保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

憲法

旭川医大における北海道新聞記者の違法取材について(1) ~自由と権利の保持には不断の努力が必要~

《旭川医科大学(北海道旭川市)の校舎内に許可なく入ったとして、北海道新聞社の記者(22)が建造物侵入容疑で大学関係者に現行犯逮捕された事件で、旭川医大は24日、記者が会議内容を無断で録音していたとして、同社に抗議文を送ったことを明らかにし…

ワクチン開発は国防だ(1) ~ワクチン開発に横槍を入れる日本学術会議~

遅まきながら 《政府は国産ワクチンの開発・生産体制を強化するとして、拠点整備などを行う国家戦略を閣議決定した》(高橋洋一「国産ワクチンが遅れた理由」:ZAKZAK 2021.6.8) 国民が日常生活を取り戻すためには、ワクチンが必要である。したがってワクチ…

皇位継承等の有識者会議について(8) ~5月31日政府有識者会議~

5月31日の政府有識者会議では以下のような意見が出された。 君塚直隆氏「男系男子にのみ皇位継承資格を与えるという現行制度を改定し、女性皇族にも皇位継承資格を与えるとともに、現行の男性皇族と同様に、婚姻時もしくは適切な時期に宮家を創設し、ご自…

皇位継承等の有識者会議について(5) ~権威を規定するのは歴史伝統~

《日本の皇位継承法に於て、女帝の制度の認められた歴史はあるが、女帝は常に配偶者の現存せざる場合に限られていたのであって、女系子孫の継承を認める思想は全然存在しなかった。日本皇室の万世一系とは、男系子孫一系の意味であることは論をまたぬ。然(し…

ジョン・ロック「法が終わるところ、暴政が始まる」(2) ~自主防衛か対米追従か~

《「集団的自衛権の行使は憲法違反」。戦後一貫した政府見解でした。それをひっくり返した、2014年の安倍晋三内閣による閣議決定は、さしずめ「法が終わるところ」にあたるでしょうか。違憲なのに「合憲」と勝手に内閣が解釈したのですから…。「解釈改憲…

日本国憲法生誕とルソーの教え(5) ~無国籍憲法~

《急進的な民主主義者にとっては、民主主義自体が固有の価値をもっているのであって、民主主義のお蔭でどういう政治が出来るかという政治内容への顧慮は存在しないのだ。しかし、民主主義を排除するために民主主義が利用される危険が存する場合には、急進的…

日本国憲法生誕とルソーの教え(1) ~『社会契約論』~

《18世紀の哲学者ルソーの教えでは、戦争とは相手国の社会契約に対する攻撃です。つまり敗戦国は従前の社会契約を破棄し、新しい原理の社会契約を国民との間で結び直さねばなりません。 それが新憲法をつくる意義です。なのに日本側は「伝統的な原理および…

新型コロナと憲法(5)  ~現実を踏まえぬ理想論~

《憲法25条は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を生存権として位置付け、13条では「すべて国民は個人として尊重される」ことを保障し幸福追求権を権利として掲げている。 コロナから人々の命と暮らしを守り、壊れかけた社会を立て直すことが、…

新型コロナと憲法(4)  ~憲法第25条の問題~

《憲法第25条1項は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」として基本的人権の柱の一つである生存権を全国民に保障する。その生きる権利や勤労の権利、教育を受ける権利が脅かされている。 コロナ危機は憲法の危機だ》(5月3日付北海道新聞社説) …

新型コロナと憲法(3)  ~「法治主義」と「法の支配」の混同~

《現実と憲法の間に乖離(かいり)が生じていないか。憲法改正を避けることを優先するだけでは、解釈に無理が生じ、「法の支配」が形骸化する恐れがある》(5月3日付読売新聞社説) これは「法治主義」と「法の支配」の混同からくる誤解である。制定法(legis…

新型コロナと憲法(2)  ~対米従属での改憲は危険~

《憲法学が専門の棟居快行(むねすえとしゆき)・専修大学教授は「自由と安全を両立させる必要がある。安全を口実に国家が個人に介入し、内閣の勝手にさせないよう、国会が縛っていくことが大事だ」と指摘する》(5月3日付毎日新聞社説) これはその通りなの…

新型コロナと憲法(1)  ~日本国憲法は改正でなく廃棄すべし~

毎日社説は、 《コロナ対策を突き詰めれば、憲法問題に行き当たる》(5月3日付毎日新聞社説) と言う。そして 《憲法は、国民の「生命、自由及び幸福追求」の権利について「最大の尊重」を国に求めている。だが、過去1年間、憲法が保障する権利という視点…

三島由紀夫が指摘する憲法問題について(3) ~日本には「不文憲法」が相応しい~

《このやうな矛盾は明らかに、第一條に於て、天皇といふ、超個人的・伝統的・歴史的存在の、時間的連続性(永遠)の保証者たる機能を、「国民主権」といふ、個人的・非伝統的・非歴史的・空間的概念を以て裁いたといふ無理から生じたものである》(「新憲法…

三島由紀夫が指摘する憲法問題について(2) ~「国民」とは誰のことか~

1つ問題がある。日本国憲法第1条に言う「国民」とはどのような存在かということである。 ほとんどの人が、日本国籍を有し今生きている人のことを「国民」と考えるだろうが、「死者の民主主義」という考え方もある。 《現今の諸事雑事を問題にする場合、い…

三島由紀夫が指摘する憲法問題について(1) ~憲法1条と2条の矛盾~

日本国憲法 第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。 第2条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。 三島由紀夫は、戦後憲法に…

