保守論客の独り言

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ワクチン開発は国防だ(2) ~ワクチン開発の体制作りを急げ~

《厚生省(当時)は1994年に予防接種法を改正し、ワクチンは義務接種から任意接種に変更された。それまでもワクチン接種率は低下し新規ワクチン開発も停滞していたが、法改正は国内メーカーのやる気を大いにそいだ。80年代まで日本はワクチン輸出国だったが、今や輸入国になっている。歴史を振り返ると、水痘、日本脳炎などのワクチンは日本が世界に先駆けて開発したものだ。

 そうした歴史に加えて、今回のコロナ禍で日本は比較的感染者数が少なかったので、国の承認を得るために必要な臨床試験(データを集めるための人に対する試験)を十分に行うことができなかった》(高橋洋一「国産ワクチンが遅れた理由」:ZAKZAK  2021.6.8

 今回の新型コロナウイルス騒動で国民はワクチン開発の重要性がよく分ったことだろうと思う。自然発生であれ人工的であれ、新たなウイルスが新たなパンデミックを引き起こすことは避けられない。であるなら、これを機に国産ワクチン開発に本腰を入れて取り組むのは当然と言えば当然のことであろう。

《日本も、いくつかの会社が民間技術で頑張っているが、スピードではかなわない。関係者に聞くと、軍事大国で開発されたワクチンは、自動車に例えると「F1」だという。最高技術をえるために巨額の資金投下をしているからだ。一方、日本企業が目指しているのは、安価な大衆車だ。世界中で50種類以上のワクチン開発がなされ、日本企業は軍事大国のトップグループではないが、その次の2、3番手グループらしい。現時点で今年中の実用化は厳しいかもしれないが、来年以降になると日本の出番も増えてくるかもしれない》(同)

 他国のワクチンを輸入することに依存し、ワクチンが手に入れば満足するというのではなく、日本人の体に合った、日本人向けの国産ワクチンを開発することが大切である。そのための基礎研究予算は出し惜しみすべきではない。

《基礎技術は、何はともあれ、予算を投入しなければ、うまくいかない。ワクチン開発は国防と考え、景気に左右されない安定的な予算を組まないと、いざというときに対応できなくなるだろう》(同)

 今回の新型コロナウイルスや変異株にこれからどう対応するのかということと並行して、次なるウイルスが襲ってきた際に、いち早く対応できるような体制作りは今から始めなければ間に合わないと心得るべきである。

 もしワクチン開発は軍事研究につながるとして反対するような組織が内閣府にあるのだとすれば、可及的速やかに解散させるべきであろう。【了】