保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

立憲民主党:最低賃金1300円主張の経済音痴

立憲民主党20日、7月の参院選に向けた経済政策を発表した。5年以内に最低賃金1300円をめざすなど、賃金・所得の向上が柱だ。低所得者が実感できる実質賃金を底上げし、消費拡大を図ることで景気回復を訴える》(620日付日本経済新聞

 最低賃金1300円もになれば、これを払えない中小企業は人が雇えなくなり、最悪の場合は倒産するなどということにもなりかねない。物価が上昇して賃金も上昇するというのなら分からなくもないが、物価が上がらず、したがって、企業の収入も伸びない状態で賃金だけ上げれば企業がやっていけないことは目に見えている。

 私はかねがね思っているのであるが、例えば最低賃金1300円ということは、世の中に1300円に満たない仕事はないという考えなのだろうか。手に技術は何もいらず、ただお留守番をすればよいといった簡単な仕事でさえも必ず1300円支払わねばならないのだろうか。

 やはり立憲民主党は社会に対し「ルサンチマン」(怨恨)を持った政党なのだと思う。仕事は最低でも1300円の対価が見込まれるにもかかわらず、企業は最低賃金1300円という基準を設けなければ1300円支払わないと思っているということなのであろう。

 が、ここには2つの問題がある。1つは世の中には時給1300円に満たない仕事は存在するであろうということ。もう1つは、1300円という最低基準を設けなければ、企業は本来なら1300円払うべき仕事であってもそれだけの金額を支払おうとしないだろうという不信感である。

 が、1300円支払わねばならないのに例えば800円しか支払わない企業があれば、長い目でみれば必要な数の労働者を確保できなくなってしまうだろうと考えるのが経済学である。

枝野幸男代表は20日の記者会見で「所得をアップさせ、そこから消費を拡大させる流れにしない限り、経済の安定的な成長は実現できない」と述べた》(同)

 企業の内部留保が拡大しているなどという話は一部の大企業の話である。多くの中小企業は<所得をアップ>させようにもそのような余裕があるとはとても思われない。にもかかわらず、一律最低賃金1300円などということになればやっていけない企業が続発するに違いない。

 はっきり言って、最低賃金価格を上昇させることで経済を成長させようとするのは経済音痴も甚だしい。それも徐々にではなく一気に1300円などというのは日本経済を破壊するに等しい話でしかない。

 選挙目当てにこのような暴言を吐いているのであろうが、このような「甘言」を有権者がしっかりと拒絶するだけの良識を持っていることを私は期待するだけである。