保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

象徴天皇の在り方を模索するという錯誤について(1) ~けじめ無き日本~

《天皇陛下がきょう4月30日をもって退位する。 陛下にとっては、日本国憲法が定める象徴天皇像を追い求める「旅」に終止符を打ち、緊張から解放される日といえる》(4月30日付朝日新聞社説) 日本の悠久の歴史を貫く天皇をマッカーサーに指令に従って拘束…

崩れ行く日本の教育(3) ~沈みゆく泥船~

《新学習指導要領は「主体的・対話的で深い学び」を掲げ、知識を活用した課題解決や新しい価値を見いだす能力の育成を重視している》(3月28日付京都新聞社説) 「主体的で深い学び」などと出来もしない空言を掲げ、これに合わせて教育を振り回すようなこと…

崩れ行く日本の教育(2) ~的外れな教育改革~

《「ゆとり」批判に懲りて、教科書は検定のたびに厚くなってきた。今回もページ数は平均10%増えた。教員の世代交代を受け、経験が浅くても教えやすいように、授業のヒントを豊富に盛り込んだのも一因だ》(3月28日付朝日新聞社説) 「ゆとり教育」の反動…

崩れ行く日本の教育(1) ~教育を弄ぶ文科省は解体すべし~

《全国の小学校で2020年度から使われる教科書の検定結果を文部科学省が公表した。 学校で教える内容を決めている学習指導要領が20年度から全面的に新しくなるのに対応した。 5、6年生で学ぶ英語の教科書が新たに合格し、6年の理科のすべての教科書…

女性・女系天皇について(2) ~皇室の存在は風前の灯~

《新天皇に期待する役割を複数回答で選んでもらったところ、「被災地訪問などで国民を励ます」が最も多く66%、「外国訪問や外国要人との面会」が55%、「戦没者への慰霊など平和を願う」が52%――などとなった》(朝日新聞デジタル2019/04/18 20:35) …

女性・女系天皇について(1) ~女系天皇は「万世一系」の伝統を崩す~

《新しい天皇陛下には被災地訪問などを期待し、将来の安定した皇位継承のために女性・女系天皇を認めてもよい――平成から令和への代替わりを前に実施した朝日新聞社の全国世論調査では、こんな傾向も浮かび上がった》(朝日新聞デジタル2019/04/18 20:35) お…

アイヌ新法成立について(3) ~アイヌ協会中にアイヌの血を引く人は2割位?~

《自民党の青山繁晴参院議員(比例代表)は7日の党参院議員総会で、政府が今国会に提出予定のアイヌ民族に関する新法案に触れ、「(北海道)アイヌ協会の中に本当にアイヌの血を引く方(かた)は2割くらいしかいない」と発言》(北海道新聞電子版02/08 05:…

アイヌ新法成立について(2) ~アイヌはネイティブアメリカン、アボリジニと同列ではない~

《明治以降、政府は狩猟漁労によるアイヌ民族の生業を奪い、同化政策を進め、土地や文化、言葉などを奪ってきた。 格差や差別がなくならない背景には、こうした歴史的経緯があるのは明らかだ。 ところが、新法には法制化を必要とした理由が記されなかった。…

アイヌ新法成立について(1) ~アイヌ民族は現存するのか?~

《アイヌ民族の誇りを尊重し、共生社会の実現を目指す新法がきのう、参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した》(4月20日北海道新聞社説) このようなことがほとんど話題にならずに決まるのはとても恐ろしいことである。これまでも私は幾度となくこの…

岐路に立つ民主主義(2) ~岐路に立つ左寄りマスコミ~

《経済学者の坂井豊貴氏は著書『多数決を疑う 社会的選択理論とは何か』で、米国の経済学者らが導き出した「64%多数決ルール」を採用すべきであると提言しています。理屈は難しいので省きますが、過半数ルールでは達成できない「多数意見の反映としての正…

岐路に立つ民主主義(1) ~国民投票は代議制の否定~

過去の美徳にたいする報酬を求めてはなるまい、 なぜならば、 美貌も、知恵も、家柄も、体力も、功績も、 恋愛も、友情も、慈悲心も、すべてはあの 意地の悪い中傷好きな「時」の臣下なのだから。 世界じゅうの人間は一つの性質によって親類関係にある、 つ…

経団連の原発提言について(2) ~黒い噂~

《経団連が、電力システムに関する提言をまとめた。火力発電所に依存する現在の電源構成に警鐘を鳴らし、遅れが目立つ原子力発電所の再稼働を推進するよう求めた。 また、原発の技術開発や継続的な投資を促すため、原発の建て替え(リプレース)や新増設を国…

経団連の原発提言について(1) ~国内外で強まっている(?)原子力への逆風~

《経団連が電力政策についての提言をまとめた。内容は多岐にわたり、再生可能エネルギーの拡大に必要な送電線網の整備や、老朽化が進む発電所への投資促進など、方向性はうなずけるものもある。 しかし原発については疑問が多い。脱炭素化をめざす上で「不可…

自由な言論について

《京都府南丹市は昨年11月、精神科医・香山リカさんの講演会を中止した。講演を妨害するような電話や、政治団体による街頭宣伝の予告が届いたためだ。予定されていた演題は「子どもの心を豊かにはぐくむために」。市は、母親や子の安全確保を理由に講師を…

民主と自由(2) ~我田引水の朝日社説~

《英国の歴史家、E・H・カーは、国際政治において理想主義は常に現実主義に否定されてきたと指摘した。ただ、現実の追認だけでは何も生まれないのも歴史の教訓だという》(1月3日付朝日新聞社説) このような言い方は誤解を招く。確かに、理想主義と現実主…

