保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

塚田副大臣の忖度発言について(3) ~純粋まっすぐ君の議論~

《同ルートの建設計画は、無駄な公共事業だとして平成20年に凍結された。昨夏の西日本豪雨関門橋と関門国道トンネル両方が通行止めとなり、生活必需品の流通に多大な支障が出た。これを機に、31年度予算に国直轄の調査費4千万円が計上された経緯がある。忖度があったとは考えにくい》(4月5日付産経新聞主張)

 否、森友問題で籠池氏が言い出し、これを野党とマスコミが弄(もてあそ)んだので悪い心象が付いてしまったが、「忖度(そんたく)」という言葉自体は悪いものではない。「以心伝心」という言葉もあるように、相手の気持ちを慮(おもんぱか)るということは日本の文化において重要なことである。勿論、「忖度」が過剰となり公正さが害されれば問題であろうが、「忖度」自体を異様に悪視する必要はない。

《九州と本州を結ぶ幹線道路は、関門国道トンネル(1958年開通)、関門橋(73年開通)があるが、老朽化が進んでいる。補修工事などで渋滞したり、通行止めになったりすることが多いという。

 このため、地元自治体や経済関係者は「第3の関門道」として下関北九州道路の整備を求めてきた。関門トンネル関門橋の代替機能を確保する意義は理解できる。

 とはいえ、有力な政治家の「我田引水」で恣意(しい)的な予算配分が行われるのなら、公平公正であるべき行政をゆがめてしまう》(4月6日付琉球新報社説)

 琉球新報がこのように「公平」な記事を書くのは、少なくとも私にとって驚きに値するが、産經琉球新報以外にこの道路の必要性を説明した社説は見当たらない。が、その産經も塚田氏をボロボロに叩く。

《開いた口がふさがらない》

《発言は行政の公正性に関わる。撤回すれば済む問題ではなかろう》

《事の善悪が分からなかったとは驚く。

 してもいない安倍晋三首相らへの忖度に言及して地元への利益誘導をひけらかす。副大臣を務めるに値しないのは、誰の目にも明らかではないか》(以上、同、産經主張)

 主張子は余程「純粋まっすぐ」なお方なのだと察するが、このような尺度で政治家の発言を判断すれば、どれだけの政治家が生き残れるのだろうか。力なき野党の政治家であれば、利益誘導ができないから「清廉」ということになるのかもしれないが、清廉第一では国は回らないだろう。

《公共事業を私物化するような利益誘導政治を根絶し、予算執行の透明化を図る。長年指摘され、克服できていない課題に政府・与党は真剣に取り組む必要がある》(4月6日付北海道新聞社説)

 <根絶>と言っても、地元政治家によって利益誘導されなければ地方はやっていけるのか。透明な形であれば、例えば北海道が斬り捨てられても構わないというのだろうか。【了】