保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

大阪G20閉幕:「安倍外交の限界見えた」という朝日新聞の八つ当たり(1)

《世界のリーダーを大阪に招き、安倍首相が議長を務めたG20サミットが終わった。直面する課題に確かな処方箋(しょほうせん)を示せたのか、首脳外交の華やかさに目を奪われることなく、その成果を冷徹に問わねばならない》(6月30日付朝日新聞社説) 成…

「民主主義の退潮を食い止めよ」という読売社説(4) ~民主主義は絶対ではない~

《民主主義の脆弱(ぜいじゃく)さを認識した上で、民意をより良く反映し、安定した政治を実現できる制度を築き直さねばならない》(5月4日付読売新聞社説) どうして<民意をより良く反映>する制度を築き直さねばならないのだろうか。むしろ熱し易く冷め易い…

「民主主義の退潮を食い止めよ」という読売社説(3) ~見えているのは日本の「影」~

プラトン『国家』に「洞窟の比喩」というものがある。 「地下にある洞窟状の住いのなかにいる人間たちを思い描いてもらおう。光明のあるほうへ向かって、長い奥行きをもった入口が、洞窟の幅いっぱいに開いている。 人間たちはこの住いのなかで、子供のとき…

「民主主義の退潮を食い止めよ」という読売社説(2) ~「哲人政治」が必要だ~

《中露両国は強権政治で国内の異論を抑え込み、欧米の混乱を横目に国際的な影響力を拡大した。 中国の習近平国家主席も、ロシアのプーチン大統領も、自らに都合の良い方向に憲法を改正し、長期政権を可能にしている。権威主義的な統治は、ハンガリーやトルコ…

「民主主義の退潮を食い止めよ」という読売社説(1) ~民主主義こそが混乱の原因~

《平成が始まった1989年の米ソ冷戦終結と、その後のソ連崩壊は、自由民主主義体制の勝利と受け止められた》(5月4日付読売新聞社説) このような言い方が誤解を招くのである。米ソ冷戦とは「自由主義」対「全体主義」の戦いだったのであり、ソ連邦崩壊を…

立憲民主党:最低賃金1300円主張の経済音痴

《立憲民主党は20日、7月の参院選に向けた経済政策を発表した。5年以内に最低賃金1300円をめざすなど、賃金・所得の向上が柱だ。低所得者が実感できる実質賃金を底上げし、消費拡大を図ることで景気回復を訴える》(6月20日付日本経済新聞) 最低賃金が1300…

女系天皇について(4) ~静謐な議論こそ必要だ~

《立憲民主党は11日、安定的な皇位継承を確保するための論点整理を発表した。女性天皇、父方に天皇がいない女系天皇、女性宮家創設のいずれも容認する。皇位継承順は男女の別にかかわらず、天皇直系の長子を優先する》(6月12日付東京新聞朝刊) 私には、立…

女系天皇について(3) ~女系天皇論の危険~

《現在の制度では女性皇族は結婚すれば皇族でなくなり、皇族の数は減っていく。私としては女性皇族には結婚後も皇室に残ってもらって女性宮家を創設し、層を厚くして皇室を守る形を作る必要があると考えている》(長浜博行「女性・女系天皇 代替わりをきっか…

女系天皇について(2) ~ごまかしの戦後日本~

長浜博行・元環境大臣は言う。 《誰かが決めたものをただ与えられたと国民が感じるならば、明治時代や大正時代と変わらない。自分たちの代表による法律と手続きによって決まったと国民が納得することが大切だ》(4月1日付毎日新聞) まさに戦後日本の申し子…

女系天皇について(1) ~<象徴天皇>という錯誤~

長浜博行・元環境大臣が御代替わりを切っ掛けとして「女性・女系天皇」の国民的議論を行うことを求めている。 《平成という時代は象徴天皇とともにあり、そして天皇陛下が平成の時代の天皇のあり方を身をもって示された。 退位を提起されたのも、国民に象徴…

