保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

温室ガス46%削減について(3) ~小型モジュール炉という切り札~

朗報がないわけでもない。

《46%削減の表明で厳しい立場に身を置いた日本だが、実は世界をリードする切り札を持っている。日本原子力研究開発機構が開発した次世代原発・高温ガス炉の存在だ。小型モジュール炉(SMR)であるだけでなく原理上、炉心溶融事故は起き得ない。発電しながら水から水素を製造できる。

 国際的な評価が高く、今年の原産年次大会(日本原子力産業協会主催)でも海外の専門家から脱炭素のエネルギー源として期待の声が寄せられた。高温ガス炉は、50年時点の二酸化炭素の排出実質ゼロ(カーボンニュートラル=CN)と整合する。このイノベーションを発展させない手はない》(4月25日付産經新聞主張)

《現在の原発の主流である軽水炉の出力が1基当たり100万キロワット程度なのに対し、小型原子炉は3万キロワット以下と小さい。

 福島第1原発事故は、全電源が喪失し、原子炉を冷やせなくなって、メルトダウンが発生した。しかし、小型原子炉では、冷却機能を喪失しても自然冷却が可能というメリットがある》(高橋洋一原発政策はこれからどうなるか 再生エネ比率は多くて6割、小型原子炉開発がカギ握る」:zakzak 2021.3.9

 であれば、既存の原発を再稼働させるために首を縦に振る筈もない反対派を説得するよりも、小型原子炉開発に力を注ぐ方がよほど建設的である。

自民党有志でつくる最新型原子力リプレース推進議連…は次期エネルギー基本計画の骨子が5月の大型連休明けにも策定されると想定し、安倍晋三前首相を最高顧問に迎えて12日に発足した。19日の会合では小型モジュール炉(SMR)など国内外の最新の原子炉について議論した》(産経ニュース 2021.4.19 20:37

《日本の温暖化ガス排出量は世界全体の約3%にすぎない。世界最大の排出国である中国、2位の米国が先頭に立たなければ削減は進まない。

トランプ前大統領によって大きく後退した米国の対策が、バイデン政権の下で再び前へ動き出したのは国際社会にとって好ましい。ただ、政権が代わるたびに方針が大きく転換するのは困る。政策に一貫性を保つよう、日本が注文を付けてもよい。

中国の習近平国家主席は気候サミットで、30年までに排出のピークを迎え、60年までに実質ゼロをめざす従来の目標を繰り返した。当面は排出が増え続ける。

日本は米欧と連携し、中国に一層の削減努力を促すべきだ》(4月24日付日本経済新聞社説)

 これは政治というものが分かっていない人の物言いである。日本が米国の政策に注文を付けられる立場にはないし、日本が米欧と連携してシナに物を言うというのも、ウイグルのジェノサイドを批判する欧米にさえ同調できない日本が何を言うかということである。

 否、たとえ言えたとしても、シナが聞く耳を持っていないということが分からずにこのようなことを言っても無意味である。【了】