一燈照隅(池内昭夫の日記)

~天邪鬼(あまのじゃく)の独り言~

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■三木清『人生論ノート』論  5/2(1)「100分de名著」の偏見  5/8(2)幸福論を抹殺したカント  5/15(3)哲学書だからこそ難しい  5/22(4)偏見による幸福と成功の誤読  5/29(5)真の幸福と神  6/5(6)虚栄と虚無   6/15(7)神の怒を思へ! NEW

東京新聞の偏った憲法論(3)~日本国憲法前文は借り物競争~

日本国憲法前文(2):そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。

Government is a sacred trust of the people, the authority for which is derived from the people, the powers of which are exercised by the representatives of the people, and the benefits of which are enjoyed by the people.

 これはリンカーンゲティスバーグ演説の有名な件(くだり)"government of the people, by the people, for the people”(人民の、人民による、人民のための政治)を下敷きにしていると言われている。

日本国憲法前文(5):日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。

We, the Japanese people, desire peace for all time and are deeply conscious of the high ideals controlling human relationship, and we have determined to preserve our security and existence, trusting in the justice and faith of the peace-loving peoples of the world.

マッカーサー・ノート:It(=Japan) relies upon the higher ideals which are now stirring the world for its defense and its protection.

(日本は、その防衛と保護を、今や世界を動かしつつある崇高な理想に信頼する)

 これは、連合国最高司令官ダグラス・マッカーサーのメモを元に書かれたものであろう。”the higher ideals”(崇高な理想)という余りにも抽象的で具体的に何を意味するのか分からない文言の出処(でどころ)はここにあったと考えられる。

日本国憲法前文(6):われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。

We desire to occupy an honored place in an international society striving for the preservation of peace, and the banishment of tyranny and slavery, oppression and intolerance for all time from the earth.

テヘラン宣言:We shall seek the cooperation and active participation of all nations, large and small, whose peoples in heart and mind are dedicated, as are our own peoples, to the elimination of tyranny and slavery, oppression and intolerance.

(われらは、われら自身の国民と同様、国民が専制と隷従、圧迫と偏狭を排除せんと全身全霊打ち込んでいる、大小すべての国家の協力と積極的参加を求める)

 <専制と隷従、圧迫と偏狭>などという日本の歴史文化に不釣合いな言葉は1943年のテヘラン宣言に由(よ)るものであろう。

日本国憲法前文(7):われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

We recognize that all peoples of the world have the right to live in peace, free from fear and want.

大西洋憲章:Sixth, after the final destruction of the Nazi tyranny, they hope to see established a peace which will afford to all nations the means of dwelling in safety within their own boundaries, and which will afford assurance that all the men in all the lands may live out their lives in freedom from fear and want;

6、ナチ暴政の最終的破壊の後、両国は、すべての国民に対し、各自の国境内において安全に居住することを可能とし、かつ、すべての国のすべての人類が恐怖及び欠乏から解放されて、その生命を全うすることを保証するような平和が確立さることを希望する)

 この<恐怖と欠乏から免かれ>も違和感があるが、1941年の太平洋憲章から書き写したものであろうと思われる。否、そもそも今更どうして日本国民が全世界の国民に平和裏に生きる権利があるということをわざわざここで確認しなければならないのかが分からない。【続】