保守論客の独り言

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大阪維新快勝について(2) ~負け犬の遠吠え~

《都構想の狙いとして、維新は府と市の二重行政の解消を強調する。現行制度のもとでも取り組むべき課題であり、実際に維新も公営住宅事業や信用保証協会、産業・工業研究所を統合してきた。その上でなぜ都構想の実現が不可欠なのか、コストや懸念にどう向き合うのか、より詳細な議論が必要だ》(4月8日付朝日新聞社説)

 <二重行政>とは、かつて高度成長期、潤沢な資金があった頃、府と市が競争し合った名残であり、今後このような問題が生じるとは考えにくい。問題は、この時代の遺物をどう整理するのかというところにあり、これについては今後も議論を続ける必要はある。

《忘れてならないのは4重選挙となった経緯である。府知事と市長の任期途中での辞職と立場を入れ替えての立候補という、維新による脱法的な行為は看過できない。

(中略)

再選を目指す現職が有利になるよう、辞職によって選挙の時期を選ぶ事態を防ぐのが法の趣旨だ。不意に選挙を仕掛け、自らが率いる政党の押し上げを狙った松井氏と吉村氏は反省すべきであり、今後の都構想論議で「奇策」を弄(ろう)してはならない》(同)

 このような批判は可能ではあるが、この是非は選挙で問われ結果が出ているわけであるから、一マスコミが選挙後にとやかく言うのは負け惜しみ風でみっともないったらありゃしない。

《都構想の是非を有権者に迫る形で行われた選挙である。党略を割り引いても、都構想に対して、府民から一定の理解が示されたとみるべきだろう。橋下徹氏以来の行財政改革への評価など、維新勢力への大阪での支持の根強さも再確認された》(4月8日付毎日新聞社説)

と考えるのが妥当である。

《勝利したとはいえ、維新が今回駆使した「目的のためには手段を選ばぬ」手法が承認されたわけではない。民主主義はプロセスが重視されるものであり、とりわけ地方自治において、首長と議会が車の両輪であることを忘れてはならない》(同)

 気になるのは<民主主義はプロセスが重視されるもの>などという上から目線の科白(せりふ)である。別に我々は「民主主義」のために生きているわけではない。勿論、民主主義的な過程を踏むことも重要ではあろうが、民主主義とはかくあらねばならぬというような杓子定規な話ではないはずだ。

 否、そもそも政治とは結果責任が問われるものなのであって、いくら民主主義的な過程を踏まえようとも結果が出なければ評価に値しない。<民主主義はプロセスが重視されるもの>というのは、やはり「負け犬の遠吠え」でしかない。【続】