保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

黒川検事長の辞職について(2) ~<法の支配>とナチス~

<法の支配>にとって何とも都合悪いのが「ナチスドイツ」の存在である。このことを糊塗(こと)しようとするから何を言っているのか分からなくなる。 《「法の支配」の原理に類似するものに、戦前のドイツの「法治主義」ないしは「法治国家」の観念がある。…

黒川検事長の辞職について(1) ~法の支配~

《東京高検の黒川弘務(ひろむ)検事長が辞表を提出した。コロナ禍で外出自粛が求められているさなかに、産経新聞記者の自宅で賭けマージャンをしたと週刊文春が報じ、法務省の聞き取りに氏も事実を認めたという。 公訴権をほぼ独占し、法を執行する検察官と…

芸能人の政治的発言について(4) ~対案なき無責任な反対~

《絶対に認められないことがある一方で、例えば、夫婦別姓制度などは、是か非か以外に選択制という第三の道がある。「妥協」というと、「敵-友」といった単純な二項対立的政治観に立てば、否定的な意味となろうが、本来は読んで字の如(ごと)く、多様な人…

芸能人の政治的発言について(3) ~ころっと騙される政治素人~

芥川賞作家の平野啓一郎氏は言う。 《「政治について語ること」は、依然としてタブー視されがちである。政治は立法を伴って、一つの社会システムを形成するために、対立する意見に優劣をつけ、選択を迫ることになる。検察庁法改正によって、内閣や法務大臣に…

芸能人の政治的発言について(2) ~反論を許さない独り善がり~

《テレビや新聞、雑誌、インターネット上などで名前や顔が知られ、数多くのファンを抱える芸能人は確かに、社会の秩序や反響の大きさを意識して発言すべきだろう。だが、誰しも自分の意見や考えを公表、発信する行為をためらう必要はない。 憲法は21条で、…

芸能人の政治的発言について(1) ~自分だけの自由を欲しがる人達~

《今国会での採決が見送られた検察庁法改正案を巡り、民主主義の根幹を揺るがしかねないと感じた社会現象があった。芸能人らが会員制交流サイト(SNS)で発した法改正反対の意見に、差別発言とも言える批判が出たことだ》(5月24日付河北新報社説) <…

GDP連続減について(3) ~発想の転換が必要だ~

《企業経営者は「新常態」に適応した働き方改革や収益戦略を練り直し、国民一人ひとりの感染防止に向けた努力も改めて問われよう》(5月18日付日本経済新聞社説) 景気が堅調であれば、働き方を見直そうという話も分からなくもないが、今直面している困難な…

GDP連続減について(2) ~日経社説も変~

《政府は追加対策となる第2次補正予算案を検討している。経済成長の悪化を受け、補正の中に規模の大小を問わず企業の急激な経営悪化を防ぐための施策を確実に盛り込むべきだ。 具体的には政府系金融機関を通じた事実上の政府保証による融資枠の大胆な拡充策…

GDP連続減について(1) ~おかしなことを言う読売社説~

《1~3月期の実質国内総生産(GDP)の速報値は、前期比の年率換算で3・4%減だった。消費増税の影響を受けた前期より減少率は縮小したが、約4年ぶりに2四半期連続のマイナス成長となった》(5月19日付読売新聞社説) この統計を見て、読売社説子は…

検察庁法改正見送りについて(4)  ~議論出来ない国会の方がよほど問題~

今の国会議員に「議論」を望むのは「無い物強請(ねだ)り」ということなのかもしれないが、本来国会議員とは国会で議論をするために選挙で選ばれた人達のはずである。 国民の声を聞いて、ただそれを政策に反映すればよいだけであれば、今ならインターネット…

検察庁法改正見送りについて(3)  ~国会を軽視する枝野立憲代表~

立憲民主党の枝野幸男代表は次のように言う。 「こんにちは、枝野幸男です。検察庁法の改悪についてこの国会で強引に採決をすることを政府与党は断念をしたようです。ちょうどこの動画を録画をしているこの時間帯、与野党の国会対策の担当者の間で、今様々な…

検察庁法改正見送りについて(2)  ~さっしーの暴露~

フジテレビ『ワイドナショー』(17日放送)でタレントの指原莉乃(さっしー)が今回の騒動について私見を述べた。 東野幸治:指原さん、どうなんですか。芸能人が政治的なことを呟くっていうのが、なんか、もっと勉強してから呟け、とかいうような意見もあっ…

検察庁法改正見送りについて(1)  ~議会制民主主義の破壊~

《内閣の裁量で検事総長や高検検事長らの定年延長を可能とする特例を盛り込んだ検察庁法改正案は今国会での成立が見送られた》(5月19日付毎日新聞社説) これをもって朝日新聞の鮫島浩氏は次のようにツイートした。 7年以上に亙って安倍政権の横暴を許し…

学習遅れ「複数年で解消」について ~現場感覚を尊重すべきだ~

《新型コロナウイルスの影響による休校の長期化で学習の遅れが深刻になっていることを受け、萩生田光一文部科学相は15日の記者会見で、予定していた学習内容を年度内に終えられない場合、「特例的に最終学年以外は、複数年度の教育課程の編成を認める」と…

核燃料サイクルについて(2) ~<高速炉>は1つの試金石~

《いま、国内外にある日本のプルトニウムは、6千発の原爆に相当する46トンにものぼる。その削減が日本の国際公約だ。 にもかかわらず、新たにプルトニウムを取り出せば、「唯一の戦争被爆国なのに、本当にプルトニウムを減らす気があるのか」と国際社会か…

