保守論客の独り言

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塚田副大臣の忖度発言について(1) ~大衆紙の反逆~

塚田一郎国土交通副大臣が辞任した。山口、福岡両県を結ぶ道路に調査費が計上されたことを踏まえ、安倍首相と麻生副総理の意向を「忖度(そんたく)した」と発言した責任を取ったものだ》(46日付読売新聞社説)

 安倍政権応援団と目される読売新聞までがこの辞任劇を叩く。

《職責の重さを自覚しない発言にあきれるばかりだ。辞任を巡る安倍内閣の対応も後手に回った。緊張感を欠いていると言わざるを得ない》(同)

 さて、私は塚田氏に一面識もない。したがって、各紙社説なりを見て判断するしかないので当を得ないところもあろうが、ここまでボロカスに言わなくても良いのではないかと思うのである。

 誤解のないように断っておくが、安倍政権を守りたいからこのように言うのでもないし、塚田氏を擁護する義理も私にはない。ただ、自分のことを棚に上げて他人を批判するのはほどほどにした方が良いと思うだけである。

 塚田氏は選挙で選ばれた人間である。有権者の代表である限り、塚田氏には有権者の意志や意向が反映されていると見なければならない。今回は応援集会であったから余計にこの色が濃くなったのだろうが、支援者が期待するであろうことを口にしたら批判を浴びたということであって、塚田氏が勝手なことを言ったわけではないだろう。

 あっさり言ってしまえば、有権者の誰しもが地元への利権誘導を多かれ少なかれ望んでいるからこそ、その期待に応えて今回のような発言になったのだと思われるということである。

安倍晋三首相の地元の山口県麻生太郎副総理兼財務相の地元の福岡県を結ぶ「下関北九州道路」について、自民党吉田博美参院幹事長から建設促進を要請され「総理とか副総理はそんなこと言えない。私は忖度しました」と、聴衆約六百人を前に述べた。

 さらに「新年度予算で国直轄の調査計画に引き上げた」と説明。調査費約四千万円を自らの判断で計上したかのように報告した。

 麻生派所属の副大臣として麻生氏が推す候補が勝利すれば、大型の利益誘導が可能と誇示したかったようだ》(45日付東京新聞社説)

 この手の「リップサービス」はよくあること、などと言えばたちまち炎上ということになりかねないご時世であるが、今の世の中、かつての田中角栄氏のように行政を動かして道を通すなどということが一副大臣ごときに出来るわけもなく、「忖度」という昨年の流行語も使って集会をただ盛り上げようとしただけのことがどうしてこれほど問題とされなければならないのだろうか。

 反安倍政権の左寄り新聞なら分からないでもないが、読売新聞までもが

《長期政権ゆえの驕(おご)りや緩みが目立つ》(同、読売社説)

などと言うのは理解に苦しむ。これでは「大衆紙の反逆」である。【続】