保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

経済

自民党総裁選:経済政策

19日朝のNHKのテレビ番組『日曜討論』に自民党総裁選候補が出演し論戦を交わした。 河野太郎氏:「アベノミクスで企業の利益は非常に大きくなったが、個人の所得につながってこなかったところがある。賃金を上げることによって、所得を増やす。そのため…

サナエノミクスについて(3) ~第2の矢と第3の矢が不分明~

《『アベノミクス』の第3の矢「民間活力を引き出す成長戦略」は、規制緩和などで創意工夫を促進し、より生産性の高い産業・企業に生産要素(労働・資本)が流れやすいようにして経済全体の生産性を向上させようとする「改革」が主でした。 働き方改革、農政…

サナエノミクスについて(2) ~「第2の矢」に欠けているインフラ投資~

《『アベノミクス』の第2の矢「機動的な財政出動」は、デフレ脱却のためのマクロ経済政策を担う需要拡大のためのものでした。残念ながら、財務当局がこだわった「PB(プライマリー・バランス=基礎的財政収支)黒字化目標」の下、結果的には緊縮財政を継…

サナエノミクスについて(1) ~並び立たない「3学説」~

自民党総裁選に立候補した高市早苗元総務相は自身が掲げる経済政策を次のように述べる。 《私の経済政策は、『ニュー・アベノミクス』と呼んでも良いものだと思います。 『アベノミクス』は、第1の矢が「大胆な金融緩和」、第2の矢が「機動的な財政出動」…

経済音痴の日経社説

日本経済新聞は、一般紙とは異なった視点を提供してくれると思っている向きもおそらく少なくないのだろう。が、私の目には度々それが「おかしなもの」に映ってしまうのである。例えば、コロナ禍の今、財政再建の必要を前面に出すようなところである。 《少子…

来年度予算案を巡って(2) ~妄想に憑りつかれた新聞各紙~

11月28日放送のテレビ討論番組「朝まで生テレビ」において主流派の頭目・竹中平蔵氏が衝撃発言を行った。 「財政均衡論は間違いだったことが判った」 「戦争でも起こらない限り供給能力は維持されているのでインフレにはならない」 「現状なら100兆円…

来年度予算案を巡って (1) ~<財政規律>という世迷い言~

各紙12月22日付社説は、菅政権が初めて編成した来年度予算案が過去最高の106兆円超となったことを取り上げている。 《財政規律のたがが外れてしまったと言うほかない…感染防止対策や失業防止のための休業支援などは理解できる。問題は、コロナ禍と関…

国債増発とインフレについて(3) ~「緩やかなインフレ」論~

《人びとの慣習と繁栄度が不変、つまり、社会が富のほぼ不変量の実質高に対する支配を現金の形でもつ、換言すれば、流通貨幣総量がほぼ一定の購買力をもつとすれば、あらゆる流通紙幣は、その流通高とは無関係にほぼ同じ総実質価値をもつ、ということである…

国債増発とインフレについて(2) ~課税方法としてのインフレ~

Lenin is said to have declared that the best way to destroy the Capitalist System was to debauch the currency. By a continuing process of inflation, Governments can confiscate, secretly and unobserved, an important part of the wealth of th…

国債増発とインフレについて(1) ~国債がただの紙切れになると煽る人達~

近年の国債増発が戦時下と似通っているとして問題視する向きがある。 大東亜・太平洋戦争直前の1941(昭和16)年、隣組読本『戦費と国債』なる大政翼賛会制作の冊子が国民に配られた。 このように<心配は全然無い>と言っていた国債が戦後紙切れ同然…

アベノミクス検証について(4) ~トリクルダウン~

《アベノミクスの恩恵を受けたのは、大企業など一部にとどまった。大企業や富裕層が潤えば、それが滴り落ちるように地方や中小零細企業にも行き渡る、という「トリクルダウン」理論のシナリオ通りにはいかず、かえって格差を広げている。多くの国民にとって…

アベノミクス検証について(3) ~計画経済か家父長的か~

《金融緩和と財政出動だけでは景気を刺激しても一時的で終わるのが通例だ。民間主導の成長にバトンタッチできなければ、本格的な回復は望めない。アベノミクスも金融、財政に続く第三の矢として成長戦略の強化を目指した。 首相は選挙のたびに成長戦略と称し…

アベノミクス検証について(2) ~アベノミクスの影~

《誤算の最大の要因は、賃金が伸び悩んだことだ。円安に伴い、大企業は輸出で潤った。だが国民には十分還元されず、景気の柱である消費は低調だった。 格差問題も深刻化した。首相は雇用改善を強調したが、賃金が低い非正規労働者が大半だった。一方、株高の…

アベノミクス検証について(1) ~アベノ「ミックス」の蹉跌(さてつ)~

各紙社説が安倍政権最大の看板政策「アベノミクス」の検証というか再批判を行っている。 《安倍政権はまず、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を掲げた。金融政策手法の「異次元」さこそ際だったが、この「3本の矢」自体は不況…

GDP大幅減について

《内閣府が17日に発表した2020年4~6月期の国内総生産(GDP)は物価変動の影響を除いた実質で前期比7.8%、年率換算では27.8%それぞれ減った。 減少率はリーマン危機直後の09年1~3月期(年率17.8%減)を超え、景気の体感に近い…

