保守論客の独り言

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2021年度中学教科書検定を巡って(5) ~教師の首を絞めるアクティブラーニング~

経済協力開発機構による2018年勤務状況調査では、日本の中学教師のアクティブラーニングへの取り組みは加盟国の平均より遅れていた。

 学校ごと、教師ごとの差を広げないためには、研修などを一層充実させる必要がある。また、教師が忙しすぎて新たな指導法を身につける余裕がないとの指摘もあり、働き方改革が欠かせない》(3月30日付毎日新聞社説)

 <アクティブラーニング>が絶対的なものなのであれば他国に遅れをとっている云々と言う話になるのであろうが、日本には日本の事情があるのだから、日本流の教育を貫けばよいのである。

 これから日本はどのような国になりたいのか、そのためにはどのような人間を育てたいのかといったことが見通せていないから他者依存に陥ってしまうのである。子供に「主体的」に学習させる前に、大人が「主体的」になるべきではないのか。

 詳しくは稿を改めるが、1980年代、凋落(ちょうらく)著しい米国は日本の教育に範を求め、国を立て直した。一方、日本は米国に範を求め、国を凋落させていった。自分に自信がないから周りに同調しようとするのであろう。それはGHQの日本弱体化政策がいまだ効いている証左である。

《消極的な生徒にグループ討議への参加を促す指導力も問われる。

 一部の生徒だけが常に発言し、グループとしての意見をまとめていたのでは、討議を通じて自分の考えを深めることができない。

 教師には、生徒一人一人の参加意欲を高めるコーディネート力が求められる》(同)

 一部の生徒が積極的であっても、大半の生徒が消極的であっては意味がない。が、消極的な生徒たちを鼓舞(こぶ)するのは簡単なことではない。教科における知識不足もあれば、性格的なものあるだろう。クラスの人間関係もある。このようなことまで教師がお膳立てをしなければならなくなるのが<アクティブラーニング>なのである。

《国語の教科書の一つは、生徒たちがグループに分かれ、「地域をよりよくするためにできること」を発表し合う例を示した。討論の進め方や、結論をまとめていく際の留意点なども紹介している。

 いずれも、思考力や表現力を伸ばす狙いがうかがえる。指導の手がかりとすれば、生徒の学習意欲を刺激する授業を実現できる可能性がある。教員が一方通行で教える従来型の授業からの転換を図ることが期待されよう》(3月30日付読売新聞社説)

 確かに、これは<教員が一方通行で教える従来型の授業からの転換>することにはなる。が、ああでもない、こうでもないと言い合って時間が浪費され、結局国語力は低下すると予想される。

 見た目は派手で「やってる感」があるが、思いの外、成果に繋がらないのが<アクティブラーニング>というものなのではなかろうか。【続】