同性婚判決について(3) ~司法に凭れ掛かる護憲派~

《人の生き方はひとつではない。多様性を認め、すべての人が暮らしやすい社会の実現は、新たな活力を生む源泉にもなりうる。 LGBT(性的少数者)の尊厳が守られ、安心して生活できる環境づくりはその大切な一歩だ》(3月19日付日本経済新聞社説) <すべ…

同性婚判決について(2) ~判決文が読めない社説子たち~

判決文を恣意的に解釈し、「同性婚を認めないのは違憲だ」というデマを広めたいという意図がマスコミにはあるのかもしれないが、ひょっとして判決文を読解する力が足りないのではないかと私は少し疑ってもいる。というのは、同性婚否定派の読売、産經も同様…

同性婚判決について(1) ~同性婚否定は「違憲」というデマ~

《同性どうしの結婚が認められないのは憲法に違反するとして、北海道に住む同性カップル3組が訴えた裁判で、札幌地方裁判所は、法の下の平等を定めた憲法に違反するという初めての判断を示しました》(NHK NEWS WEB 03月17日 11時47分) が、これ…

夫婦別姓について(2) ~福島党首の支離滅裂~

3月3日の参院予算委員会で、社民党の福島瑞穂党首が丸川珠代男女共同参画担当相に対し、選択的夫婦別姓に反対する趣旨の文書に署名した理由を繰り返し問い、 《明言を避けた丸川氏に対して「男女共同参画担当として不適格だ」と断じた》(産経ニュース2021.3…

生活保護判決について(3) ~先ずは国会議員の資格厳格化が必要~

生活保護法 第1条 この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。 第2条 すべて国…

生活保護判決について(2) ~外国人生活保護は違法~

《全国29地裁で同様の裁判が起こされ、判決は2例目。昨年夏の名古屋地裁判決は、生活保護行政を担う厚生労働相の広い裁量権を認め、訴えを退けた。今回の大阪地裁も厚労相の裁量権は認めつつ、客観的な統計や専門的知見との整合性がなく、裁量権の逸脱に…

生活保護判決について(1) ~先例「朝日訴訟判決」~

《国が2013~15年に段階的に行った生活保護基準額の引き下げは、判断過程や手続きに過誤や欠落があり違法とする判決を、大阪地裁が言い渡した》(2月25日付朝日新聞社説) 生活保護基準額に関して司法が判断することに私は少なからず違和感がある。…

孔子廟判決と政教分離について(5) ~未だ解けない「日本弱体化計画」の呪縛~

問題は次の部分である。 《現職閣僚らによる靖国神社への参拝など、国家と宗教の関係に疑義を抱かせる行いは後を絶たない。靖国というと近隣諸国への配慮の観点から語られることが多いが、問題の根本には多くの犠牲のうえに手にした憲法上の要請がある。今回…

孔子廟判決と政教分離について(4) ~求められるのは「政治と宗教の平衡」~

憲法に書かれているわけでもない<政教分離>という言葉が独り歩きしてしまっている、そんな印象が強い。 《法理の内容までが正確に紹介されないままにわが国にその原則(つまりスロウガン)だけが導入されたため、戦後のわが国の憲政において、この政教分離…

孔子廟判決と政教分離について(3) ~言葉の問題~

「政教分離」という表現は、米独立宣言起草者の一人であるトーマス・ジェファーソンの造語「教会と国家の間の分離の壁」(a wall of separation between Church and State)に由来する。 Believing with you that religion is a matter which lies solely be…

孔子廟判決と政教分離について(2) ~国家の非宗教性~

《裁判でも原告と市側は儒教が宗教か否かについて激しく争っていた。にもかかわらず、最高裁は今回、儒教一般についての評価や孔子廟を管理する崇聖会が宗教団体かどうかの判断はしなかった。 定説のない宗教論争に立ち入らず、問題の核心部分から逃げた印象…

孔子廟判決と政教分離について(1) ~マルクス宗教廃止の翳(かげ)~

《儒教の祖である孔子を祭る「孔子廟(びょう)」の敷地を那覇市が無償で使わせるのは、憲法の政教分離原則に違反すると、最高裁大法廷が判断した。 憲法は「国及びその機関は、いかなる宗教的活動もしてはならない」と定める。目的は、国家と宗教の分離を制…

学問の自由と平和(2) ~学術会議は憲法23条の適用外~

日本国憲法 第23条 学問の自由は、これを保障する。 ー 〇 ― 《最高裁の判例も取り込んで、23条の保障は研究の自由にとどまらず、成果を発表する自由、大学などでの教授の自由、そして大学の自治・自律に及ぶとの見解が定着した。 いま注目の日本学術会…

「個人」とは何か(4) ~なぜ<個人>は尊重されるべきか~

《憲法13条は、人権の章にある規定であるが、「個人の尊重」原理は、人権保障にとっての基底的原理であるというだけでなく、日本国憲法が採用するすべての価値の基底に置かれるべきものとして理解しなければならない。平和・人権・民主主義(あるいは国民…

「きっこのメルマガ」を読む(2) ~天皇が任命を拒否できないという嘘~

《菅首相が除外した6人は、「特定秘密保護法」や「共謀罪」や集団的自衛権の行使を可能にした「安全保障関連法」など、これまでの安倍政権が強行して来た「アメリカの子分として戦争に参加するための悪法」に強く反対している学者たちです。百歩ゆずって、…