保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

LGBT法案を巡って(1) ~新たな「差別」を生みかねない地裁判断~

《自民党の山谷えり子元拉致問題担当相は19日、党内の会議で、自分の性別をどのように認識しているかを意味する「性自認」をめぐり、「体は男だけど自分は女だから女子トイレに入れろとか、アメリカなんかでは女子陸上競技に参加してしまってダーッとメダル…

出入国管理法改正案廃案について(3) ~問題は政治屋とナルシストの偽善~

《ある自民幹部は「衆院選を控えて採決を強行すれば、選挙は負ける」と話す。 7月4日投開票の都議選への影響もあった。公明党は都議選を国政選挙並みに重要視する。参院法務委は公明議員が委員長を務めるため、「公明から採決強行はやめるべきだと首相はかな…

出入国管理法改正案廃案について(2) ~多文化共生という妄想~

《退去処分を拒む人びとの多くは帰国すると身に危険が及ぶ恐れがあったり、日本に家族がいる人びとだ。だが、改正案はこうした事情に配慮せず、難民認定申請を送還を免れる手段と決めつけ、三回目以降の申請は強制退去の対象にすると規定した。「難民鎖国」…

出入国管理法改正案廃案について(1) ~<不法滞在者>を送り返すのは当たり前~

《外国人の収容を見直す出入国管理・難民認定法改正案について、政府・与党が今国会での成立を断念した》(5月20日付読売新聞社説) この政権運営能力の低さは何なのだろう。一度法案を提出したからには、成立に最善を尽くすのが本来である。が、野党に批…

ジョン・ロック「法が終わるところ、暴政が始まる」(3) ~自省なきマスコミ~

《本年2月13日衆議院本会議で、安倍総理大臣は「検察官にも国家公務員法の適用があると従来の解釈を変更することにした」旨述べた。これは、本来国会の権限である法律改正の手続きを経ずに内閣による解釈だけで法律の解釈運用を変更したという宣言であっ…

ジョン・ロック「法が終わるところ、暴政が始まる」(2) ~自主防衛か対米追従か~

《「集団的自衛権の行使は憲法違反」。戦後一貫した政府見解でした。それをひっくり返した、2014年の安倍晋三内閣による閣議決定は、さしずめ「法が終わるところ」にあたるでしょうか。違憲なのに「合憲」と勝手に内閣が解釈したのですから…。「解釈改憲…

ジョン・ロック「法が終わるところ、暴政が始まる」(1) ~「法」とは何か~

《17世紀イギリスの哲学者が説いた思想は後のアメリカ独立宣言やフランス人権宣言に強い影響を与えたといいます。現在の基本的人権の尊重にもつながるジョン・ロックの『統治二論』です▼王権は神から授かったという説を批判し、国民主権や三権分立を唱えま…

日本国憲法生誕とルソーの教え(5) ~無国籍憲法~

《急進的な民主主義者にとっては、民主主義自体が固有の価値をもっているのであって、民主主義のお蔭でどういう政治が出来るかという政治内容への顧慮は存在しないのだ。しかし、民主主義を排除するために民主主義が利用される危険が存する場合には、急進的…

日本国憲法生誕とルソーの教え(4) ~統治者と被治者の同一性~

ドイツ法哲学者カール・シュミットは、民主主義における<同一性>に注目する。 《民主主義を定義するためのものとしては、一連の同一性が存在している。下されるすべての決定が、ただ決定する者自身にのみ対してだけ効力を持つべきだ、ということが民主主義…

日本国憲法生誕とルソーの教え(3) ~一般意志~

ルソーは、<一般意志>は、 《つねに正しく、つねに公けの利益を目ざす》(ルソー『社会契約論』(岩波文庫)桑原武夫・前川貞次郎訳、p.46) と言う。が、この世に<つねに正しい>ものなど存在するのだろうか。<つねに正しい>ものがあるとすれば、それ…

日本国憲法生誕とルソーの教え(2) ~民本主義と民主主義~

戦前、吉野作造は、天皇を戴(いただ)く民主主義「民本主義」を唱えた。 《民本主義といふ文字は、日本語としては極めて新しい用例である。從來は民主主義といふ語を以て普通に唱へられて居つたようだ。時としては又民衆主義とか平民主義とか呼ばれたことも…

日本国憲法生誕とルソーの教え(1) ~『社会契約論』~

《18世紀の哲学者ルソーの教えでは、戦争とは相手国の社会契約に対する攻撃です。つまり敗戦国は従前の社会契約を破棄し、新しい原理の社会契約を国民との間で結び直さねばなりません。 それが新憲法をつくる意義です。なのに日本側は「伝統的な原理および…

選択的夫婦別姓再考(3) ~選択的夫婦別姓は日本解体計画の序章~

熊谷俊人千葉市長(当時)は言う。 諸外国の中で、戸籍制度なんてものを持っている国はもはや我が国だけですよ。 (和久井香菜子:WEZZY 2020.04.17 12:00) 戸籍制度が必要なものか否かは外国にこの制度があるか否かとは関係がない。「欧米は日本より…

選択的夫婦別姓再考(2) ~夫婦別姓はマルクス主義思想~

――反対派の主張の一つに、「夫婦別姓なんかにしたら、婚姻制度を悪用する輩が出てくる」というものがありますが、千葉市でパートナーシップ制度を始めて、そのような悪用例が出ていると言えますか。 【熊谷俊人千葉市長(当時)】今まで不正は確認されていま…

