保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

どうしてセンター試験をやめるのか?(2) ~理の無い変革~

《大学入試センター試験が31年の歴史に幕を下ろした。高校や大学から「改良を重ね、思考力を問う良問が増えた」と、一定の評価を受けた試験だった。 思考力のさらなる重視をかかげて「共通テスト」に切り替わるが、英語民間試験と記述式問題の導入をめぐる…

どうしてセンター試験をやめるのか?(1) ~文科省は「教育破壊省」~

《大学入試センター試験は今回が最後となり、共通一次試験の後継として1990年から続いた30年の歴史に幕を下ろした。来年度の受験生からは「大学入学共通テスト」を受けることになる。 なぜ、センター試験では駄目なのか。変更に至った明確な根拠は、今も国民…

選択的夫婦別姓制度への野次について

《衆院の代表質問で、国民民主党の玉木雄一郎代表が選択的夫婦別姓制度の導入を訴えた際に、自民党席の女性議員から「だったら結婚しなくていい」とやじが飛んだとして、野党が反発している。 野党側は発言者は杉田水脈(みお)氏だったと名前を挙げ、自民党…

伊方原発運転差し止めについて

《広島高裁が四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の運転差し止めを命じる仮処分決定を出した》(1月18日付毎日新聞社説) 科学とは畑違いの裁判官が科学の領域に土足で踏み込んで原発の安全性を判断する。どうしてこんなことが許されるのだろうか。 裁判官が判…

表現の自由と公共の福祉(4) ~「アームズ・レングス」の原則~

《ここ(=日本国憲法)にいう公共の福祉は、人権の保障そのものの本質から論理必然的に派生する原理であり、憲法の明文にその根拠を有するものではない。したがって、日本国憲法が、その条項に、公共の福祉をもち出したことは、立法技術的にいって無用であ…

表現の自由と公共の福祉(3) ~一元的内在制約説~

《各人の人権の享有およびその主張に対して、なんらかの制約が要請されるとすれば、それは、つねに他人の人権との関係においてでなくてはならない。人間の社会で、ある人の人権に対して規制を要求する権利のあるものとしては、他の人の人権以外には、あり得…

表現の自由と公共の福祉(2) ~宮沢俊義の屁理屈~

「公共の福祉」をどう見、どう考えるのか。 《この問題に対する答えは、だいたい次の2つの型に分れる。 第1説は、(1)基本的人権は、公共の福祉のワク内で(すなわち、公共の福祉に反しないかぎり)、保障される、(2)したがって、基本的人権の行使が、…

表現の自由と公共の福祉(1)

《暴力的な威嚇や政治権力の圧力が、自由な表現を脅かす。あってはならない出来事が、昨年は社会に波紋を広げた。 あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」が代表例であり、一時中止に追い込まれたうえ、文化庁が補助金の交付をやめた。その後、各地…

民意と言う名のルサンチマン

ルサンチマン:弱者が強者に対して、『憤り・怨恨・憎悪・非難』の感情を持つこと ― 〇 ― 《私たちの願いが国政に届いているとは思えない。民意を政治に反映できる回路を、早急に再生する必要がある》(1月3日付京都新聞社説) と社説子は言う。が、<私たち…

首相年頭会見について(2) ~「桜を見る会」追及は子供の所業~

《首相は海上自衛隊の中東派遣について、国会でほとんど議論しないまま昨年末に閣議決定した。 会見で予定通り派遣する考えを示したが、中東情勢が緊迫する中でなぜ派遣が必要なのか。与野党で徹底的に議論する必要がある》(1月7日付毎日新聞社説) <中東…

首相年頭会見について(1) ~マスコミのか弱き批判~

《安倍晋三首相が伊勢神宮に参拝し、年頭の記者会見を行った。 (中略) 首相が会見冒頭に強調したのは、東京五輪・パラリンピックへの期待と、「新時代を切り開く1年」にするとの意気込みだ。そのうえで、全世代型社会保障改革を「最大のチャレンジ」と位…

伊藤詩織さんの裁判

《ジャーナリストの伊藤詩織さんが性暴力を受けたとして、元TBS記者の山口敬之氏を訴えた民事裁判で東京地裁は山口氏に賠償を命じた》(2019年12月27日付) 私は非常に違和感がある。どうして大新聞の社説がこの事件を大々的に取り上げなければならないの…

朝日社旗は旭日旗ではないのか

《そもそも人はなぜ、旗を手にするのか》(1月11日付朝日新聞社説) 残念ながらなのか幸いにしてなのかは分からないが、私は旗を手にした記憶がない。スポーツ観戦などで小旗を振る光景をよく見掛けるが、やはりここには集団性というもの関係しているように…

元日社説読み比べ(7) ~日経社説のおかしな提言~

《第2になすべきは…国が責任をもって少子化対策や持続可能な社会保障への転換を推進することだ》(日本経済新聞) これも日本語が変ではあるが、おそらくもっと本腰を入れて<少子化対策>を行えと言っているのであろう。が、少子化は複雑な要因が作用してい…

元日社説読み比べ(6) ~「イノベーション」を煽る「死の舞踏」~

《第1になすべきは企業の変革である。社会保障などを担う国の体力を強くするには、産業競争力を高めねばならない。人事制度の見直しに着手した会社は多い。デジタル化やグローバル化は、従来通りのやり方では対応できないことに気づいたのである。 生産性を…

