保守論客の独り言

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兵庫県知事選にみるデモクラシーの限界(6)朝日社説その1

《組織的な支援がなかった斎藤氏を押し上げたのは、最近の国政・地方選挙と同様、SNSでの発信だった》(2024年11月19日付朝日新聞社説)

 若者の支持が高かったことから、斎藤氏の再選は、SNSによるものではないかというのである。

MBS出口調査YAHOO!ニュース11/17(日) 20:00配信)

 オールド・メディアは、斎藤氏を批判した。だから、オールド・メディアから情報を得ている人達は、稲村女史に投票したはずだと思っているとしたら、認識が甘いだろう。オールド・メディアがいまだ信用されているのであれば、そうなるのかもしれない。が、オールド・メディアが、有権者を誘導すべく、偏った情報を流し続けていることは、もはや周知の事実となりつつある。

 が、年齢層が高くなればなるほど、いまだオールド・メディアを信じている割合は高い。だから、オールド・メディアを信用する高齢層は、斎藤氏を否定した。一方、信用していない若者層は、斎藤氏を否定しなかった、というだけのことではなかったか。そして、オールド・メディア以外の情報を吟味し、斎藤氏を支持したのではないかと考えられるのだ。

 オールド・メディア以外の情報の中で最も影響力が高いものがSNSであろうことは否定しない。が、必ずしもSNSだけが主導権を握ったわけではないのではないかと思うのである。詰まり、様々な情報を勘案し、総合的に見て、斎藤氏へ投票したのではないかと私は思うのだ。

《ネットは今や「主戦場」になりつつあるが、流れる情報が事実と異なれば有権者を惑わし、誤った選択に導くことにもなりかねない》(同)

 ネットの影響力が増大していることは確かだろう。が、ネットには真偽不明な情報が飛び交っているため、ネットを見ても、必ずしも斎藤氏を支持することにはならないのだ。

 話は変わり、次の問題は、至極厄介である。

《「斎藤氏を応援する」として立候補した立花孝志氏は、その狙いに沿った動画をサイトに投稿し続けた。政見放送でも「元県民局長がありもしないことをでっちあげて、メディアがさも本当のように取り上げた」と主張。男性のプライバシーに関するとされる話も語った》(同)

 問題は、法に触れなければ何をしても構わないという姿勢の人間を抑止することが可能なのかということだ。が、残念ながら、恐らく不可能であろう。

 法の基礎には道徳があり、幾ら法に抜け穴があろうと道徳がこれを捕捉し抑止することで「犯罪」は未然に防がれる。が、「法を犯しさえしなければいいんでしょ」といった非道徳的な考え方の持ち主にはこのような抑止効果は期待できないのだ。

《県議会百条委員会の調査では、男性への調査・処分が公益通報者保護法に反する可能性を複数の専門家が指摘。パワハラ疑惑についてもアンケートなどで一定数の職員が問題意識を示した。決して「ありもしないこと」ではない。

 立花氏以外にも、様々な誹謗中傷や事実無根の言説がネット上で飛び交った。客観的な事実に基づき主張を戦わせる環境整備が急務だ。正確な情報の流通はテレビや新聞、雑誌にも求められる。よりよい言論空間を目指し、取り組みを重ねたい》(同)