選択的夫婦別姓再考(1) ~夫婦別姓婚につながるパートナーシップ制度~

熊谷俊人(くまがい・としひと)千葉市長(当時)が昨年、WEBマガジンのインタビューで「選択的夫婦別姓」について語っている。 【熊谷】これは私の自論ですけれど、反対派の主張の中で整合性がとれていないものが多いと思います。よく「夫婦別姓は家族の…

温室ガス46%削減について(3) ~小型モジュール炉という切り札~

朗報がないわけでもない。 《46%削減の表明で厳しい立場に身を置いた日本だが、実は世界をリードする切り札を持っている。日本原子力研究開発機構が開発した次世代原発・高温ガス炉の存在だ。小型モジュール炉(SMR)であるだけでなく原理上、炉心溶融…

温室ガス46%削減について(2) ~独りシナは好き勝手~

《首相が掲げた「50年実質ゼロ」は、気候変動の影響を減らすため、パリ協定が努力目標とする「産業革命前からの世界の平均気温の上昇を1・5度までに抑える」のに必要とされる。達成には、50年までの段階での二酸化炭素(CO2)排出削減も欠かせない…

温室ガス46%削減について(1) ~環境を守ろうとする日本、一儲け企む世界~

《バイデン米大統領が盟主となり、世界の40カ国・地域の首脳に参加を呼び掛けたオンライン「気候変動サミット」が22、23の両日にわたって開かれた。 地球温暖化防止を目指す「パリ協定」の目標実現に向けて、米国やカナダなどから2030年時点におけ…

流域治水関連法成立について

《河川の氾濫(はんらん)を防ぐため、ダムや堤防の整備に力を注ぐ時代から、住民や企業も交えた様々な施策を講じることで被害を抑える時代へ――。ハード偏重の姿勢を改め、「流域治水」への転換を図る法案が、先月末に参院で可決・成立した》(5月4日付朝日…

新型コロナと憲法(5)  ~現実を踏まえぬ理想論~

《憲法25条は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を生存権として位置付け、13条では「すべて国民は個人として尊重される」ことを保障し幸福追求権を権利として掲げている。 コロナから人々の命と暮らしを守り、壊れかけた社会を立て直すことが、…

新型コロナと憲法(4)  ~憲法第25条の問題~

《憲法第25条1項は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」として基本的人権の柱の一つである生存権を全国民に保障する。その生きる権利や勤労の権利、教育を受ける権利が脅かされている。 コロナ危機は憲法の危機だ》(5月3日付北海道新聞社説) …

新型コロナと憲法(3)  ~「法治主義」と「法の支配」の混同~

《現実と憲法の間に乖離(かいり)が生じていないか。憲法改正を避けることを優先するだけでは、解釈に無理が生じ、「法の支配」が形骸化する恐れがある》(5月3日付読売新聞社説) これは「法治主義」と「法の支配」の混同からくる誤解である。制定法(legis…

新型コロナと憲法(2)  ~対米従属での改憲は危険~

《憲法学が専門の棟居快行(むねすえとしゆき)・専修大学教授は「自由と安全を両立させる必要がある。安全を口実に国家が個人に介入し、内閣の勝手にさせないよう、国会が縛っていくことが大事だ」と指摘する》(5月3日付毎日新聞社説) これはその通りなの…

新型コロナと憲法(1)  ~日本国憲法は改正でなく廃棄すべし~

毎日社説は、 《コロナ対策を突き詰めれば、憲法問題に行き当たる》(5月3日付毎日新聞社説) と言う。そして 《憲法は、国民の「生命、自由及び幸福追求」の権利について「最大の尊重」を国に求めている。だが、過去1年間、憲法が保障する権利という視点…

バイデン米大統領の施政方針演説について(3) ~独裁者を否定する独裁者~

I also told President Xi that we will maintain a strong military presence in the Indo—Pacific just as we do with NATO in Europe – not to start conflict – but to prevent conflict. I told him what I’ve said to many world leaders – that Ameri…

バイデン米大統領の施政方針演説について(2) ~後ろ向きの政策~

Second, the American Families plan will provide access to quality, affordable child care. We guarantee that low- to middle-income families will pay no more than 7% of their income for high-quality care for children up to the age of 5. The …

バイデン米大統領の施政方針演説について(1) ~社会福祉主義~

4月28日、米国のバイデン大統領が初の施政方針演説を行った。 まず気になったのは、バイデン氏が社会主義的であるところだ。 Wall Street didn’t build this country. The middle class built this country. And unions build the middle class. (ウォー…

歴史教科書:「従軍慰安婦」という言葉の再登場について(3)  ~「従軍慰安婦」否定、問われる政府の手腕と覚悟~

有村治子参院議員「河野談話についてお伺いします。 慰安婦問題については、平成4年、1992年、宮澤内閣として加藤紘一官房長官談話が出され、当時の加藤長官は強制連行を示す資料はなかったと明言をされています。しかし、なぜまた翌年、同じ内閣におい…

歴史教科書:「従軍慰安婦」という言葉の再登場について(2)  ~懐疑的態度が必要~

有村治子参院議員「そもそも、吉田清治なるうそにうそを重ねた詐欺師が、朝鮮半島で暴力の限りを働いて、幼子(おさなご)から母親を引っ剥がし、千人近い慰安婦の人狩りをしたなどという完全な作り話の数々を創作し、これらの情報が朝日新聞によって長年に…

歴史教科書:「従軍慰安婦」という言葉の再登場について(1)  ~「従軍慰安婦」は戦後の造語~

3月22日の参院文教科学委員会において自民党の有村治子議員が「従軍慰安婦」問題について問うた。 「慰安婦問題は、歴史的題材を取り扱いながらも、実態は歴史認識をめぐる今日的な政治課題としての情報戦、国際世論戦が続いており、むしろその主張はエス…