「オオカミ少年」藤巻健史氏について(3) ~日銀の破綻は避けられない?~

《コロナショックをきっかけに働き方も変わる。年功序列型賃金や終身雇用制は限界だ。これからは雇用の流動化が進む》(AERA dot. 2020.5.16 10:30) 1980年代バブルが弾ける前から言われてきたことである。一体どれほど遅れた情報を持ち出してくるので…

「オオカミ少年」藤巻健史氏について(2) ~単式簿記で財政判断をする単細胞~

藤巻氏は次のように解説する。 「財政赤字解消のためには増税しかありません。財政赤字を放置してもなんとかなるのなら消費税どころか所得税も法人税も国は徴収する必要がないことになります。そうでないのなら財政再建のためには、どこかで増税が必要です。…

「オオカミ少年」藤巻健史氏について(1) ~MMTは「ブードゥー経済学」か~

経済評論家の藤巻健史(ふじまき・たけし)氏は言う。 《政府は大規模な財政出動で経済の悪化を食い止めようとしており、個人も企業もお金をもらうことを考えている。国債を発行して財政出動をするなら、本来は将来の増税を考えないといけない。国債は将来の…

財政再建派マスコミの迷妄を撃つ

「経世済民」(世の中をよく治めて人々を苦しみから救う)が解らないマスコミが多過ぎる。 《政府は楽観的な見通しを排し、財政再建に向けた道筋を描き直すべきだ》(8月2日付読売新聞社説) 《現実に即した財政再建の目標や道筋を再検討すべきだ》(8月…

新型コロナ対策として「交通税」導入を主張する学者

新型コロナウイルス感染拡大防止のための活動自粛がやっと解かれる中、これに逆行するかのような驚くべき提言が飛び出してきた。 《経済活動について、ゼロか百かではなく、中間程度の自粛のような状況を生み出す政策がある。価格を通じたインセンティブ(誘…

GDP連続減について(3) ~発想の転換が必要だ~

《企業経営者は「新常態」に適応した働き方改革や収益戦略を練り直し、国民一人ひとりの感染防止に向けた努力も改めて問われよう》(5月18日付日本経済新聞社説) 景気が堅調であれば、働き方を見直そうという話も分からなくもないが、今直面している困難な…

GDP連続減について(2) ~日経社説も変~

《政府は追加対策となる第2次補正予算案を検討している。経済成長の悪化を受け、補正の中に規模の大小を問わず企業の急激な経営悪化を防ぐための施策を確実に盛り込むべきだ。 具体的には政府系金融機関を通じた事実上の政府保証による融資枠の大胆な拡充策…

GDP連続減について(1) ~おかしなことを言う読売社説~

《1~3月期の実質国内総生産(GDP)の速報値は、前期比の年率換算で3・4%減だった。消費増税の影響を受けた前期より減少率は縮小したが、約4年ぶりに2四半期連続のマイナス成長となった》(5月19日付読売新聞社説) この統計を見て、読売社説子は…

国債購入上限撤廃への批判について(2) ~戦後の日本封じ込め政策~

《わが国の財政法は、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」(第4条)とし、国債の発行を原則として禁止しています。 この規定は、戦前、天皇制政府がおこなった無謀な侵略戦争が、膨大な戦時国債の発行があっては…

国債購入上限撤廃への批判について(1) ~時代遅れの「財政ファイナンス」論~

MMT(現代貨幣理論)によって経済的視野が一変した。このことが分からない議論が各紙社説に蔓延している。 《中央銀行が青天井で国債を引き受けて政府の赤字を埋める「財政ファイナンス」は本来、禁じ手だ。通貨の信認が失われ、極端なインフレなどの弊害を…

消費増税の失敗を責められないマスコミ

《昨年10~12月期の国内総生産(GDP)は実質で年率6・3%減と大幅なマイナス成長に陥った。昨年10月の消費増税に伴い、GDPの約6割を占める消費が落ち込んだ。 政府は増税前、2兆円規模の手厚い経済対策を講じた。それでもマイナス幅は、20…

財政健全化病について(2) ~反・経世済民~

《安倍首相の言葉からは、財政健全化を達成しようという本気度が伝わってこない。目標が形骸化しているのではないか。 政府は、その指標となる基礎的財政収支(PB)の黒字化を2025年度に実現するとしている。 第2次政権になってから7回の施政方針演…

財政健全化病について(1) ~財務省の嘘宣伝~

《国と地方の長期債務(借金)の残高は20年度末に1125兆円に達する。これは国内総生産(GDP)の約2倍にあたる規模で、先進国で最悪の水準だ》(1月20日付北海道新聞社説) などと言われてきた。にもかかわらず、日本社会は暗くはない。それはなぜ…

元日社説読み比べ(6) ~「イノベーション」を煽る「死の舞踏」~

《第1になすべきは企業の変革である。社会保障などを担う国の体力を強くするには、産業競争力を高めねばならない。人事制度の見直しに着手した会社は多い。デジタル化やグローバル化は、従来通りのやり方では対応できないことに気づいたのである。 生産性を…

元日社説読み比べ(4) ~「平和呆け」の読売社説~

《日本は今、長い歴史の中でみれば、まれにみる平和と繁栄を享受している。 世界に大きな戦争の兆しはない。安倍首相の長期政権下で政治は安定している。諸外国が苦しむ政治、社会の深刻な分断やポピュリズムの蔓延(まんえん)もみられない。 経済成長率は実…