保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

2019-01-01から1年間の記事一覧

歴代最長安倍政権について(3) ~取って代わる人が育っていないのが最大の問題だ~

《「米中新冷戦」の開始は、米ソ冷戦終結以来約30年ぶりの国際構造の激変だ。安倍首相はトランプ米大統領と習近平中国国家主席の双方に笑顔をみせているが、危うい対応である。中国の脅威を見据え、自由と民主主義、「法の支配」、繁栄を守るべく、日本の…

歴代最長安倍政権について(2) ~集団的自衛権行使容認は違憲~

《これほどまでに日本国憲法をないがしろにした政権は、過去に例がなかろう。歴代内閣が維持してきた憲法解釈を一方的に変更して、集団的自衛権の一部行使に道を開いた》(11月20日朝日新聞社説) 例によって、同様の批判が幾つか見られる。 《安倍政権は、…

歴代最長安倍政権について(1) ~批判にならない朝日の批判~

取り上げるのが遅れてしまったが、安倍政権が先月20日、歴代最長政権となった。 《安倍首相の通算在任日数がきょう2887日となり、明治・大正期に3度首相を務めた桂太郎を抜いて最長となった。短命に終わった第1次政権の後、12年12月に発足した第2…

PISA:読解力低下について(5) ~早期英語教育より国語教育を優先すべし~

《よく引用されるものに2つの調査があります。 ひとつは「小学校英語推進派」であるJASTEC(日本児童英語教育学会)のプロジェクトチームが行なった調査です。 これは小学校で英語を学んだ中・高校生と、そうでない中・高生、849人を対象に英語技能の熟達度…

PISA:読解力低下について(4) ~文科省よ、大人しくしていてくれ~

《文部科学省は今後、小中高校の国語の授業などで、文章の論理展開を重視した指導を充実させる方針だという。論理的思考力の涵養(かんよう)に加え、文学に親しむ時間もしっかりと確保して、他者への共感性や想像力を培いたい》(12月4日読売新聞社説) など…

PISA:読解力低下について(3) ~批判的読解が必要だ~

《日本はかねて、「自分の考えを他人に伝わるように根拠を示して説明する」のが苦手といわれてきた。今回もそれは克服できていない。文科省によると、誤答の一つのパターンとして、問題文中の一節を写すだけで、自分の言葉で解答していない答案が見受けられ…

PISA:読解力低下について(2) ~国語を蔑ろにした結果~

《PISAは日本の教育政策に大きな影響を与えてきた。03年調査でも読解力や数学の順位が大幅に低下し「ゆとり教育」が原因と指摘された。それを機に、全国学力テストが始まり、学習指導要領が改定されて授業時間が増えた。 その後、順位はいったん回復したが…

PISA:読解力低下について(1) ~国語を冷遇したつけ~

《経済協力開発機構(OECD)は3日、世界79カ国・地域の15歳約60万人の生徒を対象に2018年に行った学習到達度調査(PISA)の結果を公表した。日本は「読解力」が15位となり、前回15年調査の8位から後退した。「数学的応用力」は6位(前回5位)、「科学的応用…

風化する太平洋戦争(6) ~レーニンの認識論~

《人々が日本を朝鮮の冒険に誘いこもうとしたとき、日本人はアメリカ人にむかってこう言った、「もちろん、われわれはボリシェヴィキに勝つことができる。しかし、諸君はその代りにわれわれになにをくれるつもりか? 中国をか? われわれはどっちみち中国を…

風化する太平洋戦争(5) ~日米を彼らをたがいにいがみ合わせろ、と言うレーニン~

《将来の日米戦争という問題をあつかった膨大な文献がある。戦争が準備されつつあること、それが避けられないということ、このことには疑いの余地はない。平和主義者はこの間題を回避し、きまり文句でそれを塗りつぶそうとつとめているが、経済的諸関係と外…

風化する太平洋戦争(4) ~敗戦革命論~

《L・F・サフォード大佐は、当時、ワシントンの海事通信部で機密保全を担当していた。彼は、海軍提督(トーマス)ハートによる調査に対して、次のように答えている。 「12月4日、我々は2つの独立した情報源から、日本はアメリカ、英国を攻撃する、ただしソビ…

風化する太平洋戦争(3) ~自虐史観の呪縛~

《米大統領フランクリン・ルーズベルトは1940年10月8日の段階で、海軍大将ジェームズ・リチャードソンに対し「遅かれ早かれ、やつら(日本)は過ちを犯し、そしてわれわれは戦争に突入することになる」と語っていました。 陸軍長官ヘンリー・スチムソンの日…

風化する太平洋戦争(2) ~「自虐史観」の辻褄合わせ~

《正式決定の段階では落ちたが「南方施策促進に関する件」の大本営案(6月11日)には「対英米戦を賭するも辞せず」の部分があり、7月2日の御前会議で採択された「情勢の推移に伴う帝国国策要綱」(大本営決定は6月24日)では「対英米戦を辞せず」と強化され…

風化する太平洋戦争(1) ~歪められた日米開戦前の歴史~

過日12月8日は大東亜・太平洋戦争開戦の日であった。が、各紙社説はこのことをもはや取り上げもしない。 社説ではないが次のような記事を見掛けた。 《日本と米英の経済力の差について陸軍で報告がなされた。戦争となればわが方はもって2年、それ以上は耐え…

日本は「ポピュリズム」の台頭が見られない稀有な国

《11月19日の「天声人語」に、米国の政治学者である、ヤシャ・モンク氏の話が出てくる。ポピュリズム(大衆迎合主義)の危険性を訴え続けているモンク氏は、来日時のシンポジウムで、「多くの国を訪れましたが、ポピュリズムの台頭が見られない国に来た…

