《首相は海上自衛隊の中東派遣について、国会でほとんど議論しないまま昨年末に閣議決定した。
会見で予定通り派遣する考えを示したが、中東情勢が緊迫する中でなぜ派遣が必要なのか。与野党で徹底的に議論する必要がある》(1月7日付毎日新聞社説)
<中東情勢が緊迫する中でなぜ派遣が必要なのか>とは、中東情勢が緊迫すれば派遣すべきではないと思っているのであろう。ということはペルシャ湾を航行する石油タンカーを見捨てるということなのか。それとも中東から石油が来なくてもよいということなのか。
《米国とイランの対立激化で、緊迫の度を増している中東情勢には、細心の注意が要る。
日本は原油輸入の約9割を中東に依存する。事態が悪化して輸入が滞れば、経済への影響は計り知れない。首相は「緊張緩和のため外交努力を尽くす」と語った。
政府は海上自衛隊の部隊を中東に派遣する。護衛艦などがオマーン湾やアラビア海北部などで、情報収集任務にあたる予定だ。
日本が、海上交通路の安全確保に貢献するのは当然だろう》(1月7日付読売新聞社説)
今の日本は中東からの石油を断つことは出来ない。であれば石油タンカーが緊迫するペルシャ湾を安全に航行出来るよう海上自衛隊を派遣し安全を確保する必要があるのは言うまでもない。
議論は必要である。が、それは中東に海上自衛隊を派遣するか否かではなく、不測の事態があった場合、どこまでの活動を認めるのかということの方であろう。勿論、戦闘活動を行うわけにはいかないにしても、共に安全を確保しようとしている仲間を守る「集団的自衛」ということについても一定程度踏み込む必要もある。
が、憲法の制約上、「集団的自衛」の話は本来無理筋である。だから「集団的自衛」が出来ないというのではなく、どうすれば「集団的自衛」にまで踏み込めるのかを考えるべきであろう。勿論、一番の早道は、憲法9条の非武装条項を改めることである。
が、本来考えるべきは、石油の中東依存を分散することである。かつて田中角栄首相がこれをやろうとして潰されたことがあったという話がある。
が、時代は当時とは随分変わっている。一番は尖閣沖の海底油田を稼働して自給率を上げることであろうが、今の政治力では見込み薄であろう。そんなことより「メタンハイドレート」はどうなってしまったのか。
《「桜を見る会」の問題も通常国会で議論すべき重要なテーマだ。
しかし、会見で首相は記者の質問に具体的な説明はせず、「今後も丁寧に対応してまいりたい」と述べるにとどまった。
野党の求める審議を拒み、説明責任に背を向けた前国会の繰り返しにしてはならない》(同、毎日社説)
自分で言っていて分からないのであろうか。「桜を見る会」の追求など、物事の軽重の分からぬ子供の所業でしかない。【了】