保守論客の独り言

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RCEP署名は軽率だ

日中韓など15カ国が、東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に署名した。成長著しいアジア地域に巨大な自由貿易圏を築く意義は大きい》(11月15日付日本経済新聞社説)

 この能天気さは何なのか。米国とシナの新冷戦が勃発している中で、シナ主導の経済連携協定に日本が署名することは、余りにも軽率である。さらに言えば、国際規則を守らない韓国も入っている。シナと韓国が手を組んで日本を抑え込もうとするのははじめから目に見えている。が、能天気なのは日経社説だけではない。

《世界的に保護主義の台頭が懸念される中、自由貿易の旗を振る日本がその基盤を強化できたことは大きい。コロナ禍で落ち込んだ日本経済を再び成長軌道に乗せるための起爆剤ともなり得よう》(11月16日付産經新聞主張)

 日本のマスコミはすべてシナ寄りということなのか。実(げ)に恐ろしきことである。

 米国も入っていなければ、肝心のインドも参加を拒否したのにどうして日本はRCEPに署名したのだろうか。

《経済の発展や人口の増加で存在感を増すインドが離脱し、RCEPの価値を減じたのは否めない。共産党の独裁を貫く中国の影響力が強まるのを避けるためにも、有力な民主主義国家であるインドの参加が欠かせなかった。

 大幅な関税自由化の打撃を恐れるインドに復帰を促すのは骨が折れるが、諦めるべきではない。「自由で開かれたインド太平洋」構想を推進する日本にも、粘り強く説得する責任がある》(同、日経社説)

 日本にどんな<責任>があるというのか。むしろシナと対立するインドをRCEPに巻き込もうとすることの方が「無責任」ではないか。

 ところで、日本が主導した協定にTPP(環太平洋経済協定)がある。これに英国も参加を希望しているという話もある。このTPPの拡大発展を図るのが本筋であろうはずなのに、どうして今RCEPなのか。

 TPPにはシナを牽制するという意味合いもある。また、「自由で開かれたインド太平洋」構想もある。RCEPはこれらと矛盾し、全体主義国家シナを助けることになってしまう。日本がやっていることは支離滅裂と言わざるを得ない。

《新たな自由貿易圏が担うのは、アジア経済の底上げだけではない。世界に広がる保護貿易の防波堤を固める意味もある。参加国が漂流の危機を乗り越え、署名にこぎ着けたのは歓迎したい》(同)

 日経社説子は、経団連と同じ親中派なのだろうが、これは政治的には非常に危ういと言わざるを得ない。香港、ウイグルをはじめとする人権問題を抱えるシナと今連携協定を結ぶということは、日本は人権よりも経済を優先したと世界から見られても仕方がない。

 また連日、尖閣諸島沖接続水域へのシナ公船の侵入も続き、隙あらば尖閣諸島を手に入れようとしていることも明らかである。政治と経済は別などという呑気なことを言っていては奪われてしまいかねない。

《日本は、中国による協定の履行状況を厳しく監視すべきだ。デジタル分野を含めてRCEPのルールには甘さが残るのである。その順守はもちろん、経済大国の中国にはRCEP以上に公正で透明性のある経済を確立する責務もある》(同、産經主張)

 こんな出来もしないことを言っても意味がない。信用ならぬ相手を監視する必要がある協定など端から結ばねばよいだけである。

 傍若無人な振る舞いを恥じることのないシナに<公正>だの<透明性>だのを求めても無駄である。