保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

UN創設75年について(1) ~「国連」は明らかな誤訳~

国際連合が発足して24日で75年を迎えた》(10月24日付琉球新報社説)

 日本で「国際連合」と呼ばれている組織は英語ではUnited Nations(UN)であり、第2次世界大戦における「連合国」がその母体である。どうして日本でいかにも中立的な組織であるかのように「国連」と呼び称しているのかが私には分からない。あっさり言えば「戦勝国」が創った組織であり、1956年に加盟した日本はいまだUN憲章上の「敵国」に当たる。

第53条 1 安全保障理事会は、その権威の下における強制行動のために、適当な場合には、前記の地域的取極または地域的機関を利用する。但し、いかなる強制行動も、安全保障理事会の許可がなければ、地域的取極に基いて又は地域的機関によってとられてはならない。もっとも、本条2に定める敵国のいずれかに対する措置で、第107条に従って規定されるもの又はこの敵国における侵略政策の再現に備える地域的取極において規定されるものは、関係政府の要請に基いてこの機構がこの敵国による新たな侵略を防止する責任を負うときまで例外とする。

2 本条1で用いる敵国という語は、第2次世界戦争中にこの憲章のいずれかの署名国の敵国であった国に適用される。

第107条 この憲章のいかなる規定も、第2次世界大戦中にこの憲章の署名国の敵であった国に関する行動でその行動について責任を有する政府がこの戦争の結果としてとり又は許可したものを無効にし、又は排除するものではない。

 琉球社説子は言う。

《第2次世界大戦の反省を踏まえ、戦争の「惨害」から将来世代を救い、世界の平和と安全を維持する目的で設立された》(同)

 同様のことを他紙も書いている。

《2つの大戦の反省から国連は出発した》(10月24日付西日本新聞社説)

第2次大戦の反省から、世界の平和と安全に向け、国連が発足してからきょうで75年になる》(10月24日付中國新聞社説)

 おそらく各紙社説子たちは<反省>の意味を取り違えている。<反省>とはドイツや日本など目障りな後発帝国主義国が台頭しないようにこれらを抑え込む体制を作った、それがUNの正体である。

《国連の創設はそもそも第2次世界大戦中の1944年の夏から秋にかけてのダンパートンオークス会議で骨子が決められた。

(中略)

第2次大戦でドイツ、イタリア、日本などの枢軸国と戦ってきたアメリカなどの連合国(ユナイテッド・ネーションズ)は44年8月21日から10月7日まで、このダンパートンオークスで戦後の世界の安全と平和を守るための国際機構の設立を論じる会議を開いた。当初はドイツやイタリアと戦うアメリカ、イギリス、ソ連の3国代表が顔をあわせ、後半は日本と戦うアメリカとイギリス、中華民国の3国代表が会談した》(古森義久『国連幻想』(産経新聞社)、p. 46)【続】