保守論客の独り言

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温室ガス46%削減について(1) ~環境を守ろうとする日本、一儲け企む世界~

《バイデン米大統領が盟主となり、世界の40カ国・地域の首脳に参加を呼び掛けたオンライン「気候変動サミット」が22、23の両日にわたって開かれた。

 地球温暖化防止を目指す「パリ協定」の目標実現に向けて、米国やカナダなどから2030年時点における温室効果ガス(大部分が二酸化炭素)の排出削減目標の引き上げや、排出を実質ゼロにする時期の前倒し計画が示された。

 菅義偉首相は46%(2013年度比)という日本の削減目標を提示した。従前の26%減でさえ困難視されていたのに、その2倍に近い目標値である。ものづくり日本を支える産業界には試練の季節の到来だ》(4月25日付産經新聞主張)

 2013年度比46%削減など無謀と言うしかない。そんなことは分かっている。が、そう言わないと格好がつかなかった、ということなのだろう。

《世界で脱炭素の動きが強まるなか、日本は昨春、30年度の削減目標を13年度比で26%と、5年前のまま据え置いて国連に提出し、国際的に批判された。その後の昨年10月、菅首相が、森林などの吸収量を差し引いた実質的な排出量を「50年までにゼロにする」と表明したことから、30年度目標の引き上げ幅が注目されていた》(4月25日付朝日新聞社説)

 世界は、地球環境のために温室効果ガス削減が必要だと思っているのではなく、脱炭素化で「一儲け」しようと企(たくら)んでいる節がある。CO2の排出抑制は生活水準を引き下げる。が、それでも削減をうるさく言うのはそれ以上の見返りが期待されるからである。

 日本人の多くが、否、ほとんどが温室効果ガスによる地球温暖化を「事実」だと信じている。

《温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は今世紀末までの気温上昇を産業革命前に比べ、1・5度以下にとどめる目標を掲げる。

それには、2050年に世界の温暖化ガス排出を実質ゼロにしなければならない。国連の専門組織の分析などによれば、途中の30年時点では10年比で45%程度の削減が必要になる。

各国のこれまでの削減目標では、達成できたとしても気温上昇が3度を上回る恐れがある。熱波や豪雨の頻発、海面の上昇による洪水などが避けられなくなる。農業への打撃で食料不足が深刻化し、移民の増加、政情不安などのリスクも高まる》(4月24日付日本経済新聞社説)

 一方、世界は温暖化をおそらくは「一儲け」のための「前提」くらいにしか考えていないのではないか。

 温室効果ガスによる地球温暖化は「仮説」に過ぎない。地球の気温が独りCO2の量によって決まるなどと考えることは余りにも稚拙(ちせつ)である。が、「仮説」であろうと稚拙と言われようと構わない。儲かればそれで良いという考え方なのである。【続】