保守論客の独り言

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PISA:読解力低下について(1) ~国語を冷遇したつけ~

経済協力開発機構OECD)は3日、世界79カ国・地域の15歳約60万人の生徒を対象に2018年に行った学習到達度調査(PISA)の結果を公表した。日本は「読解力」が15位となり、前回15年調査の8位から後退した。「数学的応用力」は6位(前回5位)、「科学的応用力」は5位(同2位)になったが、世界トップレベルは維持した》(日本経済新聞2019/12/3 17:00)

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《03年調査では日本の順位や平均得点が下がって「PISAショック」と呼ばれ、文部科学省が「脱ゆとり教育」の路線を本格化させた。特にトップレベルにあった読解力が14位と急落。12年調査は4位に回復したが、15年調査で8位に下がっていた》(同)

 これはある意味当然の結果のように思う。やれ「小学英語」だ、やれ「英語4技能」だなどと「国語」を冷遇してきたからからこのようなことになったのだと思う。

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《目先の順位に一喜一憂することを疑問視する声もある。順位アップに躍起となって、受験者を選抜する参加国まであるという中での変動にすぎない。

 ただ、トップ水準を維持した科学的応用力の5位、数学的応用力6位と比べ、読解力は見劣りがする。12年以降、2回続けての低下傾向は、やはり捨て置くわけにいくまい》(12月17日付中國新聞社説)

 私も一喜一憂する必要はないとは思うけれども、6年前の4位から3年前は8位、そして今回は15位に下落したとなると、この下落傾向を食い止めるためにも、その原因が那辺にあるのかについて一定検討することも必要となってくるに違いない。

《デジタル機器を授業で使っている時間が、日本はOECD加盟国で最下位である。パソコンの画面上で長文を読み、キーボードで入力する解答形式に戸惑った受験者は多かっただろう。

 文部科学省も、成績低下の一因と受け止めたらしい。早速、「学校で1人1台のコンピューター」といった情報通信技術(ICT)環境の整備と活用などを課題に挙げている》(同)

 別にPISAで好成績を収めるために学生は勉強しているわけではない。今の時代、そしてこれからの時代にあって一定のPC操作能力が必須であることは論を俟たないだろうが、やはり重要なのは「国語力」そのものである。

《出どころが複数ある情報を比較できるか。事実か意見かの区別をつけながら、情報の質や信用度を見定められるか。そうした能力も「読解力」として位置付ける視点が、もはや国際基準ということなのだろう。

 つまりは、デジタル情報に振り回される受け身ではなく、主体的にどう使いこなせるか。それは、18歳選挙権が導入され、民主主義社会の主権者として存在感を増す世代に求められる力にも通じている》(同)【続】