保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

レーダー照射問題について

海上自衛隊のP1哨戒機が、石川県能登半島沖の海上で通常の警戒監視活動をしていたところ、韓国海軍の駆逐艦から火器管制用レーダーを照射された。

 場所は日本の排他的経済水域EEZ)内で、P1は回避行動を強いられた。照射は、目標物をミサイルなどで正確に射撃するための準備行為だ。人に銃口を向けることと変わらない。

 極めて危険かつ、敵対的な行為だ。国際社会においては、照射された側が自衛権の行使で直ちに反撃しても問題ないとされるほどの事案である》(12月23日付産經新聞主張)

 この日本側の主張に対し、韓国側はそのような事実はなかったと真っ向から否定する。

韓国海駆逐艦20日鬱陵島・独島(日本名:竹島)近くの漁場で操業中だった北朝鮮漁船が遭難したとの連絡を受けて救難活動に乗り出した。小さな漁船を見つけるため、東海(日本名:日本海)を日本側に移動した際、一般のレーダーより精密な火器管制用レーダーも作動させたという》(12月24日付朝鮮日報社説)

《故意性なく船舶救助の作戦中に起こったという説明にもかかわらず、日本政府とメディアが韓国海軍がまるで「他意」があったように追及することは度を越した反応だ。当時、海上の気象状態が悪く、機能が優れた火器レーダーまで総動員した状態で、その過程で近くの上空を飛行していた日本の哨戒機にも照射されたという韓国側の説明に不十分な点があるなら、両国の外交・安保ラインを通じて問題を追加提起し、説明を聞く過程を踏めばいい》(12月24日付東亜日報社説)

 が、火器管制レーダーは攻撃のため対象に電波を当てるものであり、小型漁船を捜索するために用いるようなものではない。そのため一転、今度は火器管制レーダーは使っていないと言い張る。

《韓国国防省は、海自機が駆逐艦の上空を通過する「異例の飛行」を行ったため、光学カメラで監視した、と主張する。火器管制レーダーは運用していないという》(12月26日付読売新聞社説)

 これでは、その場しのぎの説明を繰り返して恥じないのが韓国という国なのだと国際社会が判断しても仕方がないだろう。

 それにしても私が解(げ)せないのは、反日世論に迎合的な韓国政府はともかく、韓国軍は冷静な判断が下せる組織であると思われていたにもかかわらず、嘘を嘘で塗り固めるように応対してしまったのはどうしてなのかということである。このようなことでは朝鮮有事が勃発したとしても共同活動を行うことが出来なくなってしまう。

 一部の軍人が面白半分でレーダーを照射するのと訳が違う。そのような人間がいれば厳正に処罰すればよい。が、国として黒を白と言い包(くる)めようとするのだとすれば、日本側も国として厳しく応対せざるを得ない。

 これがうやむやにされてしまっては、次はレーダー照射だけでは済まずミサイルが実射されないとも限らない。だとすれば、次にレーダー照射が同様に確認されれば、先に攻撃活動に出ざるを得ないという事態にもなりかねない。そういう判断が韓国側が出来ないのは不思議である。