保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

原発と考古学 ~約8万年前の火山大噴火~

《新規制基準に適合ずみの原発について、自然災害の影響を改めて評価し直す。原子力規制委員会が、そんな異例の決定をした》(11月27日付朝日新聞社説) これを<異例>と呼ぶべきかは別として、何か評価にかかわる新たな要因が見付かったのであれば検討…

消費増税対策について(2)~日本経済の脆弱さにこそ目を向けるべき~

《対策の柱と位置付けるポイント還元制度を巡り、安倍晋三首相が還元率を大幅拡大する方針を示した… 中小店舗で現金でなくクレジットカードなどで払った客を対象にするもので、還元率を当初予定していた2%から一気に5%にする》(11月27日付毎日新聞社説…

消費増税対策について(1)~アクセルとブレーキを同時に踏む愚~

《年末の政府予算編成・税制改正作業で、2019年10月に予定する消費税率引き上げへの対応策が焦点になっている。安倍晋三首相は20日の経済財政諮問会議で、19年度予算案に十分な消費増税対策を盛り込むよう指示した》(11月23日付日本経済新聞…

日米のインド太平洋構想について

《安倍晋三首相が来日したペンス米副大統領と会談した。「自由で開かれたインド太平洋」の推進を柱とする共同声明を発表した。 この地域の社会基盤(インフラ)整備などに日米で計700億ドル(約7兆9800億円)を拠出する大規模プロジェクトだ。 こう…

RCEP交渉について

《東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉の首脳会議が、目標だった年内の実質合意を見送った。(中略) 今回の会合で合意できなかったのは、貿易自由化の水準について意見の隔たりがあったためだ。 焦点だった関税分野では、大幅に引き下げたい日豪な…

勤労感謝の日について

《勤労感謝の日。祝日法に「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」とあるが、分かりにくい》(11月23日付毎日新聞「余録」) 11月23日という日に勤労を感謝する何か特別な意味合いがあるわけではないのだから当然である。 《戦前は…

核廃絶を巡って

≪今月初め、軍縮を協議する国連総会第1委員会で、核を巡る二つの決議案が採決された。 一つは、昨年7月に国連で採択された核兵器禁止条約の署名・批准を求める決議案。(中略) もう一つは、日本政府が主導した核兵器廃絶の決議案だ≫(11月19日付朝日新聞…

自民・下村氏の「職場放棄」発言を巡って(2)~日本国憲法の中で憲法問題を考える愚~

≪憲法改正の是非を決める国民投票への参加は主権者国民の重要な権利だ。国民投票の制度を整えなければ大切な権利を行使する状態が損なわれ続ける。憲法を守れ、立憲主義を守れというなら野党も積極的に取り組むべきだ≫(11月19日付産經新聞) 最右翼たる産經…

自民・下村氏の「職場放棄」発言について(1)~不活性な憲法論議~

≪臨時国会は10月24日に召集されたが、衆院憲法審査会は与党側の呼びかけにもかかわらず、野党側の消極姿勢によって一度も開かれていない。 各党は憲法審査会をできるだけ早く開催し、憲法改正に関する論議を深めていくべきだ。 自民党の下村博文憲法改正…

未だに東京裁判を擁護する毎日新聞(3)~マッカーサーですら批判的だった~

ダグラス・マッカーサー連合国最高司令官自身、東京裁判に批判的であった。 《私は戦争中、捕虜や被抑留者に残虐行為を加えたり、それを許したりした敵の現地司令官、その他軍関係者に対する刑罰は承認したことがある。しかし、戦いに敗れた国の政治的指導者…

未だに東京裁判を擁護する毎日新聞(2)~パール判事の「正論」~

東京裁判は11名の判事のうち1人を除いて他はすべて国際法の素人であった。さらに言えば、裁判の公平性を保つためには判事は第三者に委ねるべきであるが、東京裁判はすべての判事が戦勝国側の人間で構成されていた。 唯一の専門家であるインドのパール判事…

未だに東京裁判を擁護する毎日新聞(1)~自己中心的偏説~

70年前の今日1948(昭和23)年11月12日は、敗戦の翌年1946年(昭和21年)5月3日から始まった極東国際軍事裁判(東京裁判)が結審した日である。 《戦前日本を肯定的にとらえたがる民族主義的思考の人びとは「自虐史観をもたらした」と東…

日露首脳の領土交渉について(3)~「4島」か「2島」かより大事なもの~

《ロシアは4年前、自ら認めた国境を無視してウクライナのクリミア半島を併合した。その国といま、平和条約を結べば、国際社会からどんな視線を受けるかも留意すべきだろう》(11月16日付朝日新聞社説) これはその通りであって、ロシアを取り巻く環境に…

日露首脳の領土交渉について(2)~4島返還にこだわる愚~

《プーチン氏が、2島の主権の所在が交渉の対象になると述べているのは、到底容認できない。ロシアは、日本固有の領土を不法占拠している。政府は今後の交渉で、安易に譲歩してはなるまい。 択捉島、国後島を含む4島の帰属問題を解決し、平和条約を締結する…

日露首脳の領土交渉について(1)~群を抜く朝日社説の分析~

《安倍首相とプーチン大統領が会談し、1956年の日ソ共同宣言を「基礎」として平和条約交渉を進める、と合意した。 宣言は、大戦後の国交を回復させたもので、北方四島については歯舞(はぼまい)群島と色丹(しこたん)島の引き渡しだけが約束されている…

