保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

教育

大学入試改革断念について(3) ~要らぬことをする文科省は要らぬ~

《有識者会議は、今後の共通テストの主な機能を「高校の基礎的な学習の達成の程度の評価」と位置づけた。国語や数学の記述問題が問うような思考力は、共通テストで十分に評価できない。そうした分野を各大学の個別試験で拡充することが望ましいと提言した》…

大学入試改革断念について(2) ~改革は企業の都合~

《産業界が教育行政に求めたのはグローバル人材の養成と、思考力・判断力を育むことだった。文科省は、英語の「話す」能力などを共通テストに組み込まなければ学校現場は本気で指導の充実に取り組まないとして、民間試験の導入を決めた。多くの受験生が志願…

大学入試改革断念について(1) ~改革の発端がいい加減~

《大学入試のあり方について議論してきた文部科学省の有識者会議が提言をまとめた。 会議は、共通テストで記述式問題や英語の民間試験を活用する構想が頓挫したのを受けて、19年末に設けられた。新学習指導要領で学ぶ最初の学年が受験する25年1月の入試…

歴史教科書:「従軍慰安婦」という言葉の再登場について(1)  ~「従軍慰安婦」は戦後の造語~

3月22日の参院文教科学委員会において自民党の有村治子議員が「従軍慰安婦」問題について問うた。 「慰安婦問題は、歴史的題材を取り扱いながらも、実態は歴史認識をめぐる今日的な政治課題としての情報戦、国際世論戦が続いており、むしろその主張はエス…

新高校教科書について(2) ~代案なき知識詰込み批判~

《気掛かりなのは、「知識の詰め込み型」から脱却し切れていない記載も目立つことだ。大学入学共通テストは思考力、判断力、表現力を重視するとしながら、初回の今年は細かい知識を問う従来型の出題が残った。新指導要領に対応した共通テストは25年1月に…

新高校教科書について(1) ~「主体的、対話的で深い学び」という「妄想」~

《文部科学省は2022年度から主に高校1年生が使う教科書の検定結果を公表した。 「主体的、対話的で深い学び」を掲げる新学習指導要領に対応した初めての検定で、合格した教科書には随所に「問い」を設けて話し合いや考察を求める構成が目立つ。 大学入…

デジタル教科書について(2) ~強い懸念~

一方、デジタル教科書導入によって懸念されることは何か。 《最も指摘されるのは視力低下といった健康面の影響だ》(2月22日付産經ニュース) これも本質からずれている。また、これほどスマホが普及している中で、デジタル教科書によって視力が低下する…

デジタル教科書について(1) ~弱い利点~

《主に小中学校でのデジタル教科書の本格導入に向けた文部科学省の有識者会議は22日、導入を前提とした5つの方法案を盛り込んだ中間まとめ案を概ね了承、今後は実証事業を経て検討が進められることになった》(2月22日付産經ニュース) が、先の大学入…

小学校でのあだ名禁止について(2) ~あだ名禁止でいじめがなくなるは短絡~

この調査結果の面白いところは、賛成もしないし反対もしないという人が過半数を占めたということであろう。 「良いあだ名もあるので一概に反対とは言えない(40代男性)」 「校則であだ名禁止することに違和感はあるが、そうなる背景は理解できるためどち…

小学校でのあだ名禁止について(1) ~尾木ママ大丈夫?~

《子供が親しみを込めて友人を呼ぶ際に使う「あだ名」が近年、学校現場から消えつつある…小学校では名字に「さん」をつけて呼ぶのが望ましいとする指導が定着》(「学校現場で消えゆく「あだ名」 呼ぶ賛否」:産経ニュース 2021. 2. 20 11:20) しているとい…

茂木健一郎氏のテレビクイズ番組批判について

《脳科学者の茂木健一郎氏(58)が7日、ツイッターでクイズ番組「東大王」に苦言を呈した。 「東大王」とは幅広い知識を持つ東大生がクイズで芸能人と争う人気番組。ここから出た豊富な知識を持つ東大生が様々な番組で活躍している》(東スポ 3/7(日) 12:…

古文・漢文オワコン論について(3) ~肝心要は言葉である~

《人間にとっては、徳その他のことについて、毎日談論するという、このことが、まさに最大の善きことなのであって、わたしがそれらについて、問答しながら、自分と他人を吟味しているのを、諸君は聞かれているわけであるが、これに反して、吟味のない生活は…

古文・漢文オワコン論について(2) ~必要なのは善く生きること~

「教養」という問題にも触れておこう。 教育とは独り「実用」だけで成り立っているのではなく、「教養」という側面があることも忘れてはならない。自分が「野蛮」な人間で良いというのなら、「教養」など無用の長物ということにもなるだろう。が、かつて哲学…

古文・漢文オワコン論について(1) ~<使わない>から必要ないは短絡~

《元2ちゃんねる管理人で実業家のひろゆき氏がブチ上げた古文・漢文「オワコン論」がネット上で大きな話題となっている》(東スポWeb 2/22(月) 11:57 配信) が、高校の情報という科目で既にPC学習は行っているし、2022年から家庭科で「投資信託」を…

合同葬弔意要請について(2) ~おかしな要請~

「強制でなくとも、弔意を求めるのは職員の思想良心の自由に触れる。葬儀があるとの通知にとどめ、大学の自治に委ねるべきだった」(東京都立大の木村草太教授(憲法))(時事ドットコムニュース10/18(日) 7:21配信) <思想良心の自由に触れる>とは憲法に…

