保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

GDP連続減について(1) ~おかしなことを言う読売社説~

《1~3月期の実質国内総生産(GDP)の速報値は、前期比の年率換算で3・4%減だった。消費増税の影響を受けた前期より減少率は縮小したが、約4年ぶりに2四半期連続のマイナス成長となった》(5月19日付読売新聞社説)

 この統計を見て、読売社説子は変なことを言う。

《コロナショックが日本経済の成長にブレーキをかけたことが、経済統計で裏付けられた》(同)

 コロナショックで景気が落ち込んでいることは、統計的な<裏付け>などなくとも、誰の目にも明らかであった。

《今回の結果は年初から政府の緊急事態宣言前までの経済状況を反映している。悪化した最大の要因はGDPの約6割を占める個人消費の落ち込みだ。自粛ムードは2月から始まっており、予想通りの結果といえる》(5月19日付東京新聞社説)

 <裏付け>という言葉を使うのなら、

《先週、アパレル大手レナウンが極度の売り上げ不振により経営破綻した。コロナ禍の影響が中小だけでなく大企業にも及びつつあることを裏付けた形だ》(同)

のように、真偽が定まっていないことに使うのが常套(じょうとう)である。さらに、

《深刻な不況に陥らないよう、官民で手立てを尽くすことが重要である》(同、読売社説)

と言うのであるが、既に不況は深刻な状態に陥っている。

《心配なのは宣言後の実態を表す4~6月期で、経済活動の自粛が一気に加速した時期だ。年率20%以上の歴史的なマイナス成長を覚悟する必要もあるだろう》(同、東京社説)

 官民で手立てを尽くせばなんとかなると思っているところも不思議である。

《1~3月期のGDPは、内外需ともに総崩れの様相となった。

 内需は2本柱の個人消費と設備投資に加え、住宅投資も2四半期連続でマイナスだった。

 新型コロナウイルスの感染が拡大するにつれて、消費者と企業の心理が冷え込んだのだろう》(同、読売社説)

 この分析も的外れである。事は<心理>の問題ではない。実際、3月には学校が休校となり、不要不急の外出自粛が要請されてもいる。

感染症との闘いは長期戦を覚悟せざるを得ない。新型コロナとの共存を前提に、経済を正常に近づける努力を続けたい》(同)

 本当におかしなことを言う。経済活動を犠牲にしても感染の広がりを抑えようとしたのが緊急事態宣言であった。多くの自治体で緊急事態宣言が解除された今、経済をいかに再起動するのか、それが問われているのであって、今は<経済を正常に近づける>などという局面にない。状況把握があまりにもずれている。【続】