保守論客の独り言

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韓国最高裁の徴用工判決について

10月31日付各紙社説は一斉に韓国最高裁の徴用工判決を取り上げた。

《植民地支配の過去を抱えながらも、日本と韓国は経済協力を含め多くの友好を育んできた。だが、そんな関係の根幹を揺るがしかねない判決を、韓国大法院(最高裁)が出した。

 戦時中、日本に動員された元徴用工4人が新日鉄住金に損害賠償を求めた訴訟で、1人あたり約1千万円を支払うよう命じた控訴審判決が確定した》(朝日新聞社説)

 そもそも日韓併合は「合邦」(annexation)であって「植民地化」(colonization)ではない。植民地化は「搾取」を目的として行われるものだが、日本の対朝鮮政策はむしろ「持ち出し」であった。インフラを整備し、教育を普及し、農業生産性を高め、結果として人口は倍増した。こんな植民地政策はない。

《日本の支配がはじまると、ついに朝鮮社会において本格的な文明開化の時代が幕を開けた。多くの学校が建設され、警察署と裁判所、行政機関がつくられて市民は法による統治とサービスを受けられるようになり、資本主義的経済システムが稼働しはじめて、朝鮮は本格的な産業革命期に突入できる態勢がととのった。朝鮮の民衆の身分は、貧しい大韓帝国の民から日本帝国の市民へと変わった。朝鮮民衆にとって、このような変化はあらゆる角度から考えて歓迎するにあたいするものだった。

 植民地統治の末期には日本が総力をあげて戦争を遂行したので、朝鮮人は多くの苦痛を受けざるをえなかったが、日本の植民地時代が朝鮮の実質的な産業革命期であり、朝鮮の民衆が文明開化という史上初の変化を経験しながら幸福を享受することができたことには疑問の余地がない。この時期、朝鮮半島は日本の植民地ではなく日本の一部だった》(金完燮(キム・ワンソプ)『親日派のための弁明』(草思社)、pp. 62-63

「要らぬお世話」をしてしまったことだけは反省すべきなのかもしれないが、決して日韓併合は日本人が卑下するようなものでないことだけは今一度しっかり確認しておく必要があると思われる(中川八洋『歴史を偽造する韓国』(徳間書店)、黄文雄『韓国は日本がつくった』(WAC BUNKO)などを参照のこと)。

 今回の判決が大事(おおごと)であるのは、韓国各地の裁判所で進行中の同様の訴訟に波及するであろうからである。

《元徴用工による裁判は新日鉄住金三菱重工業など約70社を相手取って計15件にのぼり、原告は1000人近くになる》(東京新聞社説)

《問題は、1965年の日韓請求権・経済協力協定で、請求権問題の「完全かつ最終的な解決」を定めたにもかかわらず、最高裁が日本企業に対する個人の請求権行使を可能だとしたことだ。

 請求権協定の適用対象に元徴用工も含まれることは交渉記録から明白だ。韓国の歴代政権も認めており、盧武鉉政権は2005年に元徴用工に対して韓国政府が救済を行う方針を打ち出している》(読売新聞社説)

 これまでも韓国の司法は度々おかしな判決を下してきたから今回の判決もある程度は予測されたとはいうものの、やはりこのような判決が下されたことは日韓関係に悪影響を及ぼすことは必至であり、非常に迷惑な話である。

 韓国は国際的に交わされた条約を遵守(じゅんしゅ)しない国であることを世界に知らしめたのであるが、このようなことが罷(まか)り通るようであれば、韓国とは条約を結ぶことが出来なくなってしまいかねない。

《10~14日に韓国が開催した国際観艦式では、自衛艦旗旭日旗)の掲揚自粛を求めてきた。

 韓国の国際ルール違反といえる行為は枚挙にいとまがなく、政府内には「韓国疲れ」が蔓延(まんえん)している。経済規模もそれほど大きくない韓国と必要以上に付き合う理由はないとして「韓国は、戦略的に無視していくしかない」(外務省幹部)との声も出始めている》(産經新聞 10/30() 19:28配信)

 韓国が冷静な判断が出来るようになるまでは、少し距離をおくことも残念ながら必要なのではないかと思われる次第である。