一燈照隅(池内の日記)

~天邪鬼(あまのじゃく)の独り言~

経団連の原発提言について(1) ~国内外で強まっている(?)原子力への逆風~

経団連が電力政策についての提言をまとめた。内容は多岐にわたり、再生可能エネルギーの拡大に必要な送電線網の整備や、老朽化が進む発電所への投資促進など、方向性はうなずけるものもある。

 しかし原発については疑問が多い。脱炭素化をめざす上で「不可欠なエネルギー源」と原発を位置づけ、運転期間の大幅延長の検討や新増設を進める方針の明示を、政府に求めた》(410日付朝日新聞社説)

 経団連日本経済団体連合会)は、れっきとした「圧力団体」ではあるが、原子力政策に関して責任ある立場にはなく、したがって、この提言を真に受ける必要はまったくない。だから勝手なことを言っているということで放っておけばよいのであるが、いくつかの新聞が社説でこの提言を取り上げているので、少し意見を述べておこうと思う。

原子力への逆風が国内外で強まっている現実を、踏まえるべきではないか》(同)

と朝日社説子は言う。が、これは本当だろうか。先日の英国への原発輸出の頓挫も、<原子力>への逆風というよりも、安全面でのコストが高騰し採算が合わなくなったのが原因であろうと思われる。つまり、<原子力>の需要はなくはない。が、供給側が二の足を踏んでいるということなのではないか。実際、社説子も

《安全対策費用の上昇で、政府や電力業界が長年強調してきた原発の経済性は低下した》(同)

と言っている。

経団連の中西宏明会長は最近、原発に理解が広がらない現状について「議論が不足している」と述べ、幅広い層を巻き込んだ議論を訴えている。ところが、脱原発と再エネ推進の政策提言をしている民間団体から公開討論を申し込まれると、「エモーショナル(感情的)な反対をする人たちと議論しても意味がない」と拒否した。

 エネルギー問題は複雑で、意見が分かれるテーマが多い。中でも原発をめぐっては、推進・反対派の双方とも内輪で固まる傾向が強く、建設的な政策論議はなかなか深まらない》(同)

 私は、原発問題は高度に政治的な問題だと思っている。エネルギー安全保障という国の生き死にを左右しかねない問題を「感情的」(emotional)に議論してもただ言い合いになるだけであることも確かであろう。こういった国家的問題は、国が先に指針を示すべきであるし、国会で議論を重ねるべきである。

 また、核技術の高度化という問題もある。社説子も

《高レベル放射性廃棄物の処分地の検討も、依然進まない》(同)

と言っているが、この問題は、単に<処分地>の問題ではない。核技術が高度化すれば、処分の仕方も変わってくる。今は現実的ではないかもしれないが、「核廃棄物の再利用」という問題も視野には入れておくべきである。核技術が高度化しなければ、増え続ける核廃棄物をどう処分するのかが決められないし、使わなくなった原発廃炉も進まない。何より、事故を起こした福島第一原発の後始末も付けられない。【続】