保守論客の独り言

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アメフト悪質タックル問題:日大・内田前監督ら立件見送りについて

《日本大アメリカンフットボール部の悪質反則問題で、警視庁が、傷害罪で刑事告訴されていた日大の内田正人前監督と井上奨(つとむ)前コーチについて、宮川泰介選手に対し相手を負傷させる危険なタックルをするよう指示した事実は認められないと判断したことが12日、関係者への取材で分かった。警視庁は近く刑事告訴に基づき傷害容疑で2人を書類送検するが、東京地検立川支部は2人の立件を見送るとみられる》(産經新聞 2018.11.13 05:00

 私自身ある意味驚きではあったが、この判断に私も基本的に同意する。理由は事件当時、自身のブログ

日大アメフト監督・コーチ除名処分について(1) ~世論におもねった大岡裁き~ | 池内昭夫のブログ - 楽天ブログ

に詳しく書いたのでここでは繰り返さない。

 が、誤解なきように補足すれば、監督、コーチが<指示した事実は認められない>とは、「指示していない」ということではなく、あくまで指示したのが事実であるとする証拠が不十分だったということである。言い換えれば、事件当時世間に横行した「指示したに違いない」などという揣摩(しま)憶測だけで立件することは不可能だということである。

アメフットのタックルなどスポーツ上の行為は、ルール内であれば正当な業務による行為とされ、相手が負傷しても違法性はない。捜査では、宮川選手に対して「相手を潰せ」などとした指示内容が、正当業務行為の範囲を超えていたかが焦点となった》(同)

 これも私が確認してきたことであるが、インプレー内で相手を負傷させようとタックルしたとしても、それは<正当な業務による行為>であり<相手が負傷しても違法性はない>。問題なのは、インプレー、アウトオブプレー関係なく、とにかく負傷させろと指示したのかどうかということである。

《警視庁は捜査1課の殺人事件担当や課内のアメフット経験者、競技0場を管轄する調布署員らからなる特別捜査チームを編成。アメフット部の関係者や競技の専門家ら約200人から事情聴取したほか、試合を複数の角度から撮影した動画を解析。記者会見などでの関係者の発言についても裏付け捜査を行った。

 その結果、宮川選手に対し、2人が相手にけがをさせるよう仕向けた言動は確認されなかった。「潰せ」という言葉も「強いタックル」などの意味で一般的に使われており、ルールを逸脱し、相手を負傷させることを意図したものとはいえないと判断した》(同)

 妥当な判断だと思われる。蛇足ではあるが、事件当時、内田氏が動画で宮川選手の動きを追っていたかのような情報操作が頻繁に行われていたが、実際は内田氏はプレーに合わせて頭を振っており、宮川選手ではなくプレーを見ていたと推測されるという新たな証拠映像も出てきている。

 監督、コーチの指示がなかったとすれば、宮川選手の誤解による過失が逆に問われることとなる。

《宮川選手については、試合の動画解析などから傷害の実行行為を認定し、書類送検する。ただ、関西学院大の被害者側から寛大な処分を求める嘆願書が出ており、地検支部はこうした状況を考慮して最終的な処分を決定するとみられる》(同)

 このような結末に納得のいかない人も多いであろうが、冷静に考えれば、こういう線に落ち着く話であったということではないか。