保守論客の独り言

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ワクチン開発は国防だ(1) ~ワクチン開発に横槍を入れる日本学術会議~

遅まきながら

《政府は国産ワクチンの開発・生産体制を強化するとして、拠点整備などを行う国家戦略を閣議決定した》(高橋洋一「国産ワクチンが遅れた理由」:ZAKZAK  2021.6.8

 国民が日常生活を取り戻すためには、ワクチンが必要である。したがってワクチン開発は、国民を守るために必要不可欠なものであり、謂()わば「国防」なのである。

 が、ワクチン開発は軍事と連なる部分がある。否、そういって横槍を入れようとするのが「日本学術会議」という組織である。

《今回の新型コロナウイルスの対応については、大国では官民で巨額な資金が投入され、1年もたたないうちにワクチンが完成した。ワクチンは生物兵器の防御として軍事的な研究の厚みがものをいうので、軍事大国ほど開発が速かった。日本は軍事大国ではない上、日本学術会議が軍事研究を事実上禁止し、重要な基礎研究が十分にできなかったという事情もある》(同)

 軍事に関連する研究は一切行わないというのは、「非武装」を定めた日本国憲法第9条の理念にも合致するものであるから、それ自体は否定されるべきものではない。問題だと言うのなら、先に憲法を改めるべきである。

 戦後日本は9条のお陰で戦争に巻き込まれなかったと思っている人が少なくない、否、大半なのではないかと思われる。が、9条のせいで北方領土はロシアに、竹島南朝鮮に実効支配され、百人を超えるとされる日本人が北朝鮮に拉致されたまま奪回できないでいる。

 そもそも戦後、日本が他国から攻め込まれなかったのは、日米安保によって駐留米軍が睨みを利かせていたからである。が、これからも米軍が日本を守ってくれると思って安心するわけにはいかない。だから自主防衛力の強化は必然なのであるが、そのためには9条改正も必要であろう。

 否、日本国憲法が制定された頃とは戦争自体が変化し、情報戦やサイバー攻撃、そしてウイルス拡散といったことにも対処していかなければならなくなっている。したがって、ウイルス研究は必須であるし、ワクチン開発も死活問題なのである。軍事に関連するからといってウイルス研究やワクチン開発をしないなどとふんぞり返って言っているような組織は「国賊」と称すべきではないかとも思われる。

《加えて、日本では1970年代頃から、マスコミがワクチンの副反応を社会問題としてたびたび取り上げた。反ワクチン運動による多くの訴訟が起こり、国の敗訴も多かった》(同)

 <ワクチンの副反応>を怖がり過ぎれば、ワクチン開発は進まない。功罪をしっかり見極めることが肝要だと思われる。【続】