保守論客の独り言

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東京新聞の偏った憲法論(2)~酷いGHQ英文草案と和訳文~

日本国憲法は英国の「権利の章典」、米国の独立宣言や合衆国憲法、フランスの「人権宣言」などの思想を踏まえる》(11月3日付東京新聞社説)

 <思想を踏まえる>というよりも先行文献を「切り貼り」し、これを下敷きにしているだけである。

日本国憲法前文(1):日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

We, the Japanese people, acting through our duly elected representatives in the national diet, determined that we shall secure for ourselves and our posterity the fruits of peaceful cooperation with all nations and the blessings of liberty throughout this land, and resolved that never again shall we be visited with the horrors of war through the action of government, do proclaim that sovereign power resides with the people and do firmly establish this constitution.

米国憲法前文:We the People of the United States, in Order to form a more perfect Union, establish Justice, insure domestic Tranquility, provide for the common defense, promote the general Welfare, and secure the Blessings of Liberty to ourselves and our Posterity, do ordain and establish this Constitution for the United States of America.

われら合衆国の人民は、より完全な連邦を形成し、正義を樹立し、国内の平穏を保障し、共同の防衛に備え、一般の福祉を増進し、われらとわれらの子孫のうえに自由のもたらす恵沢を確保する目的をもって、アメリカ合衆国のために、この憲法を制定する。

 日本国憲法はGHQによって作成された草案を日本語に翻訳したものである。前文第1文は米国憲法前文を下敷きにしている。

 1文がこれほど長いことからして、即「悪文」であると知れるが、語句の修飾関係、文章の構造を読み解くのはそれこそ至難の業である。具体的な分析は別の機会に譲るが、英文も酷(ひど)ければ、それを逐語訳した日本語も酷い。そして何よりここに盛り込まれた思想が酷過ぎる。それは、元々の米国憲法にない付け加えられた部分にある。

 まず、<正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し>(acting through our duly elected representatives in the national diet)の部分である。日本語からはうまく読み取れないが、この分詞構文のing以下の語句は直後の「決意した」(determined)に懸かる。「正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、that以下を決意した」とは、要は、この憲法は、米国が押し付けたのではなく「日本人が自発的に作った」と言いたいのではないかと推測される。つまり、GHQが日本にそう言わせたということである。

 次に、<政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうに>の部分である。勿論これは戦前の日本政府が軍国主義よろしく国民を戦争へと駆り立てたという戦勝国史観を踏まえたものであろう。が、戦後70年以上が過ぎ、共産主義コミンテルンが日本に戦争を嗾(けしか)け、英米が日本を日米開戦へと追い込んだことが明らかになってきている。

 今後日本が戦争に巻き込まれないようにするためには、日本よりもむしろ、大戦後も戦争や紛争を起こし続け利権を得てきた国連常任理事国たる米英仏露中の戦勝国側に9条の箍(たが)を嵌(は)めなければならない。

 最後の<主権が国民に存する>は昨日も扱ったから言わずもがなである。【続】