大阪北部地震のブロック塀倒壊第三者委員会の答申について

《6月の大阪北部地震で、大阪府高槻市立寿栄(じゅえい)小のブロック塀が倒壊し、4年生の女児=当時(9)=が下敷きになり死亡した事故で、原因究明を図る市の地震事故調査委員会(第三者委、委員長=奥村与志弘・関西大准教授)は29日、施工不良など…

アメフト悪質タックル問題:日大・内田前監督ら立件見送りについて

《日本大アメリカンフットボール部の悪質反則問題で、警視庁が、傷害罪で刑事告訴されていた日大の内田正人前監督と井上奨(つとむ)前コーチについて、宮川泰介選手に対し相手を負傷させる危険なタックルをするよう指示した事実は認められないと判断したこ…

TPP11年内発効について

《米国を除いた11カ国による環太平洋連携協定(TPP)が12月30日に発効する。 新たに生まれる自由経済圏は人口約5億人、国内総生産(GDP)の合計が世界の13%を占める。 TPPを離脱した米国のトランプ政権が保護主義政策を押し進めて欧州の…

207日裁判員裁判について ~裁判員制度は廃止すべき~

《殺人事件の被告に神戸地裁姫路支部が無期懲役の判決を出すまでの審理期間が207日に及び、裁判員裁判で過去最長となった》(11月10日付京都新聞社説) 当初は長期間拘束することにはならないとしていたのにどういうことか。裁判員制度のHPには次の…

東京新聞の偏った憲法論(4)~憲法の理非曲直を正すべき~

《ワイマール憲法との類似点もある。 例えば生存権である。「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」の条文だ。その他、ワイマール憲法では主権在民や男女平等の普通選挙。教育を受ける権利しかり、自由権しかり、労働者の団結権もしかり…。 ワイマール憲…

東京新聞の偏った憲法論(3)~日本国憲法前文は借り物競争~

日本国憲法前文(2):そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。 Government is a sacred trust of the people, the authority for which is…

東京新聞の偏った憲法論(2)~酷いGHQ英文草案と和訳文~

《日本国憲法は英国の「権利の章典」、米国の独立宣言や合衆国憲法、フランスの「人権宣言」などの思想を踏まえる》(11月3日付東京新聞社説) <思想を踏まえる>というよりも先行文献を「切り貼り」し、これを下敷きにしているだけである。 日本国憲法…

東京新聞の偏った憲法論(1)~「国民主権」という誤り~

《帝政時代の憲法は鉄血宰相で有名なビスマルクらが制定した。だが、共和政へと国家の形が変われば新憲法がいる。それが1919年のワイマール憲法だ。つまり国民との社会契約が変わるとき憲法も変わる》(11月3日付東京新聞社説) 11月3日は日本国憲…

就労外国人受け入れについて(3)~過去の成功体験に縛られるな~

《人口減少下で日本が成長するには外国人材の積極的な受け入れが不可欠だ》(11月3日付日本経済新聞社説) 泳ぎ続けばければ死んでしまうマグロのように、日本も成長し続けなければならないと考えるのは一種の「恐怖症」(phobia)である。が、私は、日本…

就労外国人受け入れについて(2)~産業構造の転換を先に考えるべきだ~

《どんな業種に、どれくらいの数の外国人を迎えようとしているのか。この根本的な問いにすら山下貴司法相は答えられず、「現在精査している」と述べるのがやっとだった。 安倍首相も同様だ。移民政策への転換ではないのかとの指摘に対し、移民政策を「一定規…

就労外国人受け入れについて(1)~どうしてこんなに急ぐのか~

2日、外国人労働者の受け入れを拡大するために出入国管理法改正案が閣議決定された。 《法案はこれまで認めてこなかった単純労働を容認し、実質的な永住にも道を開く内容だ。国の形を変え得る政策の大転換であるが、政府は受け入れ規模の見通しや対象職種を…

「対外侵略のイデオローグ」に祭り上げられた吉田松陰(3)~松陰と安倍首相を同列に論ずる勿れ~

松陰は危険人物だ、その危険人物の言をしばしば引用する安倍晋三首相も同様に危険人物だ、という論法らしい。その類推(analogy)は当たらずといえども遠からずの感が無きにしも非ずではあるが、松陰の危険性と安倍首相の危険性は少し異なるように思われる。…

「対外侵略のイデオローグ」に祭り上げられた吉田松陰(2)~松陰を過大に危険視するのはなぜか~

《何といつても彼(=松陰)は、外國の情勢に對して目隠しされてゐた鎖國時代の一田舎侍に過ぎない。その上彼は二十代を殆んど幽囚の境遇の下に過してゐる。その接し得る資料、従つてその客観的認識は、今日の小學生にも劣るであらう。それに「攘夷」といふ…

「対外侵略のイデオローグ」に祭り上げられた吉田松陰(1)~歴史的人物を裁く傲慢~

長州藩萩に生まれた吉田松陰は、私塾「松下村塾」を開き、久坂玄瑞、高杉晋作といった倒幕の志士を育て、木戸孝允(たかよし)、伊藤博文といった明治の元勲(げんくん)を生んだ「明治維新の精神的指導者」とされる人物である。昨今、その松陰が悪名高き人…

韓国最高裁の徴用工判決について

10月31日付各紙社説は一斉に韓国最高裁の徴用工判決を取り上げた。 《植民地支配の過去を抱えながらも、日本と韓国は経済協力を含め多くの友好を育んできた。だが、そんな関係の根幹を揺るがしかねない判決を、韓国大法院(最高裁)が出した。 戦時中、…