核燃料サイクルについて(1) ~後ろ向き思考をやめよ~

《青森県六ケ所村に日本原燃が建設している使用済み核燃料の再処理工場について、原子力規制委員会が新規制基準に適合するとの審査書案を了承した》(5月14日付朝日新聞社説) が、朝日社説子は、 《原発で使い終えた核燃料を再処理してプルトニウムを取り出…

「#検察庁法改正案に抗議します」と呟く流行り病(5) ~山尾志桜里衆院議員の論点整理~

山尾志桜里衆院議員が論点を次の4つに絞って意見を述べている。 ①「国家公務員の定年引上げにまで反対するのか」 ②「検察官も国家公務員なんだから同じでよいじゃないか」 ③「起訴独占主義や人質司法の問題に比べれば些末」 ④「反対する人は検事総長は誰が…

「#検察庁法改正案に抗議します」と呟く流行り病(4) ~朝日の民主主義は勝手主義~

《権力の暴走を防ぐためにどんな仕組みをつくるか。三権の均衡と抑制をいかに図るか――。この民主主義の基本を首相は理解していないし、理解しようともしない》(5月12日付朝日新聞社説) 朝日の言う<民主主義の基本>とは何か。まさか行政府に属する検察庁…

「#検察庁法改正案に抗議します」と呟く流行り病(3) ~産經・田北女史の解説~

産經新聞 月刊『正論』編集長・田北真樹子女史は、次のように解説する。 「芸能人の皆さんがこういう風に発言するのは私はまったく否定しないんですけど、何に皆さん否定するのか分かった上でやられるべきだと思うんですね。で、この方々が果たして一つ分か…

「#検察庁法改正案に抗議します」と呟く流行り病(2) ~火事場泥棒と呼ぶ下品~

落語家でタレントの笑福亭鶴瓶が10日、MBSラジオ「ヤングタウン日曜日」で次のように語った。 「歴史の教科書にあかん人載りますよ。この政権あかん人が多いなって出ますわ」 「いい政治家と悪い政治家が分かる。俯瞰(ふかん)でみられない政権をやっとんな…

「#検察庁法改正案に抗議します」と呟く流行り病(1) ~芸能人たちに何があった?~

突如有名芸能人が政治に目覚め、続々と「#検察庁法改正案に抗議します」とツイートしている。 <株式会社明後日>とは、自身が代表を務める小泉今日子である。余程KYON2(キョンキョン)は安倍晋三首相が嫌いなのであろう。4月22日付のツイートでも「アベノ…

緊急事態条項は憲法に必要か(7) ~カール・シュミット「委任独裁」~

《ドイツの法学者カール・シュミットが言う「委任独裁」が思い出される。戦争など非常時に主権者の全権委任によって一時的、例外的に行われる独裁である》(5月3日付北海道新聞社説) シュミットは、「独裁は、ローマ共和国の賢明なる発明」だと言う。 《…

緊急事態条項は憲法に必要か(6) ~国家総動員法は軍部独走ではない~

《しかし、国権が最優先され、個人の権利が著しく抑えられた過去があることを忘れてはならない。1938年に制定された国家総動員法だ。「私権」を制限する法制度の下で国家統制が敷かれ、国民の徴用などを国家が自由にできるようになった。行き着いた先は…

緊急事態条項は憲法に必要か(5) ~我が道を行く産經新聞~

唯一産經新聞だけが緊急事態条項の意義を説く。 《国民に最大限の自由や権利を認め、いつも通りの丁寧な手続きで法律を作り、政府や自治体の行動を決める平時の体制のまま、有事や内乱、大災害といった深刻な緊急事態を乗り切ろうとすると、かえって国民の被…

緊急事態条項は憲法に必要か(4) ~占領下帝国議会の金森答弁にすがる人達~

《コロナ禍を利用した改憲論はナンセンスと考えます。不安な国民心理に付け込み、改憲まで持っていこうとするのは不見識です。現在、国会議員に感染者はいません。ならば今後、感染しないよう十分な防護策を取ればよいだけではありませんか》(5月3日付東…

緊急事態条項は憲法に必要か(3) ~ナチス・ドイツに例える愚~

《憲法は、衆参両院は総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開けないと定める。緊急事態においては、定足数を満たせない可能性はありうる。 立法府が機能しなければ、予算や法案を成立させることができず、的確に対処できまい》(5月3日付読売新聞…

緊急事態条項は憲法に必要か(2) ~自縄自縛の立憲主義~

《国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という憲法の理念は、国民に定着し、日本の発展に大きく寄与した。 一方、一度も改正されていない憲法は、急速に変化する日本や国際社会に対応しきれていない。憲法を不断に見直し、適切に機能させることが求められる…

緊急事態条項は憲法に必要か(1) ~毎日社説の頓珍漢~

今年の憲法記念日の各紙社説は、憲法に「緊急事態条項」を追記するかどうかを巡るものであった。 《自民党は緊急事態への対処をテーマに憲法論議を始めるよう野党に求めている。安倍晋三首相は緊急事態条項の導入について「重く大切な課題」と述べ、国会の論…

9月入学制移行は短絡的(2) ~春は物事を始めるのに最適の季節~

コロナ禍で少なくとも4月、5月の2か月分の授業の遅れが生じ、これをどのように処理するのかの名案が浮かばず、それどころか、5月末で学校が再開できるのかどうかの見通しもままならない状況であるとすれば、一層のこと「9月入学」にしてしまった方が、欧米な…

9月入学制移行は短絡的(1) ~「9月入学」に向け動き出した?~

またぞろ戦後日本人の「奴隷根性」が鎌首を擡(もた)げてきた。 《政府は30日、新型コロナウイルス感染拡大による休校長期化を受け、「9月入学」の実現に向け具体的な検討作業に入った。 来年秋からの制度化を想定。杉田和博官房副長官が関係府省の事務次官…