保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

選択的夫婦別姓再考(1) ~夫婦別姓婚につながるパートナーシップ制度~

熊谷俊人(くまがい・としひと)千葉市長(当時)が昨年、WEBマガジンのインタビューで「選択的夫婦別姓」について語っている。

【熊谷】これは私の自論ですけれど、反対派の主張の中で整合性がとれていないものが多いと思います。よく「夫婦別姓は家族の一体感が損なわれる」とかおっしゃいますけれど、子どもにとって「戸籍」なんて普段目にしませんし感知していませんよね。

 我が家は結婚により夫婦同姓にしたけれども、妻は仕事先では旧姓を使っています。子どもたちはそのことをわかっています。ではこの状態は家族の一体感に影響が出ないのか? 実際には何も影響が出ていないけれど、「家族の絆が〜」というのなら、子どもが感知しない戸籍よりも、子どもが感知する旧姓使用・併記そのものに反対をしないと、整合性がとれないわけですよ。

(和久井香菜子「夫婦別姓でも社会は混乱しないことを証明する。千葉市熊谷俊人市長に訊く、実現可能な「選択的夫婦別姓」」:WEZZY 2020.04.17 12:00

 選択的夫婦別姓反対派の言う<家族の一体感>とは<戸籍>や<旧姓使用・併記>とは別のものである。整合性がとれていないのは、唯物的にしか物事を捉えられず、<家族の一体感>というものが分からない熊谷氏の頭の中の方である。

――反対の理由として「多額の税金がかかる」も「家族の一体感が損なわれる」も不十分。反対する理由などないように思えてきますが、それでもこのまま国が動かないなら、市町村レベルで条例を作って、夫婦別姓を選択できるようにしたらどうなのでしょうか。

【熊谷】はい、実は千葉市は、事実上それをパートナーシップ制度で実現していると言えます。

――パートナーシップ制度で!

【熊谷】千葉市のパートナーシップ制度は、事実婚、いわゆる異性婚も対象にしています。これが私なりのアプローチなんです。

千葉市は1月7日、事実婚カップルでも「パートナー」として証明書を発行する制度を設けると発表した。

同性同士だけでなく、異性間のパートナーシップ制度を設けるのは全国初》(HAFFPOST 20190107 2020 JST

というから実に先駆的である。

【熊谷】パートナーシップ制度を利用して実質的に別姓の夫婦が誕生し、何ら支障なく生活していくことができるとわかれば、やがて社会的に認められていくでしょう。別姓の夫婦が増えても、反対派の懸念されているような事態が起きてこないことが立証され、最終的には戸籍とは別制度だけれども、婚姻しているのとほぼ同じような責任、権利も含めて手にできるような新たな新法を作り「選択的夫婦別姓はあり」と国も認めるという流れが、我が社会においては現実的なアプローチかなと思っています。

《市は現在、この証明書で親族が要件である世帯向け市営住宅の入居申請や、市立病院での親族としての面会を認める方向で検討しているという》(HAFFPOST、同)

ということなので、まだまだ補足的なものに過ぎないのだけれども、将来的に夫婦別姓婚につながるものであることは間違いない。【続】