出生率低下について(2) ~日本は共産主義社会を目指すのか~

《結婚したい、子どもを持ちたい、と希望する若者は多いのに、阻む壁が多い現状を直視すべきだ》(6月7日付日本経済新聞社説) 本当だろうか。生涯未婚率が高まっている中で、むしろ<結婚したい、子どもを持ちたい、と希望する若者>は減少しているように思…

出生率低下について(1) ~子供が生まれることを喜ぶ社会の復権が必要だ~

《厚生労働省が公表した人口動態統計(概数)によると、2018年に生まれた赤ちゃんの数(出生数)は3年連続で100万人を割り、91万8397人になった。統計を取り始めて以来、最少だ。 1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率…

蓮舫女史「まっとうな政治はボトムアップ」について

《立憲民主党の蓮舫副代表が15日、ツイッターに新規投稿。香港政府が同日、香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の立法会(議会)での審議延期を発表したニュースを引用し、「まっとうな政治はボトムアップです」とツイー…

レジ袋の無料提供禁止について(2) ~リサイクル利権にメスを入れよ~

《日本国内で1年間に発生するプラスチック廃棄物は約900万トンに上る。リサイクルで新たなプラスチックに生まれ変わるのは、そのうちの4分の1にすぎない。 残りの大部分は「熱回収」という名の下に、廃棄物発電やセメント製造などの燃料として燃やされ…

レジ袋の無料提供禁止について(1) ~環境良い子ちゃんの自己満足~

《国内のスーパーやコンビニなどで買い物客へのプラスチック製レジ袋の無料提供が法律で禁止される見通しとなった》(6月7日付産經新聞主張) さすが環境問題における意識高い系の国・日本である。私はプラスチック製レジ袋を有料にすることがどれほどプラス…

老後「2千万円」問題について

《夫婦の老後の資産として2千万円が必要になるとの、金融庁が先に公表した報告書だ。65歳の夫と60歳の妻の場合、年金収入だけでは毎月5万5千円、30年で約2千万円が不足する――。そんな試算に基づき、貯蓄や資産運用の必要性を呼びかけた。 「年金は…

川崎殺傷事件:「死にたいなら一人で死ぬべき」という非難について(3) ~「一人で死ぬべき」論の前に考えておくべきこと~

2日、元大阪市長の橋下徹氏(49)がテレビ報道番組「日曜報道 THE PRIME」(フジテレビ)に生出演し次にように持論を述べた。 「自殺に悩んでいる人をしっかり社会が支えていきますというのは当然のこと」 「やむにやまれず自分の命を断つときは、他人を犠牲…

川崎殺傷事件:「死にたいなら一人で死ぬべき」という非難について(2) ~おかしなことをしらっと言う人たち~

《「死にたいなら人を巻き込まずに自分だけで死ぬべき」「死ぬなら迷惑かけずに死ね」というメッセージを受け取った犯人と同様の想いを持つ人物は、これらの言葉から何を受け取るだろうか。 やはり社会は何もしてくれないし、自分を責め続けるだけなのだろう…

川崎殺傷事件:「死にたいなら一人で死ぬべき」という非難について(1) ~テレビでの発言は慎重であるべき~

《川崎市多摩区でスクールバスを待っていた私立カリタス小の児童ら19人が殺傷された事件…事件当日の5月28日に落語家の立川志らく(55)がコメンテーターを務めるTBSの情報番組「ひるおび!」(月~金曜前10・25)で、犯人に対して「死にたいなら一人で死んで…

丸山議員への糾弾決議は衆院の汚点(4) ~国会は何を恐れているのか~

《糾弾決議は一連の言動を「憲法の平和主義に反する」「議員としてあるまじき数々の暴言」などと指摘。「わが国の国益を大きく損ない、衆院の権威と品位を著しく失墜させた」「国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない」として「ただちに自らの進退に…

