保守論客の独り言

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最高裁大法廷が再び夫婦別姓を認めなかったことについて(2) ~世論調査と情報操作~

平成29年12月調査の内閣府の「家族の法制に関する世論調査」において、「2.選択的夫婦別氏制度の導入に対する考え方」は次のような結果だった。

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  先ずどうしてこのような複雑な文の選択肢を立てなければならないのか疑問である。さらに、「選択的夫婦別姓」に賛成か反対かを単純に問うべきであるのに、あたかも選択的夫婦別姓賛成の方が多く見えるように、夫婦同姓派が2つに分かれるよう選択肢を立てている。左右の選択肢は夫婦同姓派なのでこれを合わせれば53.7%となり、中央の別姓派42.5%を上回る。

 「選択的夫婦別姓」を導入したいからこのような露骨な情報操作を行っているのであろう。が、恐ろしいことに、この世論調査の主は内閣府である。政府は国民の意識よりもずっと左寄りである。このままでは、日本はますます左傾化してしまうだろう。

《「社会調査」という名のゴミが氾濫している。そのゴミは新たなゴミを生み出し、大きなうねりとなって腐臭を発し、社会を、民衆を、惑わし続けている。

 社会調査を研究してきた者として言わせてもらえば、社会調査の過半数は「ゴミ」である。それらのゴミは、様々な理由から生み出される。自分の立場を補強したり弁護するため、政治的な立場を強めるため、センセーショナルな発見をしたように見せかけるため、単に何もしなかったことを隠すため、次期の研究費や予算を獲得するため等々の理由である。そして、それを無知蒙昧(もうまい)なマスメディアが世の中に広めてゆく》(谷岡一郎『「社会調査」のウソ リサーチリテラシーのすすめ』(文春新書)、p. 23)

《17年の内閣府世論調査で、選択的夫婦別姓導入を容認する人の割合は42・5%と過去最高となった。反対は29・3%》(6月25日付沖縄タイムス社説)

《望めば結婚前の姓を名乗れる選択的夫婦別姓の導入を認める人は内閣府の17年の世論調査で43%と過去最高になった。こうした客観情勢を直視する必要がある》(6月25日付北海道新聞社説)

 左翼・共同通信世論調査を取り上げているものもある。

《夫婦が望めば結婚前の姓使用を認める選択的夫婦別姓を支持する世論は多数派になりつつある。共同通信の今春の世論調査では賛成が60%に上り、30代以下の70%をはじめ若年層ほど高かった》(6月24日付京都新聞社説)

共同通信社が今年実施した世論調査では、6割が選択的夫婦別姓に賛成と答えた。30代以下では7割を占める。「個人の自由」として導入に前向きな考えが広がっている》(6月24日付神戸新聞社説)

共同通信が今春実施した世論調査では賛成が6割を占め、15年調査から10ポイント近く上昇。30代以下では賛成が7割に上った。賛成が全体で7割を占める世論調査もある。最高裁の判断は国民意識と乖離(かいり)していないか》(6月24日付信濃毎日新聞社説)

 独自の世論調査もある。

《15年時点と比べ、結婚時に同姓か別姓か選べる選択的夫婦別姓制度の導入に賛成する人が増えている。毎日新聞などの今年3月の世論調査では賛成が51%となり、反対の23%を大きく上回った》(6月24日付毎日新聞社説)

 が、変わりやすく移ろいやすい生者の気持ちを捕まえようとしても振り回されるだけである。つまり、世論(せろん)を判断の根拠とするのは危ういということだ。世論調査は、現在の風向きを知る程度のものだと心得ておくべきものではないか。【続】