保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

出生率低下について(2) ~日本は共産主義社会を目指すのか~

《結婚したい、子どもを持ちたい、と希望する若者は多いのに、阻む壁が多い現状を直視すべきだ》(67日付日本経済新聞社説)

 本当だろうか。生涯未婚率が高まっている中で、むしろ<結婚したい、子どもを持ちたい、と希望する若者>は減少しているように思うのだけれども…

 結婚が単に個人的なものになってしまったことが未婚者を増加させ、出生率低下の原因になっているのではないか。

 日本国憲法24条は、戦前の「家制度」を否定すべく書かれたものである。

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

  言わずもがなであるが、婚姻とは当事者個人同士の問題であると共に家同士の問題でもある。見合い結婚を個人、特に女性の抑圧であるとし書かれたのが24条であるとされるが、非常に皮相な見識である。

 婚姻は当事者同士の努力だけで成り立つものではなく、その後ろにある家の援助も重要である。はたまた、地域共同体の温かい目もまた必要である。そういった複層的な社会構造の中で子供は生まれ、大きくなるのである。私はこの<複層的な社会>を壊してきた戦後の在り方に疑問を抱いている。

《最大の問題は、今の社会のシステムが若い世代の実態と合っていないことだ。例えば、共働きを目指す若い世代は多い。国の調査でも、妻に専業主婦を望む未婚男性は1割にまで減った。共働き世帯の数は18年に1200万を超えた。専業主婦世帯の2倍以上だ。

だが、国のさまざまな制度や文化は「専業主婦の妻と正社員の夫」という昭和モデルから抜け出せていない。共働きの不自由さは、保育サービス不足をみても明らかだ。3歳から幼児教育・保育がタダになるといわれても、02歳で預け先が見つからなければ、共働きはおぼつかない》(同)

 果たして本当に<共働きを目指す若い世代は多い>のだろうか。<目指す>のではなく<共働き>しなければやっていけない状況が多いだけなのではないか。

 男女平等の労働たる<共働き>が正しいものなら、<共働き>を支える社会制度の充実が必要となる。が、男も女も働け式の<共働き>が果たして日本社会にとって「正しい」ものと言えるのかどうか、今一度考えてみることもまた必要であろう。

 私は、かつてマルクスが夢見た共産主義社会へと日本がゆっくりと向かっているのではないかと懸念している。男女共同参画はその象徴である。

 そこには平等であることは良いことだという誤解がある。機能分化、役割分担によって専門化し高度化するという文明の流れを逆行していることはないのだろうか。

《職場の働き方も同じだ。長時間労働をいとわない昭和モデルの働き方では、男女問わず安心して子育てをすることは難しい。働く時間や場所の選択肢を増やし、転勤制度などを見直す。企業ができることは多いはずだ。

若い世代のなかには、経済基盤が安定せず、結婚や出産に踏み切れない人も多い。新卒一括採用ばかりに頼らず、再チャレンジできる労働市場改革に、官民あげて取り組む必要がある》(同)

 このような言い方は、マルクスを深く知らぬ人間が偉そうに言える話ではないが、私には「共産主義のすすめ」のように感じられてしまうのであるが…【了】