保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

レジ袋の無料提供禁止について(2) ~リサイクル利権にメスを入れよ~

《日本国内で1年間に発生するプラスチック廃棄物は約900万トンに上る。リサイクルで新たなプラスチックに生まれ変わるのは、そのうちの4分の1にすぎない。

 残りの大部分は「熱回収」という名の下に、廃棄物発電やセメント製造などの燃料として燃やされるなどして消えている》(6月7日付産經新聞主張)

 事実として、ペットボトルが回収されてもリサイクルされて新たなペットボトルが製造されているわけでも何でもない。多くは海外に輸出されてきた。これがリサイクルの実態である。

 プラスチックはそもそもリサイクルに向かないという問題がある。

《プラスチックは日本で年間1500万トンほど生産される主要な材料の一つですが、アルミ、鉄などの金属材料と比較して2つの大きな特徴があります。その一つが「種類が多い」ということで、金属では材料に共通の番号がつきますが、プラスチックはあまりにその種類が多く、さらに金属と違い「色を変えることができない」という制限があります。また、多い種類のプラスチックを機械的に(手で分けるとか、一定のプラスチックなら精密な機械的に)分けることができますが、化学反応では分けることができないという制限もあります。

もう一つの大きな制限は、「使うと劣化して元に戻らない」という問題です。人間の体もプラスチックと同じようにできていますので、理解しやすいと思いますが、人間も歳をとると体が少しずつ痛んできます。それでも人間は部分的に入れ替えながら生きていますが、工業的に作られたプラスチックは生きていないのでそのまま劣化していきます。劣化したプラスチックを元に戻すことは今のところできません。ものすごい資源とお金をかければできますが、まったく実用的ではないのです。

だから、プラスチックが生産され、着色され、加工され、運搬、販売されて家庭で使用されると、それを回収してもあまりに種類が多く、混じると色が汚くなり、異なる種類のプラスチックが混ざってしまうので、それを再利用することはできません》(『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』2016.12.15 2365)

 だからリサイクルと称して回収したペットボトルの多くが主として中国に輸出されてきたのであるが、

《海プラに関連して先ごろ改正されたバーゼル条約によって、日本からのアジア諸国への廃プラ輸出の道も閉ざされる。

 プラごみ問題は大きな転換点を迎えている》(同、産經主張)

《日本の家庭はあまりムダ使いしないので、家庭から出るゴミは「燃えにくい」という特徴があります。だからゴミを焼却するときには、プラスチックが助燃剤になるので焼却炉で燃やしていました。

ところが、分別・リサイクルが始まって家庭ゴミが燃えにくいので、ゴミに灯油をかけて燃やしているところもあります。紙と違ってプラスチック製品はかさばるので、ちょうど助燃剤としては最適なのです。それを7倍も資源を使ってリサイクルし、焼却炉で灯油を使うのですから実に馬鹿らしいことです。でも、法律によって膨大な税金が出ているので、リサイクルで巨利を得ている人たちは多いのです》(同、武田メルマガ)

 リサイクル利権にメスを入れるべきだ。【了】