保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

バイデン米大統領就任について(2) ~価値を共有する国々の協調が必要だ~

グローバル化で相互依存が進む現代は、二項対立では捉えられない。

 バイデン政権は、旧来の国単位の安全保障観から転換するべきだ。相対的に米国の存在感が陰る流れは変えられそうにないが、その分、民主主義の価値観を共有する国々との連携を強めるのは合理的な選択だ》(1月21日付朝日新聞社説)

 <グローバル化>が問題なのではない。米国が一国で世界を警備することが出来なくなってしまった国力の衰退が問題なのである。

超大国としての威信に陰りが見えるとはいえ、米国は依然として圧倒的な軍事力と経済力を持っている。中国が台頭し、世界が多極化しつつある中、米国が国際社会での指導力を取り戻す必要性は増している》(1月22日付神戸新聞社説)

《民主主義と国際協調の先導役としての米国の役割を取り戻さなければならない。人種、宗教、性別などを超え、多様性を認め合う社会づくりの面でも先進的であってもらいたい》(1月22日付山陽新聞社説)

 が、もはや米国が一国でどうこうする時代ではなくなっている。

《安全保障の観点でいえば、いまの米国に世界の警察を担う国力はもはやない。米国、日本、オーストラリア、インドなどが一体となって国際秩序の破壊者に対抗していくことが望ましい》(1月21日付日本経済新聞社説)

 米国のみならず、米国と利害を共にする国々もこの認識を共有する必要がある。

《気候変動や感染症対策、貿易や租税の枠組みづくりなども含め、今ほど国際協調を必須とする時はない。世界的な「自国第一」と権威主義の蔓延(まんえん)に歯止めをかけ、国際社会全体の秩序を再構築する重責が、バイデン氏の双肩にかかっている》(同)

 米国の分断を修復することも困難だと目されるバイデン氏にこのような難題を押し付けても仕方ない。当面は保護主義権威主義との競り合いが続くであろうと心しておくべきである。

《早速、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」への復帰、世界保健機関(WHO)脱退とりやめなどに関する大統領令を出し、国際社会との協調姿勢を明確にしたことを歓迎したい》(同、日経社説)

 バイデン氏はこれが今後の手枷足枷(てかせあしかせ)になるだろうことが見えていないのであろう。例えば、「パリ協定」はCO2排出量世界第2位米国の排出削減を迫る。「グリーン投資」だ何だとは言うが、米国経済に悪影響を及ぼす可能性は高い。また、シナ色の強いWHOに復帰するのは、それ相応の軋轢を覚悟する必要もある。【続】