川崎ヘイト条例について(3) ~<ヘイト>と<表現の自由>の線引きは不可能~

《今も続く差別的な街頭宣伝に恐怖や苦痛を感じている住民がいる。ネット上でのヘイト被害も深刻となっている。その現実のもとに今回の条例は成立に至った。一方で、憲法の表現の自由との兼ね合いで、懸念の声もある》(12月13日付東京新聞社説) 問題は、<…

川崎ヘイト条例について(2) ~ヘイトか否かの判断は恣意的~

《特定の国や地域の出身者らに対し、拡声機を使って差別的言動を行うことなどを禁じる。市長がやめるよう勧告、命令しても従わない場合、個人や団体名を公表し、刑事告発する。裁判で有罪になれば、50万円以下の罰金を科す。 国として差別解消の理念を掲げ…

川崎ヘイト条例について(1) ~平衡を欠く「厳罰主義」~

《差別や排除をあおるヘイトスピーチに刑事罰を科す全国初の条例が、川崎市議会で全会一致で可決・成立した。 16年にヘイト対策法が施行され、極端に過激な言葉を使うデモの件数は減った。一方で、手口が巧妙・陰湿化した、一部で揺り戻しがあるといった声…

COP25について ~温暖化対策という政治ショー~

《第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)が2日、スペインの首都マドリードで開幕した。 (中略) アントニオ・グテーレス国連事務総長は2日の開幕式典で演説。「私たちは危険な地球規模の加熱を抑え込むための岐路に立っている」とし、…

2審であっさり覆される裁判員裁判について(2) ~「裁判員裁判の意味をもう一度考えてほしい」~

《大阪・心斎橋の通り魔事件で父親を亡くした中学2年の長女は最高裁の判決を受けて「頑張って決めてくれた裁判員の人たちの気持ちが無駄になってしまった」「裁判員裁判の意味をもう一度考えてほしい」と話した》(12月4日付産經新聞主張) この少女の思い…

2審であっさり覆される裁判員裁判について(1) ~最高裁のおかしな理屈~

《平成24年6月、心斎橋の路上で通行人の男女2人を無差別に刺殺したとして、殺人罪に問われた被告の上告審判決で、最高裁は1審裁判員裁判の死刑判決を破棄し、無期懲役とした2審大阪高裁の判断を支持した。裁判員裁判による死刑判決が2審で破棄された…

26兆円経済対策への疑問

《政府が経済対策を閣議決定した。事業規模は約26兆円となった。「アベノミクスの加速」を名目に、約28兆円に達した2016年の経済対策に匹敵する。 国の財政支出は約7・6兆円だ。19年度補正予算と20年度当初予算に分けて計上し、「15か月予算…

暴走国会議員(国民民主森ゆうこ・立憲民主石垣のりこ)を放置するのは何故だ

《自民党の塩崎恭久行政改革推進本部長が、国民民主党の森裕子参院議員について、自民党として、国会での懲罰(=除名、登院停止など)を求める請願の採択と懲罰実現に向け、最大限取り組むべきだと訴えた》(zakzak 2019.12.6) やっとのことでこのような声…

追悼:中曽根康弘元首相(2) ~靖国神社参拝をこじらせた元凶~

《三木首相によって中断された「公式参拝」を10年ぶりに復活させたことは中曽根首相の功績ではあるが…その参拝方式に重大な問題を残しただけではなく、不退転の意気込みで実現したはずの「公式参拝」そのものがいとも安易に取りやめられてしまうという無様な…

中曽根康弘元首相に想う(1) ~中曽根氏は「不沈空母」と言っていない~

《1982年11月から5年間、首相を務めた中曽根康弘氏が死去した。101歳だった》(11月30日付読売新聞社説) 中曽根氏に関しては稿を改めて功罪を検討してみたいと思っているが、取り敢えず2つの点について書いておきたい。 1つ目は、「不沈空母発言…

核抑止論について(4) ~核の議論を避けるな~

中川八洋氏は、 《日本人の多くは、「核=抑止力deterrent」(“抑止力”としての核)、という悪しき先入観の呪縛から脱け出ることができず、「“防衛力”としての核」を検討することが少なかった》(中川八洋『日本の核武装の選択』(徳間書店)、p. 178) と言…

核抑止論について(3) ~日本が自立するためには避けられない「核論議」~

西部邁氏は日本が核武装することが必要だと言う。 《その理由は、第一には日本が核武装諸国に囲まれていること、第二にアメリカから実質的に独立するには個別的自衛力を強めるほかないということである。 --とくに重要なのは核武装による対米独立なのであっ…

核抑止論について(2) ~核抑止論と力の均衡論~

《日本政府には、広島、長崎のような悲劇や核兵器使用の脅しから国民を守る責務がある。だから通常兵力と並んで核抑止力も日本の守りに加える政策を長らく採ってきた。この核抑止力は自前で用意せず、日米同盟に基づき米軍の核戦力つまり米国の「核の傘」を…

核抑止論について(1) ~核が廃絶された世の中が一番危険だ~

《来日していたローマ教皇(法王)フランシスコが被爆地長崎や広島での演説で、核兵器の使用や保有は「倫理に反する」と廃絶を訴えた。「核兵器は安全保障への脅威から私たちを守るものではない」と述べ、核抑止力を否定した。 「真の平和は非武装以外にあり…

ローマ教皇を政治利用する政教分離論者(3) ~原発を停めれば安全という浅慮~

《フランシスコ・ローマ教皇は25日、東京都文京区の東京カテドラル聖マリア大聖堂で開かれた「青年との集い」に出席した。集いには日本で暮らす難民申請者5人と難民留学生1人が招かれた。教皇は「苦難を経験し、皆さんの国で難民となることを求めてきた人た…