合同葬弔意要請について(1) ~教育への不当介入~

《昨年11月に101歳で死去した中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬が17日、東京・高輪のグランドプリンスホテル新高輪で営まれた。葬儀委員長の菅義偉(すが・よしひで)首相ら政界関係者や近親者ら644人が参列し、国鉄民営化などの業績を残した…

安倍政治を振り返る(4) ~歪んだ教育改革~

《安倍晋三首相は、第1次、2次政権ともに「教育再生」を掲げる諮問機関をつくるなどして、官邸発の教育改革を推し進めてきた。 そこには2つの流れが存在した。1つの流れは復古的、保守的な方向に向かった。2006年には教育基本法を改正。教育の目標に…

安倍政治を振り返る(1) ~解釈改憲~

《ルールを壊してから進む―それが安倍晋三政権の政治手法ではなかったか》(9月3日付東京新聞社説) と東京社説子は宣(のたま)う。が、ルールを壊したのではない。変えたのである。 ルールの変え方には2つある。1つはルールに基づいた条文記述の変更、…

アサヒ芸能:「文科省調査官」に“北朝鮮工作員”が紛れ込んでいた!(2) ~赤く染まる文科省~

歴史教科書に従軍慰安婦や南京大虐殺といった記述が復活したことについて、公安関係者は次のように言ったという。 「こうした記述を認めた調査官の中に『北朝鮮のスパイリスト』に掲載された人物がいるとなると、検定が公正なものであったのかどうか、いきな…

アサヒ芸能:「文科省調査官」に“北朝鮮工作員”が紛れ込んでいた!(1) ~スパイでなく共産主義者~

これが「アサヒ芸能」というゴシップ誌の特ダネ記事だったから驚きである。 何となく「世論誘導」のような気がしないでもないので、少し眉に唾を付けて見る必要もあるだろうが、取り敢えずこの記事を復習(さら)えておこう。 《韓国は自由北韓運動連合のビ…

令和3年度中学歴史教科書に見られる南京事件の扱いについて(2) ~矛盾する「マギー証言」~

南京事件の証人として、東京裁判で、日本軍による殺人、強姦、略奪事件について、被害者からの直接聴取、自ら行った被害調査などを基に証言を行った人物にジョン・マギー牧師(John Gillespie Magee)がいる。マギー牧師は次のように日記に書いている。 Sund…

令和3年度中学歴史教科書に見られる南京事件の扱いについて(1) ~朝日新聞はシナの橋頭保~

《24日に検定結果が公表された中学校の教科書(令和3年度から使用)で、社会科では「従軍慰安婦」の呼称が復活したほか、「南京事件」などについて自国の近現代史をことさら悪く描く記述が一部でみられた》(産経ニュース2020.3.24 14:42) 今では「南京…

なぜ中学生は制服を着るのか

《福岡県の公立中1年のA君は「制服を着たくない」と悩み続けている》(西日本新聞 2020/5/30 11:00) という。 《A君は全員が同じ服を着用することで個性が軽視され、大人たちが納得する「中学生らしさ」が押しつけられているように感じるという》(同) …

学習遅れ「複数年で解消」について ~現場感覚を尊重すべきだ~

《新型コロナウイルスの影響による休校の長期化で学習の遅れが深刻になっていることを受け、萩生田光一文部科学相は15日の記者会見で、予定していた学習内容を年度内に終えられない場合、「特例的に最終学年以外は、複数年度の教育課程の編成を認める」と…

9月入学制移行は短絡的(2) ~春は物事を始めるのに最適の季節~

コロナ禍で少なくとも4月、5月の2か月分の授業の遅れが生じ、これをどのように処理するのかの名案が浮かばず、それどころか、5月末で学校が再開できるのかどうかの見通しもままならない状況であるとすれば、一層のこと「9月入学」にしてしまった方が、欧米な…

9月入学制移行は短絡的(1) ~「9月入学」に向け動き出した?~

またぞろ戦後日本人の「奴隷根性」が鎌首を擡(もた)げてきた。 《政府は30日、新型コロナウイルス感染拡大による休校長期化を受け、「9月入学」の実現に向け具体的な検討作業に入った。 来年秋からの制度化を想定。杉田和博官房副長官が関係府省の事務次官…

2021年度中学教科書検定を巡って(6) ~情報戦で負けている日本~

《歴史の近現代を中心に日本をことさら悪く描く自虐史観に基づく記述が相変わらずある。例えば「従軍慰安婦」という不適切な記述が検定をパスした。「戦時体制下の植民地・占領地」との見出しを掲げた本文の脚注には、「戦地に設けられた『慰安施設』には、…

2021年度中学教科書検定を巡って(5) ~教師の首を絞めるアクティブラーニング~

《経済協力開発機構による2018年勤務状況調査では、日本の中学教師のアクティブラーニングへの取り組みは加盟国の平均より遅れていた。 学校ごと、教師ごとの差を広げないためには、研修などを一層充実させる必要がある。また、教師が忙しすぎて新たな指…

2021年度中学教科書検定を巡って(4) ~龍馬のいない歴史~

《近年の英語の大学入試改革をめぐる論議では、専門家から「話せるようになるためにも文法の土台が大切」との指摘が相次いだ。一方に偏らない教え方の工夫が求められる。 「技術・家庭」の技術分野も変容が著しい。全教科の中で最もページ数が増えたが、それ…

2021年度中学教科書検定を巡って(3) ~<アクティブ・ラーニング>が邪魔~

《深い学びをめざす方向性に異論はない。ただ、子どもにじっくり考えさせるには、一つひとつのテーマに相応の時間をかけなくてはならない。授業の枠内でこなし切れるか、消化不良を起こさないか、心配になる》(3月27日付朝日新聞社説) はっきり言って、学…