保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

元日社説読み比べ(7) ~日経社説のおかしな提言~

《第2になすべきは…国が責任をもって少子化対策や持続可能な社会保障への転換を推進することだ》(日本経済新聞

 これも日本語が変ではあるが、おそらくもっと本腰を入れて<少子化対策>を行えと言っているのであろう。が、少子化は複雑な要因が作用しているのであって、例えば、十分な保育所を確保すれば出生率が回復するといった単純な話ではない。少子化対策とは関係なく、子育てしやすい環境整備はしっかり行うべきである。が、これからより重要となるのは「少子高齢社会」対策の方であろうと思われる。

 <持続可能な社会保障>もズレている。実際、年金制度は既に持続可能な形に変えられてもいる。検討されるべきは、持続可能かどうかということではなく、これからどのような年金制度が適当かということの方である。が、それを考えるには将来の国家像が一定程度描かれていなければならない。それがないのが困りものなのである。

 最大の論点は、「家庭」をどう考えるのかということであろう。かつての「大家族」から「核家族」となって老人が家庭から放り出されたことで、社会が老人の面倒を見ることとなった。同時に家庭および地域社会における老人の仕事を奪ってしまった。

 私は、家庭や地域社会の再興させ、子育て、教育、助け合いといった「自治」の充実こそが必要だと思っている。老人や女性をただ職場に向かわせるのではなく、家庭や地域社会でもっと活躍できるようにすることが、本当の意味で「1億総活躍社会」ということになるのではないだろうか。

《第3にすべきことも…エネルギー・環境政策を一体として立案し、工程表をつくることである…国のエネルギー基本計画は30年のベースロード電源の比率を原発20~22%、石炭火力26%としているが、前提である原発30基の再稼働は極めて厳しい。再生エネルギーを使いやすい電源にし、その比重を高めるイノベーションが是が非でも必要なのだ》(同)

 「地球温暖化」対策を前提としたエネルギー政策では道を誤る。今言われている「地球温暖化」説は政治的宣伝(propaganda)であり、「事実」に基づくものではない。実際に気温が上昇しているのではなく、対策をしなければ大幅に気温が上昇し大変なことになるという一種の「不安商法」である。むしろ「不安」に煽られて道を誤れば大変なことになりかねない。

<再生エネルギー>の比率を高めることに反対はしないが、費用対効果の問題もあるし、<再生エネルギー>のような不安定なものをを<ベースロード電源>とすることにはやはり疑問符が付く。

 そんなことより、中東一辺倒のエネルギー依存からの脱却の方が先であろうし、尖閣諸島沖に眠る海底油田の発掘をどのようにして実現するのかといった政治課題の方が余程重要なのではないかと私は思うのであるが…【了】