保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

「赤木ファイル」開示について(3) ~改竄は佐川氏の自己保身~

《佐川氏が近畿財務局の決裁文書を十分に勉強せずに国会答弁を行い、その結果、自分の答弁に合わせるように改竄指示を行ったのではないかと筆者は当時から主張していたが、18年の財務省報告書でもそれが裏付けられている。

 国会審議前に出ている報道への対処なので、本来ならば近畿財務局の決裁文書を自ら読み込んでから、国会答弁するという官僚の基本を佐川氏は怠っていたのではないか。その結果、自己保身のために、禁じ手である文書改竄というあり得ない事態を引き起こしてしまった》(高橋洋一「開示された『赤木ファイル』 事務的ミスと危うい答弁が禁じ手の『公文書改竄』圧力に」:zakzak 2021.6.30

 私も高橋氏の見立てに同意する。朝日社説は、

《公文書改ざんという民主主義の根幹を揺るがす行為に、財務省はなぜ手を染めたのか》(6月24日付朝日新聞社説)

などと大層に言うが、これは財務省というよりも佐川氏個人の自己保身と見るべきだと思われる。

《問題の根底にあるのは、森友学園への国有地の不透明な値引き売却だ。安倍首相が国会で「私や妻が関係していたら、首相も国会議員も辞める」と発言。その後、佐川氏が「森友学園との交渉記録は廃棄した」と虚偽答弁をした2日後に、安倍氏の妻で、学園が開設予定の小学校の名誉校長だった昭恵氏に関する記載などの削除を求めるメールを理財局が送っていた》(同、朝日社説)

 が、赤木氏も「厚遇した事実はない」と言い切っているのであるから、この話はそもそも無理筋だったと言うしかない。

《昨年10月、赤木氏の元上司の音声データも公表されたが、元上司も証言していた。

「安倍さんとかから声がかかっていたら正直、売るのはやめている」「忖度みたいなのがあるみたいなことで(記載内容を)消すのであれば絶対消さない。あの人らに言われて減額するようなことは一切ない」

 そして元上司は、改竄にまで追い詰められた理由をこう赤裸々に明かした。

「すこしでも野党から突っ込まれるようなことを消したいということでやりました」「少しでも作業量を減らすためにやった」

 むしろ、野党の国会での追及や資料請求、ヒアリング要請の洪水を避けるためだったと示唆している》(阿比留瑠比【極言御免】:6月24日付産經新聞5面)

財務省理財局長だった佐川宣寿元国税庁長官の指示をうかがわせる内容や、赤木さんが指示に強く抗議したことが記されていた。

 抵抗する現場を本省が押し切り、強引に改ざんに突き進んだ構図が浮き彫りになった。

 組織ぐるみで不正行為に及んでまで隠そうとしたものは何か》(6月24日付北海道新聞社説)

 ただ野党から難癖を付けられないようにしたかっただけである。

森友学園が開設予定だった小学校の名誉校長に、安倍晋三前首相の昭恵夫人が一時就任していた。安倍氏側への忖度(そんたく)が行政をゆがめた疑いが一層強まった》(同)

 北海道社説子は「赤木ファイル」を読んだのか。「厚遇した事実はない」と言っているではないか。

財務省職員からのメールには、佐川氏の名前を出して「国会答弁を踏まえた上で決裁文書を作成するよう指示があった」とある。

 17年2月17日の衆院予算委員会安倍氏が「私や妻が関わっていれば、首相も国会議員も辞める」と答弁しており、これが引き金になったのは明らかではないか》(同)

 改竄は佐川氏の自己保身のためである。安倍氏への忖度といったようなものではない。【了】