保守論客の独り言

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2021年度中学教科書検定を巡って(6) ~情報戦で負けている日本~

《歴史の近現代を中心に日本をことさら悪く描く自虐史観に基づく記述が相変わらずある。例えば「従軍慰安婦」という不適切な記述が検定をパスした。「戦時体制下の植民地・占領地」との見出しを掲げた本文の脚注には、「戦地に設けられた『慰安施設』には、朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が集められた(いわゆる従軍慰安婦)」とある》(3月25日付産經新聞主張)

 吉田清治済州島朝鮮人婦女子を強制連行し<従軍慰安婦>にしたという話は嘘であったと朝日新聞は認めたのだから、<従軍慰安婦>が存在したという話の根拠は失われている。

 が、未だ「河野談話」は撤回されず、おまけに「日韓慰安婦合意」の際、安倍首相は慰安婦連行に官憲が関わったと認めてしまったため、このようなことになったのかもしれない。

 《「従軍慰安婦」は、平成8年に検定結果が公表された中学教科書に一斉に登場した。だが「強制連行説」が否定され、「従軍」と冠した記述がなくなるなどの是正が進んだ。戦場における性の問題がからみ、中学であえて扱う必要があるのか、疑問も出て一時は扱われなくなった経緯がある》(同)

 <従軍慰安婦>は、当時は合法だった「売春婦」であったのが本当のところである。が、英語でsex slave(性奴隷)などと言って、あたかも朝鮮の女性たちが酷い目にあったかのような情報戦を仕掛けられ、日本の評判が貶(おとし)められている。

 「従軍記者」や「従軍看護婦」などのように軍に随伴しているのではないから「従軍」ではないし、「売春婦」を「慰安婦」などと婉曲(えんきょく)的に言うから誤解を招くのである。

 「従軍慰安婦」と「売春婦」の間をとって「慰安婦」を1つの落し所としたのかもしれないが、やはり「慰安婦」では朝鮮の女性が日本軍の被害者であるかのような誤った印象を招いてしまうであろう。

 この教科書を採択する学校があれば、「従軍慰安婦」について「アクティブ・ラーニング」を行ってもらいたい。情報は世の中にあふれており、単に従軍慰安婦にさせられた朝鮮の女性たちは可哀そうだなどといった話にはならないように思われる。

《別の教科書も、慰安婦募集の強制性を認めた河野洋平官房長官談話を要約して取り上げている。教科書にも禍根を残す河野談話の見直しは欠かせない》(同)

 「河野談話」を上書きして書き換えるとしていた安倍首相ですら、「外圧」に負けて歴代内閣の見解を踏襲(とうしゅう)せざるを得なかったのであるから、「河野談話」が見直させるということは当分有り得そうもない。

 日本は情報戦において「押し込まれている」という認識を持つべきだ。【了】