保守論客の独り言

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女系天皇について(3) ~女系天皇論の危険~

《現在の制度では女性皇族は結婚すれば皇族でなくなり、皇族の数は減っていく。私としては女性皇族には結婚後も皇室に残ってもらって女性宮家を創設し、層を厚くして皇室を守る形を作る必要があると考えている》(長浜博行「女性・女系天皇 代替わりをきっかけに国民的議論を」4月1日付毎日新聞

 皇族の数の減少を食い止めようというのであれば、まずGHQによって排除された旧宮家皇籍復帰を考える方が先であろう。

《産経は「古代から現代まで、一度の例外もなく貫かれてきた大原則は男系による継承である」と指摘し、「この原則が非皇族による皇位の簒奪(さんだつ)を防ぎ、万世一系の皇統を守ってきた。女系継承は別の王朝の創始に等しく、正統性や国民の尊崇の念が大きく傷つく」と強く訴えた。さらに「今も親族として皇室と交流のある旧宮家皇籍復帰により、皇室の裾野を広げるよう検討してもらいたい」と提案した》(【社説検証】天皇陛下ご即位:産経ニュース2019.5.15 08:13)

 皇室に外部男性権力が紛れ込んではならない。このことの重要性はいくら言っても言い過ぎではない。女性宮家創設論者はこのことをあまりにも軽く見過ぎている。男女同権などという薄っぺらな考えで、日本の伝統を傷つけるわけにはいかない。

女性天皇や母方が皇室の系統を継ぐ女系天皇の問題もある。小泉内閣で検討されたが、その後ずっと先延ばしにされてきた。天皇が男系で継承されてきたことは事実だが、女性天皇は過去にもいた。議論は大変だが、封印したままでいいのか。

 剣璽等承継の儀に女性皇族を参列させないのも、女性・女系天皇の議論に波及することを懸念したのかもしれない。安倍晋三首相が女性・女系天皇に消極的なことも反映しているのだろう》(長浜博行、同)

 長浜氏は女性天皇女系天皇の違いが分かっていないのであろう。かつて女性天皇はいた。が、これはあくまでも継投的なものであって、女系天皇とはわけが違う。

 女系天皇とは皇室外から男性婿を受け入れることになり、ひいてはこの男性の家族、家系が皇室の系譜に入り込むことになる。場合によっては、皇室を簒奪(さんだつ)することにもなりかねない。

 こうなっては、皇室は「権威」の存在から滑り落ち、「権力」を握ることにもなりかねない。皇室が権力的に振る舞うようなことになれば、瑞穂の国の存続自体が危ぶまれることになる。

 中には、女系天皇を容認することで、皇室に入り込む余地を見出そうとする外部権力者もいるだろうし、皇室の伝統を破壊することで、共和国、共産主義国の実現を夢見る人たちもいるであろう。女系天皇を女権拡張論の延長線上で捉えることは甚だ危険である。【続】