保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

菅首相の所信表明演説について(2) ~<グリーン社会の実現>という妄想~

私が所信表明演説で最も問題だと思ったのが、<グリーン社会の実現>の話である。

菅政権では、成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げて、グリーン社会の実現に最大限注力してまいります。

わが国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします。

 <2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする>。私は、こんな出来もしないことを約束するなどという不道徳を許すことは出来ない。

 <カーボンニュートラル>な社会が実現する。こんな素晴らしいことはない、と悦に入っているのであろう。が、こんな「妄想」で現実の政治を動かされては迷惑である。

 排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同量であるのが<カーボンニュートラル>ということである。が、現実的に<カーボンニュートラル>などなり得ない。そこに「排出権取引ビジネス」が発生する。

 環境省のカーボン・オフセット制度の定義によれば、「(温室効果ガス)削減が困難な部分の排出量について、クレジットを購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等により、その排出量の全部を埋め合わせる」となっている。つまり、日本は排出権取引の「カモ」にされるということである。

 そもそも<カーボンニュートラル>は温室効果ガスによる地球温暖化を前提にしているのであるが、これは幼稚な「仮説」であるにもかかわらず、多くの日本人が「真理」として信じて疑わないのはなぜか。トランプ大統領のように無視するのも問題であるが、一方で、大した議論もなく、信用しているというのも問題であろう。

 地球の気温は上がったり下がったりを繰り返してきた。にもかかわらず、今の温暖化が今後下降に転ずることなく上昇し続けるという根拠は何か。地球の気温は空気中のCO2をはじめとする「温室効果ガス」の濃度によってのみ決定されるなどという話はどこにもない。だからたとえCO2排出が増えなくとも地球が温暖化しない保証はどこにもないのである。

 また、地球温暖化仮説は、例えば、太陽活動を無視している。地球が太陽活動の影響を受けているであろうことは指摘するまでもない。

 翻って政治的に考えれば、大半のCO2を排出しているシナ、アメリカ、インドの3国が排出削減をしなければ無意味である。が、今のところこの3国が対策に取り組む姿はみられない。【続】