保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

核燃料サイクルについて(1) ~後ろ向き思考をやめよ~

青森県六ケ所村に日本原燃が建設している使用済み核燃料の再処理工場について、原子力規制委員会が新規制基準に適合するとの審査書案を了承した》(5月14日付朝日新聞社説)

 が、朝日社説子は、

原発で使い終えた核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、改めて原発で燃やす核燃料サイクル政策はもはや破綻(はたん)している》(同)

と言う。同様の認識を示す他紙社説も少なくない。

《すでにサイクル政策は八方ふさがりの破綻状態にある》(5月15日付京都新聞社説)

《肝心の核燃料サイクルはすでに破綻しており…》(5月15日付北海道新聞社説)

《核燃サイクルの構想は既に破綻している》(5月14日付信濃毎日新聞社説)

 成程、既存の核燃料サイクル政策は破綻しているということなのであろう。が、だからといって核燃料サイクル構想自体を放棄しなければならない訳ではない。

 確認すべきは、核燃料サイクル政策が必要かどうかである。

《政府や電力業界は、核燃料サイクルによる発電を「準国産エネルギー」と位置づけ、資源の少ない日本にとって欠かせない政策として推進してきた》(同、朝日社説)

 この認識が今なお変わらないのであれば、今ある核燃料サイクル政策を見直すなり新たな政策を立案すればよい。要は、今後のエネルギー安全保障問題をどう考えるのかということが問題なのである。

《全国の原発では、使用済み核燃料が再処理工場への搬出を待っている。施設内の燃料プールが満杯に近づく原発もあり、電力業界は「再処理工場が動かないと、発電に支障をきたす恐れもある」としている。

 工場が稼働すれば、最大で年間800トンの使用済み核燃料を処理できる。各原発の燃料プールが満杯になる事態を回避できるのは確かだ》(同)

 <使用済み核燃料>をどうするのか。これが第一の問題である。工場が稼働しなければ、これまで産出されたものはおろか今後産出される<使用済み核燃料>すら処理出来ないのである。

《しかし、工場がフル稼働すれば、年間7トンほどのプルトニウムが新たに取り出される。問題は、その使い道がほとんどないことである。

 プルトニウム消費の本命だった高速炉は、ナトリウム漏れ事故を起こした原型炉もんじゅ廃炉で開発が行き詰まった。もんじゅ後継の実証炉をつくるめどもない。政府はフランスの実証炉アストリッド計画への参加を検討したが、仏政府が計画の縮小を決めるなど暗礁に乗り上げた。現地では計画の断念も取りざたされている。

 一方、ウランとプルトニウムをまぜたMOX燃料を普通の原発で燃やすプルサーマルも広がっていない。現時点で実施しているのは4基で、電力業界がめざす16~18基には遠く及ばず、プルトニウムを大量に消費するのは難しい》(同)

 であれば、<高速炉>開発に力を入れるべきだし、原発の安全性を高めつつプルサーマルを推進すればよいのである。【続】