記者クラブが提出した質問に対し、次のよう…

IWC脱退について ~日本が捕鯨にこだわるのはなぜ?~

《政府は26日、国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を発表し、菅義偉官房長官談話を発表した》(産経ニュース2018.12.26 11:23) 曰く 《わが国は、古来、鯨を食料としてばかりでなくさまざまな用途に利用し、捕鯨に携わることによってそれぞれの地域が支…

レーダー照射問題について

《海上自衛隊のP1哨戒機が、石川県能登半島沖の海上で通常の警戒監視活動をしていたところ、韓国海軍の駆逐艦から火器管制用レーダーを照射された。 場所は日本の排他的経済水域(EEZ)内で、P1は回避行動を強いられた。照射は、目標物をミサイルなど…

LGBT問題は政治問題か文学問題か(4) ~政治は個人の主観を救えないか~

《政治は個人の「生きづらさ」「直面する困難」という名の「主観」を救えない。 いや、救ってはならないのである。 個人の生―性―の暗がりを、私たちはあくまで個人として引き受けねばならない。その暗がりに政治の救いを求めてはならず、政治もまた同調圧力…

LGBT問題は政治問題か文学問題か(3) ~政治と文学~

評論家・福田恆存(ふくだ・つねあり)氏は、かつて 《政治と文學とは本來相反する方向にむかふべきものであり、たがひにその混同を排しなければならない》(『一匹と九十九匹と』:『福田恆存全集 第1巻』(文藝春秋)、p. 643) と言った。中島岳志教授は…

LGBT問題は政治問題か文学問題か(2) ~同性婚にこだわるのは阿呆臭い?~

LGBT問題は弱者救済であるからして左寄りの人達が熱心なはずの課題である。が、それが「同性婚」を認めよという話になると、そっぽを向く人もいる。 上野(千鶴子) 最近、パクス法というもんが、おフランスというところにできたそうで、はしゃいでる人…

LGBT問題は政治問題か文学問題か(1) ~同性婚に立ちはだかる憲法の壁~

杉田水脈論文が問題となった際、私は『新潮45』10月号の特集「そんなにおかしいか『杉田水脈(みお)』論文」に掲載された小川榮太郎「政治は『生きづらさ』という主観を救えない」を論評に値しないものとして排除した。 が、中島岳志・東京工業大学教授が…

辺野古への土砂投入について(3) ~主権在米~

日本国憲法には主権在民が謳われている。が、主権者とは憲法を制定する権限を有する者だとすれば、日本国憲法を制定したのは当時日本を占領下に置いていた米国であり、いまだこの憲法を有難く戴いている限りにおいて、日本の本当の主権は米国にあると言うべ…

辺野古への土砂投入について(2) ~敗戦後遺症~

《住宅や学校に囲まれた普天間飛行場を移設し、騒音被害や事故の危険性を低減させる重要な意味を持つ。 中国は海洋進出を続け、南西諸島を含む東シナ海の現状を変更しようとしている。沖縄の米海兵隊は、日本の防衛にとって欠かせない抑止力となる》(12月…

辺野古への土砂投入について(1) ~米国の意向に逆らえない戦後日本~

余談だが、朝日新聞と毎日新聞の社説の表題が対称的で面白い。 《辺野古に土砂投入 民意も海に埋めるのか》(12月15日付朝日新聞社説) 《辺野古の土砂投入始まる 民意は埋め立てられない》(12月15日付毎日新聞社説) やはり<民意は埋め立てられな…

迷走する英国のEU離脱問題について(2) ~英国の混迷に学べ~

《この1週間の英政界の混乱は極まった感がある。 メイ首相がEUと合意した離脱協定案は、下院で与野党ともに反発が強い。承認の採決は見送られ、首相は議場とEU首脳との間で右往左往した。 与党の強硬派はただ離脱を叫び、野党側には政権交代への思惑が…

迷走する英国のEU離脱問題について(1) ~移ろい行く民意を追いかけても無駄だ~

《欧州連合(EU)離脱が来年3月末に迫っているというのに、英国が混迷の淵から抜け出せずにいる。離脱方法を定めたEUとの合意を英議会は承認できず、そのめどすら立たないのである。 このままでは何らの合意もなしに離脱の日を迎えかねない。そうなれば…

高速炉について ~開発の必要性をまず論じよ~

《廃炉作業中の高速増殖原型炉「もんじゅ」の後継となる高速炉開発について、経済産業省の作業部会が工程表の骨子をまとめた》(12月12日付産經新聞主張) ほとんどの人がこのような話が進んでいることを知らないに違いない。「もんじゅ」が大失敗だった…

「次の質問どうぞ」と繰り返した河野外相について

11日の記者会見における河野太郎外相の対応が批判を呼んでいる。 《日ロ平和条約交渉について「日本が第2次大戦の結果を認めることが第一歩だ」というロシアのラブロフ外相の発言への見解を尋ねた質問を無視し、「次の質問どうぞ」。 日本の立場を表明し…