丸山議員への糾弾決議は衆院の汚点(3) ~戦後体制の中に閉じ込められたままの日本~

《北方領土を戦争で奪還する趣旨の発言をした丸山穂高衆院議員に関し、当初対応が分かれていた与野党が6日の衆院本会議で「糾弾決議」を全会一致で可決した背景には、「戦争」発言に匹敵する丸山氏の悪質な言動の数々があった。 議員辞職勧告決議案を出した…

丸山議員への糾弾決議は衆院の汚点(2) ~むしろ辞めるべきは決議を行った全衆院議員の方だ~

「戦争アレルギー」の人たちがいるのは世の中いろいろな考え方の人がいるのだから当然だとしも、一国会議員が「戦争」という言葉を発しただけで糾弾決議までを行う国会があるのは真(まこと)に恐ろしいことである。 《私は丸山議員の言動を批判してきた。だ…

丸山議員への糾弾決議は衆院の汚点(1) ~戦前の斎藤隆夫氏除名を彷彿させる愚行~

《戦争で北方領土を奪い返す趣旨の発言をし、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員の糾弾決議が衆院の全会一致で可決された。 決議は「国会議員としての資格はない」とした事実上の辞職勧告だ》(6月7日付毎日新聞社説) 戦前の斎藤隆夫問題を彷彿させ…

「国民の幸福を祈ることが皇室の伝統」なのか(2) ~戦前と戦後の矛盾~

《平成28年8月8日に発表された「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」で、上皇陛下はこう仰せになっている。 <即位以来、私は国事行為を行うと共に、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来…

「国民の幸福を祈ることが皇室の伝統」なのか(1) ~國體という言葉の変遷~

《74年前、米国を中心とした占領軍が日本を占領し、政治、教育、社会、家族制度などを変えられた。憲法も変えられ、第1条で「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と規定された。当時、日本の国柄=国体は変更されたかどうかが議論になった。…

陛下の敬語について

《天皇、皇后両陛下をお迎えし、2日に愛知県尾張旭市で開かれた全国植樹祭。即位後初の地方行事で、天皇陛下は国民に敬語を使い、一緒に緑化活動を推進するよう呼びかけるなど国民目線のお言葉を述べられた。 お言葉の冒頭、陛下は「皆さんとご一緒に植樹を…

川崎児童殺傷事件について(3) ~必要なのは社会を攪拌する「対流」~

《08年6月、東京・秋葉原の歩行者天国に元派遣社員の男がトラックで突っ込み、ナイフで襲撃して7人が死亡した事件はいまだ記憶に新しい。「誰でも良かった」と身勝手な動機を供述している。 社会へのいらだちが他者へやいばを向けるきっかけになっている…

川崎児童殺傷事件について(2) ~<想定外>で済ます勿れ~

《昨年5月、新潟市で下校途中だった小学2年女児が殺害された事件を受け、政府は、通学路の安全強化策「登下校防犯プラン」をまとめた。 学校や警察が連携して全国の小学校の通学路の緊急点検をしたり、防犯カメラの設置を政府が支援したりするなどの対策に…

川崎児童殺傷事件について(1) ~「犯行の芽を摘む」~

《川崎市多摩区の路上で28日朝、私立小学校のスクールバスを待つ児童らが次々と男に襲われ、19人が死傷した。男は自らの首を刺して自殺した》(5月29日付産經新聞主張) おそらくこのような事件はなくならないのだろう。が、なくならないからと言ってた…

自民党失言防止マニュアルについて(2) ~「人権思想」はすべてに優越するのか~

《桜田義孝前五輪相の「子どもを最低3人くらい産むようにお願いしたい」とする発言に、与野党幹部から30日、反発の声が相次いだ。立憲民主党の蓮舫参院幹事長は記者団に「最低な発言だ。こんな古い発想を持っている人が大臣だったことが驚きでしかない。国会…