民主と自由(1) ~朝日社説の自分勝手な民主自由論~

1月3日の朝日新聞は「1989年と今の世界 民主と自由の命脈を保て」と題した社説を掲げている。「自由と民主」の語順では「自由民主党」を想起するからか、「民主と自由」という語順に私は少し違和感がある。否、もっと大きな違和感がこの日の社説にはある…

大阪維新快勝について(3) ~漸進的変革の必要性~

《これで都構想に全面的なお墨付きが与えられたわけではない。構想に反対する対立候補にも一定の票が投じられた。府・市議会の協力も欠かせない。 選挙は維新と、対立した自民、公明など反維新勢力の間に深い溝を残した。分断を修復し、円滑な府・市政の運営…

大阪維新快勝について(2) ~負け犬の遠吠え~

《都構想の狙いとして、維新は府と市の二重行政の解消を強調する。現行制度のもとでも取り組むべき課題であり、実際に維新も公営住宅事業や信用保証協会、産業・工業研究所を統合してきた。その上でなぜ都構想の実現が不可欠なのか、コストや懸念にどう向き…

大阪維新快勝について(1) ~対案なき反維新の自滅~

《大阪の府知事選と市長選では大勝して引き続きポストを確保し、府議選でも新たに過半数の議席を獲得した。ただ、市議選では半数に及ばなかった》(4月8日付朝日新聞社説) 大阪維新が勝つであろうことは予想されたこととはいえ、これほど大きな差がつくとは…

新元号「令和」について(4) ~権威を縛ろうとする憲法の愚~

《19世紀の文明とは、平均人が過剰世界の中に安住することを可能とするような性格の文明であった。そして平均人は、その世界に、あり余るほど豊かな手段のみを見て、その背後にある苦悩は見ないのである。 彼は、驚くほど効果的な道具、卓効のある薬、未来の…

新元号「令和」について(3) ~国民重視、伝統軽視~

《改元1カ月前という今回の政府の決定は、国民生活を最優先したものとは言い難い。混乱を避けるため、当初は昨夏の公表も想定したが、新元号は新天皇の下で決めるべきだという保守派への配慮から、このタイミングとなった。官民のコンピューターシステムの…

塚田副大臣の忖度発言について(3) ~純粋まっすぐ君の議論~

《同ルートの建設計画は、無駄な公共事業だとして平成20年に凍結された。昨夏の西日本豪雨で関門橋と関門国道トンネル両方が通行止めとなり、生活必需品の流通に多大な支障が出た。これを機に、31年度予算に国直轄の調査費4千万円が計上された経緯があ…

塚田副大臣の忖度発言について(2) ~聞く耳を持たぬ大衆~

《今日の状況の中で、社会的な生における知的凡庸さの支配ほど、過去のいかなる事件とも同一視することのできない新事態はないのではなかろうか。少なくともヨーロッパの歴史においては、庶民が自分が物事に関する「思想」をもっていると信じ込んだことは一…

塚田副大臣の忖度発言について(1) ~大衆紙の反逆~

《塚田一郎国土交通副大臣が辞任した。山口、福岡両県を結ぶ道路に調査費が計上されたことを踏まえ、安倍首相と麻生副総理の意向を「忖度(そんたく)した」と発言した責任を取ったものだ》(4月6日付読売新聞社説) 安倍政権応援団と目される読売新聞までがこ…

新元号「令和」について(2) ~外務省の元号廃止論~

《外務省が元号を使った和暦の使用を原則的にやめ、西暦を使う方向で検討していることが1日、わかった。これまで外交交渉で西暦を使用する一方、省内の文書は西暦と和暦が混在していたため、読み替えが煩雑で間違う恐れもあった。外務省幹部は取材に対し、…

新元号「令和」について(1) ~御代替わり前の空騒ぎ~

《読売新聞社が1~2日に実施した緊急全国世論調査で、新元号の「令和」に「好感を持っている」と答えた人は62%で、「なじみにくい感じを持っている」の31%を上回った。その一方、5月1日に元号が変わることで、日本の社会の雰囲気が「変わる」とし…

象徴天皇について(4) ~陛下の務めは「祈る」こと~

《象徴の役割を9割近くが評価する一方で、現在も半数が距離を感じると回答した背景について、(関東学院大学教授の)君塚(直隆)氏は「天皇陛下が日ごろどのような活動をしているか情報発信が足りないためだ」と分析する。 英王室では広報担当がツイッター…

象徴天皇について(3) ~目に見えない「天皇」という存在~

《「象徴」という言葉は明治の思想家、中江兆民(なかえ・ちょうみん)がフランス語の「サンボル(シンボル)」の訳語として美学の翻訳書で使い出した言葉という。戦前は一般に芸術や文学の専門用語というイメージだったようだ ▲だから占領軍の憲法案に天皇…

象徴天皇について(2) ~「象徴」の意味~

象徴とは、 直接的に知覚できない概念・意味・価値などを、それを連想させる具体的事物や感覚的形象によって間接的に表現すること(大辞林第3版(三省堂)) である。つまり、「天皇」という<直接的に知覚できない概念・意味・価値などを>、「陛下」という…

象徴天皇について(1) ~「象徴」という言葉の由来~

《毎日新聞が16、17日に実施した全国世論調査で、象徴としての天皇の役割について「果たされている」とした回答は9割近くにのぼった。このうち「十分果たされている」との回答は20歳以上の全世代で6割を超え、40代と50代では7割超。支持政党別でみても、党中…