元日社説読み比べ(5) ~読売新聞は左翼紙だ~

《習近平国家主席の来日は、日中の対話を深める好機である。「互恵関係」とは、中国を批判しない、という意味ではない。問題があれば、率直にただせばよい》(読売新聞) 読売新聞も親シナということなのであろう。香港の問題が大きく報じられ、チベット、新…

元日社説読み比べ(4) ~「平和呆け」の読売社説~

《日本は今、長い歴史の中でみれば、まれにみる平和と繁栄を享受している。 世界に大きな戦争の兆しはない。安倍首相の長期政権下で政治は安定している。諸外国が苦しむ政治、社会の深刻な分断やポピュリズムの蔓延(まんえん)もみられない。 経済成長率は実…

元日社説読み比べ(3) ~シナ目線の毎日社説~

《昨年暮れに来日した、フランスの経済学者ジャック・アタリ氏は今の世界の状況を「20世紀初頭に近い」と形容した。民主政治の不安定化を受けた指摘だ。 民主主義は、政策決定に時間がかかり、最終的に合意されたものもあいまいさが常に残る。それよりは、…

元日社説読み比べ(2) ~大事なのは「中庸」~

プーチンは言った。 “I am not trying to insult anyone because we have been condemned for our alleged homophobia. But we have no problem with LGBT persons. God forbid, let them live as they wish,” he said. “But some things do appear excessiv…

元日社説読み比べ(1) ~プーチン「リベラルの理念は時代遅れになった」~

《ロシアのプーチン大統領は昨年6月、移民に厳しく対処するべきだとの立場から、こう述べた。「リベラルの理念は時代遅れになった。それは圧倒的な多数派の利益と対立している」》(朝日新聞) この発言は、G20大阪サミット開幕直前の27日夜、プーチン大統…

「人権」と憲法97条(3) ~棚ぼたの基本的人権~

一方、芦部信喜はこの97条を擁護する。 《たしかに、制憲者が明確な憲法論に基づいて、97条を「最高法規」の章に置いたわけではなく、むしろ偶然の経緯で定められた沿革を考えると、11条が存在する以上、97条は無用だという議論も理由がないではない。 しか…

「人権」と憲法97条(2) ~GHQホイットニーの顔を立てた97条~

《人権、人間の尊厳、法の支配、民主主義――。 めざすべき世界像としてSDGsも掲げるこれらの言葉は、西洋近代が打ち立てた普遍的な理念として、今日に生きる。 基本的人権の由来を記した日本国憲法の97条にならえば、「人類の多年にわたる自由獲得の努…

「人権」と憲法97条(1) ~「人権」への懐疑~

《人権、人間の尊厳、法の支配、民主主義――。 めざすべき世界像としてSDGsも掲げるこれらの言葉は、西洋近代が打ち立てた普遍的な理念として、今日に生きる》(1月1日付朝日新聞社説) ※SDGs=Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標) …

日韓関係について(4) ~人の道に反する「嘘宣伝」~

《安倍首相は、朝鮮半島に残る歴史的な感情のしこりに無神経な態度が相変わらずだ。 先の臨時国会の所信表明で、100年前のパリ講和会議で日本が人種差別撤廃を提案したことを誇らしげに語った。だが、当時の日本が朝鮮の植民地支配で差別を批判されていた…

日韓関係について(3) ~陸奥宗光の目~

陸奥宗光は『蹇蹇録(けんけんろく)』で朝鮮統治について次のように書いている。原文には句読点がなく読みづらいので、口語試訳を添えておく。 《抑々(そもそも)我國の獨力を以て朝鮮内政の改革を擔任すべしとの議の世間に表白せらるゝや我國の朝野の議論…

日韓関係について(2) ~事実に基づかぬ朝日社説~

《これまでのところ深刻な経済ダメージが取りざたされるのは日本側だ。これまで中国に次ぐ2番目の規模だった韓国人観光客の足が遠のいた。 日韓の間に位置する長崎・対馬の観光業者は「経営的に限界という声が少なくない」(長崎県対馬振興局)という》(20…

日韓関係について(1) ~朝日社説の嘘っぱち~

朝日新聞の事実認識は客観を装った、世論誘導の「宣伝」(propaganda)である。 《発端は、徴用工問題をめぐり日本企業に賠償を命じた昨年の韓国の判決である。問題は解決済みとする日本政府は今夏、貿易分野で報復措置をとった。 これを受け、韓国側は軍事…

憲法9条を巡って(4) ~9条削除論~

一方、井上氏の説は明快である。 《私は、修正主義的護憲派の憲法解釈は、無理だと思っています。 この解釈は結局、旧来の内閣法制局見解と同じですね。「専守防衛の範囲なら自衛隊と安保は九条に違反しない」。安倍政権が変えようとしているものだけど。 そ…

憲法9条を巡って(3) ~「9条」の解釈は政治的なもの?~

《日本政府は、憲法9条について、日本を防衛するための必要最小限度の実力の保持とその行使は禁じていないとの立場をとってきました。国連憲章51条の規定する自衛権のうち、自国を防衛するための個別的自衛権は行使できます。 他方、自国と密接な関係にあ…

憲法9条を巡って(2) ~長谷部説は解釈改憲~

井上氏は続ける。 《ちなみに、この第2項の冒頭に「前項の目的を達するため」を挿入したのは芦田均なのですが、これによって、自衛のための軍備を合憲とする余地を残した、とする説があります。そういう「隠された意図」があった、と。 しかし、「陸海空軍そ…