「言論の府」足りえなかった臨時国会

左寄りの新聞は相変わらず的を射ぬ政権批判を繰り返しているけれども、右寄りの産經新聞までもが今回の国会運営についてご立腹の様子である。 《国会議員が建設的な議論や質問を展開し、法案や政策について政府が丁寧に説明責任を果たす。それが尽くされれば…

12月8日を風化させるな!(4) ~封印された日米開戦の歴史~

《真珠湾は米国の戦争支持派に、渋る国民を参戦させることに躊躇する議会への従属を免れる手段を提供した。そして惨事のまさにその規模がルーズベルトと彼の顧問に惨事を引き起こした政策から注意をそらす機会を与えたのである。国民が12月7日を純粋に軍事的…

12月8日を風化させるな!(3) ~「最初の一発」を撃たせる罠~

《12月6日(筆者注:日本時間は7日)の夕刻には、送られてきた全文、すなわち第1部から第13部までの暗号解読が完了した。日本側はアメリカの提案に不満足であり、それを拒否する、という内容である。電文は戦闘的な言辞に満ちていた。 その夜、ルーズ…

12月8日を風化させるな!(2) ~歴史の証言~

日米開戦について、評論家小林秀雄は次のように書いた。 《「來るべきものが遂に來た」といふ文句が新聞や雑誌で實(じつ)に澤山使はれてゐるが、やはりどうも確かに來てみないと來るべきものだつたといふ事が、しつかり合點(がてん)出來ないらしい。 「…

12月8日を風化させるな!(1) ~大東亜戦争 vs. 太平洋戦争~

1941(昭和16)年12月8日は大東亜・太平洋戦争開戦の日である。日本の命運を左右する賽(さい)が投げられた重要な日であるが、もうこれまでに語りつくしたからか、それともこれ以上取り上げたくないからか、12月8日を特別視しようとするマスコミ…

憲法審査会について(2) ~木に竹を接ぐ改正案~

《憲法審は伝統的に与野党協調を重視して運営されてきた。国家の根幹である憲法の改正論議には与野党の枠を超えた幅広い合意が必要との共通認識があったためだろう。 だが、今回は異例の会長職権で開催に踏み切り、幹事を選任しただけで実質審議は行われなか…

憲法審査会について(1) ~自民の横暴、野党の怠慢~

《今国会で初めてとなる衆院の憲法審査会が先ごろ開かれた。 自民党は9条への自衛隊明記など4項目の改憲条文案を提示するため早期開催を求めていた。立憲民主や国民民主など野党6党派は開催強行に反発し、欠席した》(12月5日付京都新聞社説) 自民も自民…

防衛大綱見直しについて(3) ~自衛隊にはめられた2つの箍~

《国際情勢の変化に応じて防衛力を見直すことは必要だ。しかし、他国に脅威を与える装備を買いそろえたり、防衛費を際限なく増やすことで、憲法の趣旨である「専守防衛」を逸脱してはならない》(11月29日付東京新聞社説) <憲法の趣旨>とは何か。元来憲法…

防衛大綱見直しについて(2) ~「サイバー戦」&「情報戦」は進行中~

岩屋毅防衛相は就任記者会見で敵基地反撃能力保持についての考えを問われ、 「現段階では(敵基地攻撃は)米国の打撃力に依存している。それを変更する考えはない」(産経ニュース 2018.10.4 19:38) と答えた。これに対し産經主張子は、 《だが、全面的依存…

防衛大綱見直しについて(1) ~敵基地攻撃能力を議論すべし~

《政府が、2013年に決定した防衛計画の大綱(防衛大綱)を来月、改定する。おおむね10年先を見据えた計画を、5年で見直すことになった。政府の想定を超えて、安全保障環境が悪化したためである》(11月24日付読売新聞社説) こんな女々しい言い訳…

香山リカ女史の講演会中止について ~利己的な言論の自由~

《集会や言論の自由の萎縮につながるような行政の判断が、京都で相次いだ。 南丹市が企画した子育て応援行事で、精神科医の香山リカさんの講演会を中止した。 同市には香山さんの講演に対する「抗議」が電話で5件、来庁で1件あった。「日の丸の服を着て行…

秋篠宮殿下の大嘗祭発言について(3) ~政教分離と憲法~

《秋篠宮さまが…新天皇の即位に伴い、来年秋に予定されている大嘗祭(だいじょうさい)について「宗教色が強いものを国費でまかなうことが適当かどうか。すっきりしない感じをもっている」と述べた》(12月1日付朝日新聞社説) <述べた>と敬語を使わず書か…

秋篠宮殿下の大嘗祭発言について(2) ~権威と権力の二権分立~

《天皇は「国政に関する権能を有しない」と憲法4条に定められている。このため、皇族は天皇に準じて、基本的に政治的な発言を控えるというのが習わしだった。 その中で、秋篠宮さまはこれまでも天皇の負担軽減を図るために「定年制は必要」と述べるなど、皇…