保守論客の独り言

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出入国管理法改正案廃案について(1) ~<不法滞在者>を送り返すのは当たり前~

《外国人の収容を見直す出入国管理・難民認定法改正案について、政府・与党が今国会での成立を断念した》(5月20日付読売新聞社説)

 この政権運営能力の低さは何なのだろう。一度法案を提出したからには、成立に最善を尽くすのが本来である。が、野党に批判されるとあっさり引っ込めてしまった。信念がないといったらない。

衆院で審議されていたが、名古屋市の入管施設で3月、スリランカ人女性が死亡したことを巡って野党が反発を強めていた。

 女性は留学ビザで来日し、学費が払えずに退学した後、不法滞在状態となった。同居していた男性の家を出て警察に出頭し、半年間、入管施設に収容されていた。

 遺族は、女性の体調が悪化したのに、必要な医療を受けられなかったと訴えている》(同)

 が、<不法滞在者>に必要な医療を施さなかったといって非難するのはやはりおかしい。勿論、必要な医療を施せるのであれば施すべきではある。が、それは「べき論」に留まるのであって決して「義務」ではない。

《入管施設では、半年以上の長期収容者が目立ち、5年を超える人もいる。2007年以降、収容中に死亡した外国人は17人に上り、長期収容に抗議するハンガーストライキも起きている。(中略)

 収容が長期化する背景には、退去処分を受けても帰国に応じない外国人が増えているという現実がある。20年末時点で入管施設に収容されている約350人のうち、7割が送還を拒否している》(同)

 外国人が<退去処分を受けても帰国に応じない>のは、それが罷(まか)り通るからであろう。おそらく入館施設に居続ける方が帰国するよりも良いという皮算用があるのだと思われる。

《政府が今国会に提出した入管法改正案は、長期収容の解消を目指すものだった。送還前の外国人全員を収容する原則を改め、支援者らの監督下で生活することを認める制度も盛り込んでいた》(同)

 <不法滞在者>は送り返すという当たり前のことである。

《同時に、難民申請を3回以上行った場合は、申請中でも送還できることを明記した。送還を逃れる目的で、難民申請を繰り返すケースが相次いでいるためだ》(同)

 <難民>だと言えば送還されないということが慣例化されてしまっては、入管法が骨抜きにされかねない。

《送還された外国人は、現行法では5年間、日本に再入国できないが、自発的に出国すれば1年間に短縮する予定だった。違法状態を解消し、正規に再来日できる方策として有効と考えられる》(同)​【続】​