保守論客の独り言

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流域治水関連法成立について

《河川の氾濫(はんらん)を防ぐため、ダムや堤防の整備に力を注ぐ時代から、住民や企業も交えた様々な施策を講じることで被害を抑える時代へ――。ハード偏重の姿勢を改め、「流域治水」への転換を図る法案が、先月末に参院で可決・成立した》(5月4日付朝日新聞社説)

 昨年の九州豪雨で球磨川が氾濫し大きな被害をもたらした。その際、住民自治によってダム建設が中止されていなければ、ダムは完成し、人吉市内の浸水範囲は約6割減少したとも推定されている。にもかかわらず、このような話が出て来るのはどうしてか。

自治体や企業、住民が協働して河川の流域全体で治水の実効性を高める流域治水関連法が28日、参院本会議で可決、成立した。浸水被害の危険がある地区の開発規制や避難対策が柱》(毎日新聞 2021/4/28 20:21

 これなら分かる。要は、朝日社説子の解釈がねじ曲がっているだけである。

《気候変動で降雨量が増加し、従来の堤防やダムで対応しきれない水害が多発していることから、河川法など関係する法律9本を一括で改正して抜本的な対策を講じる。河川の氾濫をできるだけ防ぎ、被害を最小限に抑えるなどの方策を充実させる。豪雨で氾濫するリスクが高い河川流域で貯水機能を持つ場所を整備し、住宅や福祉施設の建築を許可制とするなどの対策を進める。

 貯水対策では、農地など河川沿いの低地を「貯留機能保全区域」に指定。盛り土などの開発行為は事前の届け出を義務づける。氾濫が起きやすい河川の周辺地域に住宅や高齢者福祉施設などを建てる際は許可制とし、都道府県などが居室に浸水深以上の高さがあるかや洪水で倒壊しない強度かを確認する。

 高齢者福祉施設で適切な避難計画が策定され、訓練が行われているかを市区町村が確認し、施設管理者に助言、勧告することができる。民間ビルの地下に貯水施設を整備した場合に固定資産税を減免する規定も設けた。現在は大規模河川について市区町村が作成しているハザードマップを中小河川にも拡大する。国土交通省2025年度までに17000の河川で作成することを目指す》(毎日新聞、同)

 が、国も褒(ほ)められたものではない。

《近年、全国各地で水災害が激甚化・頻発化するとともに、気候変動の影響により、今後、降雨量や洪水発生頻度が全国で増加することが見込まれています》(​国土交通省HP 令和3年2月2日​)

 これほど非科学的な話はない。洪水は昔から度々起こっている。にもかかわらずどうして<今後、降雨量や洪水発生頻度が全国で増加する>などと見込むのか。これではただの地球温暖化カルト信者である。

《気候変動の影響による降雨量の増加等に対応するため、流域全体を俯瞰し、あらゆる関係者が協働して取り組む「流域治水」の実現を図る「特定都市河川浸水被害 対策法等の一部を改正する法律案」(流域治水関連法案)》(国交省HP、同)

 <あらゆる関係者が協働して取り組む>ことは、麗しい住民自治なのか。球磨川のように、ダム建設は中止して自然を守れと言って大きな災害が起これば誰が責任を負うのだろうか。